【6】step24 案を決めて、ソリューションを確認する
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
■ 前回までの配信
第6章 「みえる形」にする
価値を届けたい人に届けられるか, 形にしてみよう!
step24 案を決めて、ソリューションを確認する
ホワイトボードに書かれたアイデア案A「3種類のオリジナルミックスジュース(美容・体力・知能)」にグルグルと丸をつけながら庄平が振り返って語りかける。
庄平「よし、ここでやっと集中してアイデアAに対してみんなで考えられるね。」
健人「ずいぶん前だけど、試作品なら、つくったんだけどね。」
蓮人「おーそうか、もう試作品を一度作ってるんだね。本当にいい感じで進めてたんだなぁ。でもここではもう一つ、具体的な試作品、最終製品に近いものを意識したものになると思う。」
爽太「そうか。以前はとにかく美味しいものって感じで作ってたから価値ってのを意識しては全然考えてなかったな・・・。さっきのクライテリアを考えたら今までの既製品よりもっとインパクトのある違いを出さなきゃってことだよね。色とか香りとか見た目とか。」
健人「確かに、美容・体力・知能の3つの基礎テーマのイメージはあるけど、オリジナルミックスジュースの素材、どんな素材にしたらいいか正直さっぱりだな・・。」
ジョン「Not Only 製品ね。ジュース以外のことも考えなきゃだめ。」
臼田「ジョンの言うとおりです。実際には、これをどうやって販売するつもりですか?手売りでしょうか?それとも、どこかの簡易店舗を借りますか?あとは、実際に販売することを考えるとなれば、店舗なしでスマホで見られるようなウェブを中心とする販売が分かりやすいはずですよね。商品を告知して、商品を説明して。QRコードで読み込んだら詳細が見えて、納得して、選択してもらい、決定してもらいます。いつの予約か、受け渡しの方法は、ということをしっかりと考えていかなきゃらならないですよね。」
庄平「おっと、臼田くん!これは会社の会議じゃないから(笑)。あくまでも爽太くんと健人くんの小さなチャレンジとしてのビジネス。二人がちょっとびっくりしちゃってるよ。それは大事だけど頭の片隅において、今は、どんな製品がウケるのかに専念した方がいい。ちょうど、我々、次の会議にいく時間だし。」
臼田「確かに、ちょっと面白すぎて気合い入りすぎてしまいました。失礼しました。ちょうど、私は次のミーティングにいかなければいけない時間です。」
蓮人「みんなありがとう。ジュースの中身のことならちょうどメンバーを入れ替えて、葵にちょっと相談に乗ってもらいながら考えてみるのも手だな。今日はたまたま仕事が終わるのを待っててもらう予定になってるから、すぐそこの行きつけのカフェにいると思うんだ」
爽太と健人は、改めて庄平さんや臼田さん、ジョンに御礼を伝えて蓮人に連れられオフィスのすぐ近くのカフェへ向かった。昼下がりなのに外はうだるような暑さだ。葵はスマホを見てソファ席に座っていた。蓮人たちに気づくと一瞬、驚いた顔をしたがすぐにニッコリとして手を振った。2人はペコっと頭を下げる。
葵「爽太くんと健人くん。連日お疲れさま。こんな時間まで続けてたの?無理しないでね」
爽太「正直、頭から湯気が出てますよ。皆凄いんだもん。なんか知らないスポーツやってるみたい。」
蓮人「こういうのって熱中すると、あっという間に時間が過ぎるんだよな。ちょっと葵の力を借りたくて早めに来たんだ。2人のアイデアづくりを手伝ってやってくんない?」
蓮人はそう言うと、みんなの飲みたいものを聞き、空いている4名がけの席に移るようにと言ってレジの方へ歩いていった。テーブル席に着くと、葵が聞いた。
葵「それでどうしたの?私がアイデアづくりの手伝いなんてできるかな。」
健人は今日の経緯を撮った写真を見せながら簡単に伝えて、最終的なアイデアを伝えた。
爽太「それで、僕たちだけでは このジュースの素材がそこまでイメージできなくて・・。」
葵「なるほどね。そういうことなら力になれるかもしれないね。」
葵は最近お気に入りでいつも持ち歩いているトートバックから、ノートとペンケースを出した。葵のシンプルなスタイルにぴったりなカバンと文房具だ。
葵「美容、体力、知能ね・・・。まず、美容っていったらベリーなんていいかなって思うかな。ベリーは抗酸化作用もあるというのが有名だし、色も女の子の気持ちがアガるような色よね。」
健人がスマホで調べながら言った。
健人「本当ですね!!そっか・・・美容を分解してみるといいですね!たとえば肌にいいとかだと・・・にんじん!そうなんだ。」
爽太「にんじんもか〜!色が良さそうだね。」
葵「あとはパインはどうかな?」
健人「パインがあると味が整いそうですね!」
葵はノートに小さなイラスト付で美容ジュースのアイデアを書いていってくれていた。ペンケースの中の色ペンも使っている。
爽太「すごい、なんかあっという間に細かくアイデアがまとまります。葵さんに大丈夫って言われるとなんだか味も安心できますね〜。」
葵「ふふふ。もちろん 一旦のアイデアだから、試作品をつくってみて飲んでみてね。」
爽太「もちろんです!そうすると次は・・体力か〜」
蓮人「体力って言ったら、俺は毎朝バナナ食べてヨーグルト飲んでるけど。わりと体力回復の時に食べたりしない?」
蓮人が全員分の飲み物を持ってテーブルに戻ってきた。いきなり入ってきてすぐに意見が言えるあたりが議論慣れしている。さすが、今、絶好調で企業を成長させている学生起業家だ。
爽太「わ、ありがとうございます・・・!ご馳走さまです。あ、そうか、バナナか〜!」
葵「そうね。バナナはいいかも。バナナだったらミルクと合わせて、ちょっと食事のような感じでケールみたいな栄養を入れてもいいかもね。今だったらミルクもオーツミルクなんかがいいかな。ちょっとお高めだけど。」
爽太「そういえば、オーツミルクって姉ちゃんもカフェでコーヒーと合わせて飲んでたな。葵さん、黄色で合わせるなら黄色いパプリカとかは、変ですか?」
葵「そんなことないと思うな、ちょっと珍しいけどお家でスムージー作る時は入れたりもする食材だと思う。黄色のパプリカ入れて、全体的に黄色!いいじゃない♪」
葵は2種類めの体力のミックスジュースもイラストにしてメモした。
健人「よし、じゃあ最後の知能だ。知能ってなんだろう。頭が良くなる食材??魚とか・・・?」
葵「魚のジュースはちょっとね笑 でも魚の油の効能から考えると・・・あっアボガドなんていいかも。」
爽太「アボガドって、ホント、女子が好きな果物ですよね。いいですね!」
蓮人「アボガドと合わせて・・。緑黄色野菜も記憶力を高めるって言われたりするよな〜」
健人「緑黄色野菜!ってにんじんとかブロッコリー?」
爽太「そうだよね。にんじんはさっき使ったから、ブロッコリーなんかどうかな?」
葵「いいね。味をまとめたいわね。ジュースにするには・・・蜂蜜と甘酒を入れると味の満足度は高そう。甘酒は腸にもいいのよ」
蓮人「甘酒かぁ!!それは本当、葵しか出ない発想かもなぁ〜。でも絶対いい!」
葵は3種類目の知能のミックスジュースのイラストもメモした。
爽太「とってもいい感じですね!それぞれ3種類のジュースの個性があって面白いし僕でも飲んでみたい感じがする。」
健人「そうだよね。知能のドリンクなんか、テスト前とか気になっちゃうかも笑」
健人は葵のイラストを写真に撮らせてもらった。
カフェを出るともう夕日が差していた。
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