【SS】株式会社リストラ
「なんでこんな会社名にしたんですか」
丸い耳をしゅんとさせながら虎島が不満を呟いた。
「そりゃあ、リスとトラが開いた会社だしな!」
利洲山が前歯を出して笑った。ふわふわなしっぽが椅子から溢れている。
会社を開いて三ヶ月、利益はほとんどなし。仕事仲間も見つからず、社員はこの2匹のみの小さな会社。つけた本人は大満足なようだが、相方は不服なのか尻尾をいじいじ。
「リスを名前の最初に入れたかったんだよ。そしたら君も名前を入れて欲しいと言ったじゃないか。お互い望んだ形になってるだろ?」
「そりゃ言ったけど、あまりにも単純すぎるし、言葉のイメージが良くないから。誰も寄り付かないよ」
「言葉のイメージだけで語っちゃ行けない。『リストラ』という言葉のマイナスイメージを払拭してしまうくらいに、この会社を大きくしてやるんだ!」
利洲山は椅子の上に立ち上がり、胸を張って言った。
その一ヶ月後、会社名はめでたく「株式会社トラリス」に改名されたそうな。
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作品に目を留めていただきありがとうございます。
今回はこちらの作品に参加させていただきました!
昨日書いた作品もですが、400〜500字以内にまとめるのって本当に難しいですね。だらだら描写をしてもいけない、かと言ってセリフだけだと少し味気ない。塩梅が難しいところです。
ですが、基本的に短い作品ばかり書いていたので、同じような試みの企画に参加してみたいという欲が高まり、参加を試みた次第です。
今月はこれくらいの文字数の作品が増えるかも、そんな私の言葉遊びにお付き合いいただけたらと思います。
にしても、この二人はどんな会社をやってるんでしょうね。
読んでくださった方でこんな会社がいい!というのがあれば、ぜひコメントして教えてください。
内容次第では続編があるかもしれないし、ないかもしれないです。