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私、ヲタク先生。【2】

クラスが始まると、前任の先生からの引継ぎの資料が届いた。持ち上がりがあるクラスだから、クラス替えもない。だから、去年起きた問題なんかが載ってあった。

一つ一つ丁寧に見ていけば、問題ない、と思っていた。

でも、そうじゃなかった。

元々授業研究なんてそこそこしかできなかった。上手い人はいくらでもいた。教員採用試験にだって落ちた。でも、それでも「先生」が名乗れるのは「講師」だから。

最近は先生の数が減ってしまって、講師を入れて数合わせをすることが多いと聞いていた。私はせいぜい、講師は正式採用までの修業期間としか思っていなかった。

それが、地獄への始まりだった。


無知の知があると、かの哲学者が言っていたけれど、ここでは【無知の死】が待ち受けていたんだ。

私が授業を進めるにあたって見ていたのは「○○市スタンダード」というもの。これは各教育委員会に同様なものが置いてあったりする。先生の力量不足を解消するためのもので、これに沿っていけば、とりあえず形だけは何とかなる。

でも、それを使いこなすのはやっぱり人間。どんな高性能な機械でも、馬でも使いこなす人間によっては全く使い物にならなくなる。

そう、多くの先生方が英知を結集させて作り上げた指導集も、私にとってはただの紙の集合体でしかなかったんだ。

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一色真鳴
援助金は私の創作物の印刷費に主に使用されます。 また、余裕があれば保護猫ちゃんにも使いたいなと思っています。よろしくお願いします。