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【麻雀諺】四面楚歌も一閃(いっせん)の和了(あがり)

1. 諺(ことわざ)

「四面楚歌も一閃(いっせん)の和了(あがり)」

2. ことわざの意味

どんなに不利な状況でも、一瞬の好機が全てを覆すことがあるということ。絶望的な状況の中で、奇跡的な一手を見つけることの大切さを表している。

3. 例文

Aさん:「もうダメだ、完全に包囲されてる…」
Bさん:「いや、諦めるな。四面楚歌も一閃の和了って言うだろ?」

麻雀ことわざ新帖

麻雀という遊戯は、どうしても理(ことわり)を超えた「不思議」と隣り合わせだ。

夏の盛りの夜、汗ばむ肌を扇風機の風がかすめる中、私は友人たちと深夜の雀荘にこもっていた。

卓を囲む者たちの表情は真剣そのもの。牌を打つ音だけが空気を切り裂く。

私はというと、手配がどうにも乱れていた。
刻一刻と追い詰められ、牌を見つめても和了(あがり)の光は見えない。

立直(リーチ)を掛けるには遠く、点棒も心細い。
それでも、とにかく場を流すために、意味もなく牌を切り捨てていた。

「ここまでか…」と、内心で諦めかけたその時、対座する友人が「リーチ」と告げる。

張りつめた静けさの中、誰もが神経を研ぎ澄ませている。

私の手の内はどう見ても、和了れそうにない。
自分の無力さに歯噛みするばかりだった。

だが、三巡ほど過ぎ、何の期待もせず引いた牌が、
奇跡的に最後の和了を決する一枚だった。

まるで稲妻が闇夜を裂くように、私の胸を鋭い衝撃が貫いた。

「まさか…」と、誰かが呟く。

あの瞬間の感覚を言葉にすることは難しい。

ただ、雀卓の上で感じたその一瞬の高揚は、今も鮮やかに脳裏に刻まれている。

麻雀という遊戯には、計算や理屈では語り尽くせぬ「不思議」が潜んでいる。

確かに、技巧や経験が勝敗を左右することも多い。

だが、同時に、運命の気まぐれがもたらす予測不能な展開が、いつでも私たちを惹きつける。

絶望的な状況においても、一筋の光明を信じること。
牌を握る手を止めず、逆境を受け入れたその者にこそ、運命の和了が訪れる。

「四面楚歌も一閃の和了」。

この一言には、麻雀の真髄が凝縮されている。
不利な場面を恐れず、状況がどうであれ淡々と牌を打ち続けること。

それが、麻雀の魅力であり、やめられない理由なのだ。
理を超えた不思議にこそ、麻雀の奥深さが宿る。

夜も更け、窓の外では街のざわめきが徐々に静まっていく。
雀荘の薄暗い照明の下で、私たちは次の局に備える。

心の中では、まだ先ほどの一瞬の光がちらついていた。

あの奇跡の和了が、卓を囲む意味を改めて教えてくれたように思う。

不思議で理屈に収まらぬ遊戯だからこそ、私たちはまた明日も、この席に戻るだろう。

結果を求めるのではなく、運命を味わうために。

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嵐山 役満
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