『北田卓史 原画の部屋』 海水浴に行こう
みなさんこんにちわ。児童画家北田卓史の描いた原画を管理しているTaxiPro.です。
今年の夏は、残念ながらコロナ禍で海開きもできなかった海水浴場が多かったようです。去年に続き思い切り海水浴を楽しむことができずに残念な思いをしている方も多いのではないでしょうか。
今回は、北田卓史が海水浴の様子を描いた原画を紹介します。今年海に行けなかった方もこの原画をご覧いただいて、少しでも海水浴の雰囲気を味わっていただければ幸いです。
まずは、タイトルの絵です。1970年の作品です。
パターン化された波が左から右に向かって規則的に寄せていく様子が描かれています。
水着姿の女の子が海に向かって両手を大きく広げて立っています。
それに応えるようにカモメが一羽、波頭の上で翼を広げています。波うち際ではカニも鋏を振り上げています。
夏休みに海に遊びに来た女の子の明るく開放的な気持ちが表れていますね。
女の子のサイケデリック調の水着が時代を感じさせます。
海水浴客で賑わう白い砂浜を空から眺めた様子です。
浜辺には、海の家や売店が立ち並んでいます。貸しボート屋さんも営業中。沖にはヨット、空には飛行機、トンネルを抜けてきた電車が海水浴場の目の前の駅に到着したところです。たくさんの海水浴客が降りてきました。
ドローンで撮影したかのような絵ですが、もちろんこの当時そのような機材はありませんでした。
海水浴場の喧騒と波の音が聞こえてくるようです。
ビーチボールを持つ男の子と浮き輪をした女の子が描かれています。
「北田卓史を知っていますか」の回で書いたように、北田卓史の絵に登場する子どもは、平面的な顔に、ちいさい目と小麦色の肌が特徴なのですが、この絵の二人は本当にこんがり日焼けしています。
女の子が被っているのは、耳まで隠れるタイプの水泳帽です。今ではあまり見かけませんね。
画面の上部の半分以上をパターン化された波と大きな雲が占めていて、左側に岬の灯台、右側には沖を行くタンカーが見えていて、夏の海のどかな雰囲気を感じさせます。
1970年の作品です。
こちらは、画面のほとんどを空と雲が占めています。主役は空に向かって広がる大きな入道雲です。
子どもたちが海の上で泳いだり、ボートを漕いだりして楽しく遊んでいます。でも、そのすぐ下には、海藻が揺れる林のなかを魚やタコが泳ぎ、クラゲが漂っています。海底ではカニが巣穴を堀り、イソギンチャクのそばをナマコやヒトデが這いまわっています。
子どもたちが泳ぐ海面の様子は画面の上部のほんの少し。普段私たちに見えているのは、この画面の上部だけ。その下には、深く広い海の生き物たちの世界が広がっています。
今年の海のシーズンは、そろそろ終わりですが、来年こそ思い切り海を楽しめますように。
それでは、今回はこの辺でお仕舞にします。