【SS】大掃除
掃除の基本は、始めることだ。
誰しも掃除はやりたくないもので、進んでやろうとする人なんてほとんどいない。
だからとりあえず散らばったものを手に取って、戻す。
入れる場所を決めて、戻す。
決まった場所がなければ、作る。
箱を用意して、ラベリングして、新しい場所の完成。
ただ、どこにしまえばいいのかわからないものも出てくる。
もう多分使わないもの、でも捨ててしまうには惜しいと思ってしまうもの。
そう言ったものを、私はどこに保管しよう。
考えているうちにめんどくさくなって、また床に置く。
床に置いたままで片付けられないそれは、ずっと部屋の片隅で存在感を示している。
いつか片付けないといけない。
それはわかってる。
けれど、今の私にはそれをどうしていいかわからないんだ。
片付けられないものを放置したまま、掃除は続く。
床を磨いて、窓を拭いて、電球の埃を落とす。
丁寧に掃除をしていく。
部屋が綺麗になればなるほど、置きっぱなしのそれがどんどん目立ってくる。
思い出せば、私は前の大掃除の時もそれを放置していた気がする。
きっと、次も片付けられない気がする。
こうして、私の心の大掃除は、いつも中途半端に終わりを迎えるのだった。