【短編小説】眩耀 最終話
顔をあげる。その声は小学生のものだ。おしゃまで愛らしいその子を私は知っている。
あの子には私が見えている? その言葉に私は震える。
そこには、友達とじゃれるあの子がいた。
もうずいぶん大きくなって私と同じ中学生だ。ひととき目が合ったような気がした。でもそれはきっと気のせいだ。
友達とじゃれあっていたあの子は何らかの物を取り返したらしく仲良く駄弁りながら他の大勢と共に去っていった。
私はもうずっと忘れていたんだ。
あの子というのは私の妹のこと。最後に見たのはきんきん声のまだ小さなあの子の姿だった。あんなにおっきくなっちゃってさ。私はそっと微笑んだ。
靴下のまま夜の校庭を闊歩する。月夜に鼻をすする。
いつか、あの子は私をおいて年老いていくのだろうか? それとも私は光に包まれてそのまま消えちゃうとか?
もしくはさ、あの子に見つけてもらって幸せに旅立つとかね。
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