なぜドラ表示牌を2枚開くか(3) ~ 裏ドラについて
前回に続き、私が提案する麻雀の新ルールについて。
今回は「なぜドラ表示牌を2枚開くか」に関係する話題のうち、裏ドラについて説明します。
ゲームの活性化のためにドラを増やそうということで、前回は赤牌でドラを増やすやり方の問題点を指摘しました。ではもうひとつの手段である裏ドラはどうなのか?
裏ドラの性質は、
局が終わるまでずっと効力が続く
最大で4翻の上乗せになる
何がドラになるかわからない
です。これは非常に強力で、あまりに強力すぎてゲームバランスを大きく揺るがすといっても過言ではないでしょう。
ひとたびリーチがかかると、局が終わるまで裏ドラが乗る可能性が継続しますから、リーチを受けた側は最終巡目までずーっと手作りに制限をかけられてしまいます。
何がドラになるかわからないし、最大4翻の上乗せですから、1000の手が8000に、8000の手は12000や16000になるかもしれません。ベタオリがぐんと発生しやすくなります。
逆にこの強さを活かして、役を作らずテンパイ速度だけ重視する戦法をとることが増えます。「一番先にリーチできる」というだけで、非常に強い攻撃になり得ます。
たとえ和了れなくても、あるいは裏ドラが乗らず安く終わったとしても、高い手を作っていた人を潰せたり、ノーテン罰符をもらえたりするわけですから。
前回、麻雀の「役を作る面白さ」がなくならないようにしたいという話をしました。
裏ドラは、役を作ろうと頑張らないことが得になる存在です。役は「たまたまできそうなときだけ」追えばよい。
どうせ採用役が少ないのでたまにしか役はできませんし、ドラがなければ大して高くなりません。「手なり最速リーチで裏ドラ期待」のほうがたいていマシです。
また、テンパイ速度が遅そうな配牌=先にリーチを打たれるわけですから、上記のリスクを考えれば、配牌を見た時点でオリを想定して安全に構えるのも大いにアリ、となります。
裏ドラがあるルールで有効な戦法を考えると、
早い手牌:とりあえず役のことは考えず最速テンパイ即リーチ
遅い手牌:オリ想定で配牌時点で安全志向
が基本手筋となり、打ち手側としては役を作る楽しさが乏しく、観戦する側は手なりとベタオリを眺めるばかり‥‥という局が多くを占めます。
裏ドラは麻雀の重大な要素である「鳴き」が発生しにくくなる要因でもあります。裏ドラは面前でないと見られませんし、手の安全度が下がりますから、あまり鳴かなくなるのもうなずけます。
“麻雀に内在するいろんな面白さができるだけ全部生きてほしい”私としては、鳴きという面白さを大いに減らす裏ドラは非常に厄介な存在です。
赤牌があるルールだと打点が高くなりますから、リーチに対して押し返すことも多少は増えますが、それでも何が裏ドラになるかわからないから警戒度は高い。
Mリーグで、高い手の人でもリーチに対してかなり慎重に打っている姿がよく見られますね。
しかし打点が作りやすいぶん鳴きは増えますから、そこは良い点です。
裏ドラありでカンが入ると事態は深刻です。カンドラ・カン裏で合計8枚のドラが場に追加されます。リーチのみの手が倍満になるかもしれません。これはあまりにバランスが悪いのではないでしょうか。
以上、裏ドラの問題を見てきました。
ただ手なりで打つだけで高くなったりするので、ギャンブル性が高くてバクチとしては面白いかもしれません。
しかし役を作る面白さ、鳴きの面白さを減退させるのはいただけません。
観戦する側としては、やはりぶつかり合ってくれるほうがシンプルに面白いわけで、リーチが入った途端に終局までずっと消極的になるのはあまり楽しくない。
とはいえドラは増やしたい。
ということで、結論が「裏ドラなしでドラ表示牌を2枚開く」でした。
次の記事では、リーチ一発とカンドラを採用する理由について書きたいと思います。