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ミュージカルSPY×FAMILY鑑賞レポ

(ネタバレを含みます)
兵庫県立芸術文化センターの大ホールで行われたミュージカルSPY×FAMILYを鑑賞した。舞台作品をほとんど見ない筆者視点の鑑賞レポートだ。

18:00開場に合わせて会場に向かうとすでに多くの人で溢れており入場への流れできていた。見渡してみると、平日にも関わらず小学生と思われるような若年層から、中高年まで幅広い年代の人が男女問わず訪れている印象。2.5次元作品は若い女性が主な客層だという認識だったが「SPY×FAMILY」という作品自体の親しみやすさ故の客層かと思われる。

建物に入るとトランペットの音出しに出迎えられた。生演奏らしい。雑多な音を聞くうち舞台への期待は高まっていく。
今回の席は4階。どれほど舞台から遠いだろうかと考えながら入場。舞台全体を見渡すことができ、オケピットまで見える席だった。オペラグラスは持っていないので細かい表情は見えないだろう。
すでに舞台セットが見える状態で組まれており、休憩時間にはこの大きなセットが組み変わったりするのだろうかと予想しながら開演を待つ。

SPY×FAMILYが描くのは東西が緊張状態にある不安定な情勢の中で生活する歪な家族。
父ロイドは東西戦争で孤児となり、かつての自分のような子供が泣かない世界を作るために東西の平和を守っている西の凄腕スパイ。
母ヨルは両親が他界したのち幼い弟を養うために殺し屋となった。
娘アーニャは組織の実験によって生み出された<被験体007>心を読む能力がある。
叔父ユーリは汚れ仕事の多い東の国家保安局局員(秘密警察)
ミュージカルSPY×FAMILYでは、ロイド、ヨル、アーニャ(たまにユーリ)の立場や生い立ちの違いが印象的に演じられたように思う。それぞれの思惑や気持ちが交わったり、すれ違ったりする様は可笑しくも温かい。

そんな舞台を彩るのは大胆な演出、圧倒的な歌唱や演技、踊り。
開演前の予想はすぐに裏切られた。回転舞台と液晶、小道具の配置が目まぐるしく変化する。戦場、路地裏、学校、家あらゆる場面を少ないスペース、限られた大道具で表現し景色を明確に想起させる演出に目を見張った。
1つの公演の中で作品全体の世界観と雰囲気がわかるように作られているため、話の展開が早い。カットされたエピソードも多くあったが不思議と不快感はなかった。脚本や演出の緩急の付け方が理由ではないかと思う。踊り一つとっても、緊迫したシーンのかっこよさ、学校のシーンでの「エレガント」さ。どちらも素敵で、印象に残っている。感情移入させるスピード感、ほっこりさせるスピード感、笑えるスピード感。細かい緩急があることによってより世界観に浸れたように思う。 

胸いっぱいの感動にぼんやりとしながら、帰路についた。
チケットは取りにくいし、値段は高いが観劇して良かったと思う。贅沢な時間だった。

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