2021年6月の記事一覧
マシーナリーとも子EX ~迫る水棲篇~
涼しい部屋だった。
地下に作られたその部屋は四方の壁を敷き詰めた岩で作り、出入り口は地上階からの螺旋階段を通すための穴ひとつだった。エアコンも据え付けられていない。だが不思議なことにその部屋は常に気持ちのいい風の流れが感じられ、湿気もなくカラッとしている。
奥にある本棚に囲まれた机に、男が座っている。おそらく……男だ。体躯は問題なくヒューマノイドの典型的なバランスだった。2本の脚で立ち、腕と
マシーナリーとも子EX ~作家・西山知之への取材篇~
なんでも好きなもの頼んでいいのかい? 本当? ギャラから引いたりしないだろうね。
あっそ。じゃあ遠慮なく頼んじゃおうかな。お姉さーん! スペシャルパフェひとつね。
ん? なんだよ。俺みたいな中年がパフェ頼んじゃまずいかい? あのさ、言いたいことはわかるよ。でも人の金でさ、こういう喫茶店で頼めるんならさ、いちばんトクって感じだろ。俺もさ,たまに来るよ喫茶店。で、食べ物食べる時だってあるさ。でも
マシーナリーとも子EX 〜森林のASMR篇〜
「ヘイ……こいつはすごいな」
いま倒したばかりの鹿の頭を優しくトムが撫でた。その様子を相棒のブラウンがしっかりとカメラに収める。
「トム、今のは音声なしの方が雰囲気があると思う。もうワンテイクだ」
「オーケー、すまない。久々に大物だったからついな」
言われてトムは数歩下がり、今度は沈黙したまま鹿の頭を撫でた。尺は余裕を持ってねっとりと……カメラに収める。
「オーケーだ! ここで一度カッ