海にはゴミの国がある
夏、海に行きたくなる季節ですね。
さて、そんな海に「ゴミの国」があるのはご存知でしょうか?
「ゴミの国」というと少々誤解を招きそうではありますが、正確には「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる一帯のことで、海流などの関係で世界中から海洋プラスチックゴミが集まってくる場所が、カリフォルニア州とハワイの間にあります。
「ゴミの国」と言われる理由
「ゴミの国」というのは私が勝手に言っている訳ではありません。
2017年6月8日、ワールドオーシャンズデイ。「The Trash Island」が国連への正式加盟を要求しました。本当の国として成立させるために、国旗やパスポート、通貨なども用意されました。そして国としてもっとも大切な「国民」には、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏を筆頭に22万人がサインアップしたとされています。
もちろん、これはあくまで広告キャンペーンの一貫として行われた活動ではありますが、ゴミの国と言いたくなるのも理解できます。
なんとこの太平洋ゴミベルト、面積が日本の倍あると言われているのです。それだけの広さの海面を、ゴミが覆っていたら地球環境に影響を及ぼすことは間違いありませんよね。
「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された論文によると、総量は7,900万トン、1.8兆個にも及ぶそうです。
ストローが刺さったカメ、プラスティックで死ぬクジラ
何かの比喩ではありません。悲しい事実です。
ウミガメの鼻腔からストローを引き出す
※血がながれるシーンがあります。
ウミガメだけではありません。ナショナルジオグラフィックによると、クジラなどの巨大な哺乳類でさえ、プラスチックごみの犠牲になっているのです。
基本的に、プラスチックが自然界で分解されることはありません。(正確にいうとものすごく時間がかかります。)例えばそれらを、クジラが大きな口で丸呑みしたとします。
するとどうなるでしょう?
消化されないプラスチックは胃にたまり蓄積、そして胃は全てごみで満たされてしまうのです。そうなると、クジラたちは「胃は満杯なのに、やせ衰えてしまう。」という現象に陥ります。
つまり
お腹が空いて仕方なく、食べ物を求めるけど、胃は消化されないプラスチックで満たされている。
その状態で、ひたすら餓死を待つのです。あるいは、胃が裂けても食べ物を補給しようとする。そしてやはり餓死するのです。
今日、私の友人は水族館でイルカショーを見ています。ですが同時に、どこかでイルカが人間によって殺されていると思うと、深い悲しみと同時に激しい憤りを感じました。
誰かのゴミじゃなくて、あなたのゴミです。
「まあ、私たちには関係ないでしょう!」
知らない誰かが犯罪に巻き込まれた時。
遠いどこかで災害が起きた時。
ついついこう考えてしまうのが人間です。私もそう考えていました。(そしたらインスタのアカウントが乗っ取られました。)
太平洋ゴミベルト、海洋プラスチックごみ問題に関しても「どうせどこかの国が排出してるのでしょう」と考えはいませんか?
これはオーシャン・クリーンナップがまとめた、ゴミの排出国の図です。日本は小さくてわかりませんが、右端に小さく、特に東京あたりが黄色くなっていることがわかります。
またある調査では、回収したゴミの中で文字が判別できたもののうち30%に日本語が記載されていたとのデータもあります。
そしてこれらのゴミが、ウミガメを殺し、クジラをとても残酷な方法で殺しているのです。
しっかり認識しておきたいのは
「(誰かが出した)ゴミが、動物を殺した」
のではなく
「私たちが(出したゴミが)、動物を殺している」
ということ。
少々過激ですが、海の生態系を崩しているのは、「ゴミ」ではなく「人間」です。ゴミが悪い、ゴミを出したのは誰だ!と責任を押し付け合うのではなく、地球市民として「海の豊かさを守る」ために「つくる責任」そして「つかう責任」を果たしていきたいですね。
今回私が書いた内容が、WWFのページにものすごくわかりやすく乗っているので、興味があるかたはぜひご覧ください。