『北田卓史原画の部屋』 お正月の遊び
明けましておめでとうございます。
北田卓史は、昭和20年代から平成の始めにかけて児童書や絵本などにたくさんの作品を残した画家です。
代表作には、「チョコレート戦争」(理論社)、「車のいろは空のいろ」(ポプラ社)、「さとるのじてんしゃ」(小峰書店)などがあります。これらは、いまでも版が重ねられており、大きな書店にいけば、児童書のコーナーで見つけることができます。
TAXI Pro.では、管理している北田卓史の原画を少しづつ公開しています。新年最初の記事になる今回は、お正月の遊びを楽しむ子どもたちの様子を描いた作品を紹介します。
お正月といえば、まずは凧揚げ。大きな奴凧を揚げています。1964年の作品です。
よくみると、遠くの凧には、鉄腕アトム、鉄人28号、白頭巾のお侍といった時代を感じさせるキャラクターが描かれています。画面左に小さく見えるのはとんび凧ですね。カラス除けにも使われたという珍しい凧です。
今では、公園などでみかける凧も西洋凧ばかりで、この絵のようにお正月の空にたくさんの和凧が揚がっている光景は、見られなくなってしまいました。
ただ今年は、コロナ禍で、3密にならない遊びとして、例年以上に凧が売れているそうなので、もしかしたら和凧を揚げているところが見られるかもしれません。
こちらも奴凧を揚げています。女の子は晴れ着を着ています。1972年の作品です。先ほどの絵よりは大分新しいものですが、このころはまだ街中で凧を揚げることができたのでしょう。
この絵では、左下に一部白く残された部分があります。これは文章が入るスペースとして残してあるのだと思います。
福笑いです。遊んでいる子どもたちの隣で、おばあさんが火鉢でお餅を焼いています。1973年の作品ですが、このころの家庭ではまだこのような光景が見られたのでしょう。
この絵では、上半分に大きなスペースが残されています。これも先ほどの絵と同様にこの部分に文章を入れるスペースを残しているのだと思います。
このように絵本の挿絵は、文章などの他の要素と一体となり、出版物に掲載されることで、初めてひとつの作品として完結します。このため原画単体でみたときには、いささか不自然と思われるような構図のものがしばしばあります。
次はかるた取り。
くま、うさぎ、りすがかるたで遊んでいます
かるたもお正月の遊びの定番ですね。
くまもうさぎも真剣です。
おや、窓の外になにか見えますね。
うぎゃあ! 窓いっぱに大きな顔が現れました。
くまもうさぎもびっくり。
りすは逃げ出そうとしています。
あぁ怖かった。いまのは一体なんだったんだろう。
なあんだ。ぞうが揚げていた特大の凧が窓の外をかすめていったのでした。
というのが落ちのお話でした。
今回は、これでおしまいです。
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