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熊本・江津湖と水前寺海苔

■江津湖(えづこ)

江津湖は熊本市市街地の東部に位置し、緑川水系の加勢川によって形成された河川膨張湖。江津湖の周辺は湧水が豊富な湿地帯で、古い時代より人々に利用されてきた。慶長年間に加藤清正公が築いた江津塘の東側に湧水が溜まり、江津湖が形成された。江津湖は上江津湖(かみえづこ)と下江津湖(しもえづこ)からなり、地下水が豊富な湖である。上江津湖には国指定天然記念物のスイゼンジノリの発生地がある。

■スイゼンジノリ(水前寺海苔)
学名:Aphanothece sacrum

清澄な湧水に生育する藍藻(シアノバクテリア)の1種であり、九州の一部のみから報告されている。2020年現在では絶滅危惧I類に指定されている。現在、福岡県朝倉市の黄金川および熊本県上益城郡で養殖されている。食用や、寒天質基質に含まれる多糖であるサクランが化粧品に利用されている。スイゼンジノリは多数の細胞が寒天質基質に包まれ、緑色から褐色で不定形の群体を形成し、水中に浮遊している。

命名は、1872年(明治5年)にオランダの植物学者のスリンガー博士(Willem Frederik Reinier Suringar)が熊本市水前寺成趣園の池から採集されたことに由来し、種小名の「sacrum」は「聖なる」を意味し、水前寺に敬意を表して命名された。


水前寺海苔発生地の説明
水前寺海苔の保護区域




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