『北田卓史 原画の部屋』 電車でGO!
みなさんこんにちわ、児童画家北田卓史の描いた児童画の原画を管理しているTaxi Pro.です。
「街を行き交うくるまたち」の回で書いたように、北田は、のりものの絵を得意分野にしていました。今回は、電車を描いた原画を紹介します。
タイトル画像の絵は、もちろん新幹線です。高速道路を走る青いスポーツカーを抜き去っている場面です。
今では懐かしい、先端が丸い初期型の車両です。
この絵は1968年の作品です。東海道新幹線は、1964年10月10日の東京オリンピック開会式の直前、10月1日に開業しました。名神高速道路が開通したのが1965年、東名高速が全線開通したのが1969年です。この絵が描かれた時代、新幹線は、高度成長を続ける日本の最先端技術の象徴であり、子どもたちにとって、憧れののりものでした。
一方こちらは、地方の長閑な駅前ロータリーを俯瞰した様子です。いつどこに掲載されたものかは不明です。
ボンネットトラックやバスの形が時代を感じさせますが、現在の駅前ロータリーとそれほど違いはないですね。レンガ造りの駅舎が東京駅のミニチュア版のようです。
電車とバスのデザインから、前の絵の続きであることが分かります。
駅を出発した電車とバスが並んで走ってます。軽トラックの積み荷は冷蔵庫のようです。むき出しのまま運んでいます。
電車だけでなく線路や架線も細かく描かれています。
動物園行きの電車を子どもが運転しています。両側の景色が書き割りのように平面的に描かれている不思議な構図の絵です。真ん中に一本まっすぐな線が入っているのはなんでしょう。二つ折りになるのでしょうか。
今も昔も電車の運転士さんは子どもたちの憧れの職業のひとつ、電車を運転している自分を空想している様子を描いているのかもしれません。
次は地下鉄です。
1971年の作品です。地中を地下鉄が走ってる様子を断面図にして描いています。これは東京の丸の内線のようですね。この頃の丸の内線は、サイドの波型の模様が特徴的だったのですが、この絵では省略されています。
地上に見える観覧車は、後楽園遊園地をイメージしているのでしょうか。丸ノ内線の後楽園駅は地上にあるので、現実の風景とは異なっています。
これも地下鉄のトンネルの断面図で、2路線が交錯しています。こちらは1982年の作品です。現在東京の地下鉄は13路線あるのですが、この頃にはすでに10路線が開業しており、地下鉄のトンネルが上下に行き交うような複雑な路線網の様子を表しているようです。
夜の駅です。
時計をみると12時20分なので、おそらく最終電車なのでしょう。
どのような本のために描かれた絵なのか分からないのですが、北田の絵にはめずらしく哀愁を帯びた雰囲気です。
夜の操車場です。
入線してきた電車はひとつ前の絵と同じ模様のラインが入っているので、先ほどの最終電車が一日の仕事を終えて車庫に戻るところのようです。
なんとも言えない色調です。
今回は、電車の原画を紹介しました。同じ鉄道でも機関車の絵もありますが、それはまた別の機会に譲りたいと思います。
では、今回は、この辺で終わりにします。