『北田卓史 原画の部屋』 夏の虫たち
みなさんこんにちわ。児童画家北田卓史の描いた原画を管理しているTaxi Pro.です。
いよいよ夏本番。夏休みの子どもたちの楽しみのひとつが昆虫採集ですね。
北田卓史が児童画を描いていた1960年代、70年代には東京にもまだまだ雑木林や原っぱが残っており、そこではたくさんの昆虫をみつけることができました。
今回は昆虫が描かれた原画を紹介します。
まずはこちら、1970年の作品です。
カブトムシの周りにいろいろな虫たちが集まっています。
バッタ、蜂、玉虫、カミキリムシ、テントウムシなど、どの虫も細かい模様までリアルに描写されています。
カブトムシは他の虫たちより、ひと回り大きく描かれています。虫たちになにか教えている先生のようにも見えます。
大きくて力持ちだけど、食べ物は樹液だけ、他の虫に害を加えないカブトムシは、絵本の世界の主役にぴったりです。
ノコギリクワガタを中心にたくさんの花を荷車に乗せて運ぶ虫たち。アゲハチョウやモンシロチョウも飛びながら綱で引っ張っています。
土筆が芽を出し、遠景の緩やかに続く丘にはタンポポが咲いているところを見ると、春の情景を描いたもののようです。
野原に咲く赤いユリの花にクロアゲハが止まろうとしています。その周りにはトンボ、モンキチョウが舞っています。
クロアゲハの手前ではカマキリがカマを振り上げています。草むらのなかをよく見るとキリギリス、オンブバッタ、トノサマバッタ、地面にはコオロギが隠れています。
キリギリスとトノサマバッタの違いわかりますか。画面左にいる胴が黄緑色で足と触覚が長いのがキリギリス、画面右側の茶色がかって触覚の短いのがトノサマバッタだと思います。
夏の夕立、小鳥と一緒に虫たちが木の枝に止まって雨宿りをしています。
激しい雨が降り出したときは、虫たちも木の下に身を潜めるのでしょう。
トンボが止まっている二本の綱と、右上の枝を支えている添え木のような板が何なのか、この絵からだけでは分からないのが残念です。
この絵は、おそらく前の絵の続きだと思います。夕立が上がって虹がかかり、リスや虫たちが一斉に動き出しました。
この二枚の絵は、別々に保管されていたので、どのようなお話なのか他にも関連する絵があるのか、いまのところ分かりません。
1967年の作品です。
こちらも突然の夕立に虫たちが慌てて隠れる場所を探しています。
小さくなった子どもたちも、虫たちに手を引かれて、お菓子の箱、スプレー缶、空き缶と漏斗、カボチャなどで作った家の中に逃げ込んでいます。
最後は、こちら。1974年の作品です。
真夏の太陽の下で、汗を拭きながらジュースを飲む大きな角のカブトムシ、日傘をさしてアイスクリームを食べるクワガタ、うちわを持ったカナブンなど、いかにも暑そうですね。
この絵のカブトムシは、今回紹介した他の絵と違って大分マンガチックに描かれています。
それでは、今回はこの辺で終わりにします。