移りゆく思いと変わらぬ景色
我が家のリビングルームの窓からはマンションに隣接している公園を彩る50メーターほど続く桜並木が望める。幼稚園、小学校、中学校、人生のステージが変わる中、変わらず花開き続けている。
中学に入学したての頃一緒に桜並木を通って下校していた友人と疎遠になった。毎日一緒にお花見をした幼馴染は一個年下だったために疎遠になった。中学のクラスではいつも1人。1人で並木道を歩いた。
中学ではコーラス部に入った。同期は今まで関わったことのないタイプの人だった。元々同年代に友人を作るのは得意ではない私はどう関わっていいかわからず、毎日会わなければならない同期のことがちょっと苦手だった。
3年の先輩はしっかりしてて、かっこいいお姉様。2年の先輩はちょっとやかましくて頼りないけど、優しくて面白い素敵な人たち。顧問は2人。優しくて頼りないけど、歌がうまくて技術指導をはじめ、尊敬する音楽の先生としっかりした、朗読が上手な素敵な国語の先生。
毎日顔を突き合わせて、時にぶつかって、笑い合って先輩も先生も同期も大好きな仲間になった。
春は出会いの季節。同時に別れの季節。
中学3年生になる春。大好きな先輩は卒業していった。部長として顧問と協力しながら、頑張ろうと思っていた矢先、2人の顧問の移動を知った。顧問以外に身近に技術指導をできる大人がいなかった。次の顧問が決まるのは最悪5月になるだろうと言われ、1年生の勧誘も、次の顧問への引き継ぎも、技術指導も、何もかも自分がやらなければいけないと思った。不安で仕方がなかった。何より別れが悲しかった。
2022年3月31日2人の顧問と活動した最後の日。その日はよく晴れていて帰りに見た桜は美しくて、でも、涙で滲んでいた。
1年後新たな顧問と、後輩たちに見送られて私は中学を卒業。新たな挑戦をすべく、実家を出て遠く離れた離島の寮へ引っ越した。新たな地に咲く桜は本土より少し遅かった。その3ヶ月後、体調不良に耐えかねて実家に帰った。
うまくいかずに帰ってきてから10ヶ月今年も、桜が咲いた。
自分を取り巻く環境、自分の状態。瞬く間に変化していく社会。そのスピードに寂しさや、焦りを感じる時もある。ただ、桜並木は変わらず、四季を繰り返す。
春にみつけた変わらぬ景色だ。
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