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【短編小説】暇人 最終話(全八話)

僕はただ呆然と立ち尽くす。
夢だった、それが信じられないのだ。

それ以外に考えられないのに、そう考えたくはないのだ。

ふと隣に気配を感じた。


隣の少年も同じように掲示板を見ている。
僕は、邪魔にならないようにそっと退こうとした。

「次郎」

 ふと名前を呼ばれて振り返る。僕はふとこうこぼすのだ。

「……喜助」

 ここは地獄。生きることを諦めてしまった者たちが後悔をし続けるための場所。
空にはいつも鉛色の雲が立ち込める灰色の町。
臆病者だった私は、年を重ねるにつれすべての物が人が音が言葉が怖くなっていった。
そんなことはなかっただろうにすべてが私に牙を剥いているように見えて、自分がこの世に生まれてきた意味が分からず、大人になることが怖かった。
いや、きっと大人になんかなれないと思ったのだ。もう未来なんて見えないのだから、臆病者の私は幸せになどなれないのだから、そう私は飛び降りたのだ。

今にも雨が降り出しそうな曇天の空に。

「すまないね」

 私はもうこの世界にはいないのだ。
それでもこの世界にいてくれて良かったと言ってくれたこと……本当に嬉しかった

 全く君たちが来てから僕の後悔は深くなるばかりだ。
私は辛くなってぐっと心臓を抑えうずくまる。
この鼓動を止めてしまいたと思ったのは私だろう。それなのにどうしても……ふと茜色の光が俯いている私を誘う。
どこからの光だろうか。顔をあげるとあの厚い雲の切れ間から光が差す。

それはいつぶりかの光。
優しくて切ない、夕空の光だった。

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真昼ノ星
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