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映画「大きな家」が公開しました
12月20日から映画「大きな家」が公開されます。この作品は今一緒にハリウッドで映画「When I was A Human ボクがニンゲンだったとき」をプロデュースしている斎藤工さんがプロデュースした作品です。
舞台は東京のとある児童養護施設。死別や病気、虐待や経済的問題などさまざまな事情から親と離れて暮らす子供たち、彼らを見守る職員さんがこの映画の主人公です。
監督などを手掛けるのは『14歳の栞』『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』などの竹林亮さん。
すごくすごく繊細な、時にカメラが子供達への暴力にもなり得るというリスクもある中で、竹林監督は子供たちに寄り添いながら、彼らの日常、心の機微、職員さんとの関係をカメラに記録しています。
はじめて児童養護施設に行った話
高校生の頃、児童養護施設にボランティアに行っていたことがありました。
私たちは施設に行って、0歳から5歳までの子供たちと遊ぶというボランティアでした。そのとき、忘れられない出来事があって。4歳くらいの男の子が私の手を引いて階段に行って、「ドンってして」ってすごく無邪気な笑顔で言ってきて。私はどうしたらいいか分からなくてオロオロしていたら、そのとき施設の職員さんがすっとんできて、その子の事情を教えてくれました。小さい頃から虐待を受けていたこと、階段から落とされたりしていたことを本人は遊びだと思い込んでるってこと。
そしてこの施設には虐待だけではなく、いろんな事情があって親と離れて暮らしていました。今一緒に遊んでいる子たちのほかにも、小学生も中学生も高校生もいるってことも。
高校生でのうのうと生きてた私には衝撃が大きすぎて、その時のことは強く強く心に残っています。
それからそのとき、わたしが施設の先生に言われた言葉があります。
「彼の行動はすごくショックだったかもしれない。あなたもこの施設に来たのは初めてだよね。でもここにいる子たちが可哀想だとかそういうふうには思わないでほしいな。幸せかどうか。それはあなたが決めることじゃなくて彼ら自身がこれから決めていくんだよ」
この言葉は、今も私の心の深いところにずっとあります
別府ブルーバード劇場と児童養護施設
私が別府ブルーバード劇場のお手伝いをするようになってから、別府市にある児童養護施設さんにお願いして何度か一緒にイベントをしてもらったことがありました。
最初は、目黒で起きた子供の虐待事件直後のことでした。そのときは「隣る人」という児童養護施設のドキュメンタリーを上映して、光の園の松永忠施設長にご登壇いただき、虐待事件が起きた時に必ずメディアが親を批判することの危険性について話してくださいました。
それからご縁ができて、光の園の子供さんたちにブルーバードで映画を見てもらったり、映画館としても素敵な思い出を作ってもらいました。
映画を観てもらうときは施設長さんから「大きな声で怒鳴ったり、暴力的なシーンは子供たちの中にフラッシュバックを起こす子がいます。だからそういうシーンが入っている映画は選ばないでくださいね」と伝えられていて、最新の注意を払って映画を選んだのを覚えています。
施設長と話したとき、自分たちが一番心配しているのは、18歳になると退所して社会で1人生きていかなければならないこと、と話してらっしゃったことを「大きな家」を観て改めて思い出しました。
それから、もう一つ気づかせていただいたのは、「うちの子たちだけ招待してもらえるのはとてもありがたいですが、今度からうちの施設だけ招待ということよりも、他の子供達もくるイベントの中に一緒に招待してくださいね」という言葉です。特別扱いするわけでもなく、子供たちが参加する企画に、一緒に参加することが大切なんだということ。彼らが自然にそこにいることが大切なんだってことを教えてもらいました。
そして映画「大きな家」が教えてくれること
私たち大人が勝手に持ってしまうイメージってたくさんあると思います。児童養護施設ってすごく暗いんじゃないか?とか、問題児がいるんじゃないか?とか。
色んな事情が背景があるから、小さい頃から大変なことを経験している子はもちろんいるはずです。それでも「大きな家」を観て私が感じたのは、そこにいる子どもたちが、「そのまんま子供」ってこと。笑い、はしゃぎ、けんかして、怒って泣いて、思春期を迎えて、大人になっていく。施設に育ったからといって特別なこともなく、大きな家の中で育った子供たちは、この世の中にはほんとに色んな家族の形のなかの一つで育っていってるということがこの映画は教えてくれます。
この映画を見て、みんなで巣立った子供たちが安心して生きていける社会をどうやって作っていくべきかを考えていきたいな、と。
この作品は別府ブルーバード劇場でも上映します。
そのときは皆さんと一緒に考えたり、話したりできたら嬉しいです。
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![森田真帆](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61384868/profile_06d1c411b1c76ed6e9b4a3b5075905c8.jpg?width=600&crop=1:1,smart)