自分で決めたいお年ごろ。
放置しっぱなしのこのnoteだけど、いよいよ記しておきたいことが発生した。
先日会社の健康診断後、わりと早いタイミングで病院から会社に電話があった。
毎年健康診断の手配を自分がしていて、直接病院から連絡があったら「なにか引っかかったな」とピンとくる。誰宛か尋ねると、自分だった。
やっぱり引っかかったな、最近体の調子良くないし・・・と思いつつもど部分か聞いたら
「胸部X線です。肺ですね」とのこと。
夜寝る時ヒューヒューいってたもんなぁと思い当たるところもあり、すぐ再検査の日程を入れた。
再検査の結果は右肺がんの疑い。
後から調べたけど、見てくれた先生は肺がんのプロっぽいのでおそらく間違いはない。
すぐ大学病院に連絡するから、明日朝イチで行くようにと告げられた。
病院を出てまず考えた事は、一緒に住んでるパートナーのことだった。
彼は数日前うつ病の診断を受けていた。
一晩考えよう。そう考えて帰宅。
その夜は流石に眠れなかった。
実は仕事を辞めて、2週間有給消化に入ったばかりだった。
来月からは新しい仕事にも行きたい。
眠れないまま、紹介された大学病院に行く。
先生と持参したCTの結果を見ながら話をする。
「現状では、あくまでも疑いなんです。なので検査をしましょうね。こわくないですよ。」とは言ってくれて、なにか気になる体調はあるかとのことだったので、寝る時の喘鳴だったりを伝えた。
「この検査結果が出るまでが、1番辛いかもしれません。でもこわくないですよ。」
先生はこわくないことを何度も強調してくれた。
チラッと見えた紹介状にも「疑い」の文字。
はっきりさせた方がいいんだろうなとは思い、検査の説明も聞いた。
検査は
・血液検査(腫瘍マーカー)
・PET-CT
・頭部MRI
・生検
こりゃフルコースだね。
半日時間を使い、たくさんの検査の予約をしたけど、ふと
「ガンだと確定して、自分は治療をするのか?」ってことが過ぎった。
病気になれば、治るように治療する。
それが当たり前なんだけど、それは自分が望むことなのかなって言うのがあった。
自覚症状もないし、多分リンパ節転移もないからステージ1、胸腔鏡でさくっと取れるって言うのが、最初の先生の見立てだった。
発覚した時には末期でした。なんて方たちからしたら「早期のうちに」って思われると思う。
ただ、治すか治さないか。それだけのはずで、大半の人は治すを選択すると思う。
今、現時点で治療をして寿命を延ばすことは自分が望むことなのか?
今の時代、がんは2人に1人の確率でなるらしい。
標準的治療も浸透していて、早期であれば治る可能性は高い病気。
そうは思っても「がんかもしれない」と言われた時のショックは相当でかい。
これからのこと、仕事のこと、お金のこと。一気に考えを巡らせた。
差し当たってこの検査の量と金額。それから時間。
たくさんの検査を説明する用紙、同意書を渡されて、
今日少しでも検査しましょうと、右往左往させられる。
心の準備ができないまま、検査と場合によっては入院。
ちょっと待って。少し今後について考えさせてほしい。
確かにがんかどうか確定しないと落ち着かないかもしれない。
はっきりしてから考えても良いかもしれない。
それでもゆっくり考えたかった。心の準備の時間は欲しい。
5年ほど前、子宮を全摘した。
これはのっぴきならない事情で、入院も手術も仕方ないことだった。
ただ手術後の痛み、苦痛、悲しみ、一睡もできない辛さ。
たった10日の入院だったのに、毎日毎日家に帰りたくて仕方なかった。
退院予定日の2日前の診断で、少し熱が高めだったため少し退院を伸ばしましょうと、言われた時の絶望感。
あれをまたやるの?絶対嫌だ。
例えば、私が30歳だったら治療したかもしれない。でももう50歳だ。
もし今回完治したとしても、また数年後がんになる確率は高い気がする。
これから先、病院とあのかたいベッドで過ごすの?
治る希望にすがって生きていくの?
どれも答えはノーだった。
普段周りのことを考え、どれがみんなにとって最善か考えて生きてきたけど
強い意志をもって、これだけは自分の好きにさせてほしい。
だから誰にも言わないことにした。
もし私が家族・パートナー・仲間から「がんかもしれないらしい」なんて聞いたら、感情が少しも波立たない自信はない。
「ガンは切れば治る」とバッサバッサ切っているDr.X大門みちこを見てきた私も、同じように切れば治るって言い聞かせて、病院に連れていくかもしれない。
それがどれだけ自分本位の考えかと、自分ががんの疑いをかけられて初めて気がついた。
今やがんは治る病気だとしても、事実としての衝撃はでかい。
その衝撃を大事な人たちに与えたくない。特に大事なパートナーには。
長生きできる、できないは置いといて、今を楽しく過ごしたいと考えると
治療することも誰かに話すことも、なにもハッピーにはならないと思った。
(2023.03.09追記)
この記事を書き記して、下書き保存にしたまま1年が経ちました。
何か変わったかと言われると、残された期間は無限ではないことを念頭において、いろいろな事を選択することが多くなりました。
検査にも行っていませんが、頭部MRIは頭痛がひどい時に撮りました。
きれいな脳みそでした。
夏にはコロナに罹り、秋には気管支炎?(コロナの検査ばかりされて、実際の病名は分からずじまい)になり、きつい思いをしましたが、がんとは無関係。
11月には誕生日を迎え、ポケモンSV(私はバイオレット)で毎日遊んでいます。
毎日仕事して、遊びに行って、おいしいものを食べ、たまにはケンカして。パートナーと幸せな日々を過ごしています。
人は都合がいい生き物。
「もうすぐこいつと会うのも最後」と思えば嫌な上司も、よかった面を思い出したりします。
「時間は有限ではない」効果で決断が速くなったり、やりたいことを後回しにすることも減りました。
このまま治療せず、がんがすくすくと成長していつしかこの選択を後悔するかもしれない。
それでもこの時決めたことを忘れたくなくてここに残します。