「地理総合」の一環に触れてみる
2022年度から高等学校で始まる新学習指導要領では「地理総合」という新たな科目が行われることになる。その教科書の一ページで、生徒には「GIS(地理情報)システムの活用」といった地理の授業において主体的に調べ学習をするための方法を身に付ける機会が求められてくる。
GIS(地理情報)システムの活用については、以下の通り。「地理総合」の授業では、従来の紙地図を用いた教育に加えて、GIS(地理情報システム)を活用して地理的な情報を調べ、分析したり考察したりする技能の習得が目標の一つとなっている。
新学習指導要領は、地理的技能の獲得のためにGISを教育の内容全体において活用することを求めるように明記されているが関連他教科である情報科や中学社会科では少なく、地理では踏み込んだ表現を行うことがある。しかしながら現在の高等学校における地理教育では、GISの活用が不十分である課題が多く指摘されているし、なお教職員の中でもこのようなシステムに関する指導の課題は多く残されている。問題解決するためには教員が、しっかり地理的技能の獲得手段として、GISによる効果を認識した上で現場の実情に合った方法論と教材を共有することの専門性が求められてくる。ということを文部科学省では、強く提唱されている。
そこで、私はある大学の講義履修にあたり実践した。そしてまとめられたレポートがあるので引用する。ここで学んだ知識と経験を活かして、授業現場では、生徒に調べ学習として掲示して主体性ある学びを展開していくことで、地理という楽しさを伝えればと考えている。なお、レポートのテーマは、「自分の出身地(市町村)の地誌について、述べなさい。」である。
1、はじめに
私が住んでいる市町村は、北海道の中で一番大きい政令指定都市であり、人口が全国で 5番目にあたる都市といわれている。それが札幌市である。札幌市は全部で 11 区から成り立ち、私は東区に住んでいる。生まれた時から今もずっと 30 年以上、札幌市から出たことは、私は東区に住んでいる。生まれた時から今もずっと 30 年以上、札幌市から出たことはないほど、地域を愛しているというほどかどうかは自信ないができる範囲でまとめていきたい。また今回の「地誌」の講義を受講するにあたって、出身地域である札幌市と、同じ政令都市ながらも面積がもっとも低い川崎市を比較しながら考察していく形でわかるようにまとめてみた。そこに授業で得た「比較して考えていくという視野の捉え方」を意識していくつもりである。
2、人口と面積について
私の住んでいる札幌市は、先ほど述べたように北海道の市で、道庁所在地ならびに石狩支庁所在地である。政令指定都市の中では名古屋市に次ぐ広大な面積(1,121,26 ㎢)を持ち、東京特別区を含め 5 番目の人口を有し、日本で最も北(北緯 43 度 4 分、東経 141 度21 分)に位置する 100 万都市でもある。(札幌市 a、2020)そして日本最大級の人口規模の内陸都市で、北海道の政治・経済の中心都市である。東区でさらに見ていくと、264,664人が住んでいることがわかる。市内の中で 2 番目に密集している区となっている。(札幌市b、2020)
札幌市といえば有名な話として挙がるのが 2020 年東京オリンピックのマラソン・競歩競技の会場が札幌市に突然変わったニュースで騒がれたことは最近である。しかし、オリンピックといえば、1972 年にも札幌オリンピック開催を機に世界的な観光都市となったといわれている。また、札幌駅前とすすきの・大通というところでは近隣都市からも集客するデパートや集客施設やホテルなどが建ち続けており、その経済圏の人口は 340 万人に及んでいる。今もや 2030 年北海道新幹線が札幌まで延長実現に伴う近隣の再開発が発達し続けている。これを機に市外からの転入者が増えていく傾向と予想される。
それに対し政令都市ながらも面積がもっとも低い神奈川県の川崎市では、神奈川県の北東端に位置する政令指定都市である。東京特別区(東京 23 区)及び政令指定都市 15 市の中で面積は最も小さいが、人口は全国第 9 位(1,539,522 人)である。(川崎市、2020)神奈川県の北東部に位置している。市の北部は東京都との境に多摩川が流れ、東部には東京湾が広がっている。市の南西部は多摩丘陵と呼ばれる丘陵地帯となっている。札幌市と川崎市は同じ政令指定都市でありながら、面積が 1,121.26km²(札幌)144.35km²(川崎)となっており、その差は歴然としている。これは、札幌市が北海道の経済の中心となっているのと反対に、川崎市はその機能を東京都に委ねているため、東京のベットタウンとして人口過密によるものと考えることができる。
3、土地形成と気候について
北海道は自然豊かな広大な大地であるが、札幌市に絞ってみると自然豊かというよりは都会というイメージが強い街づくりである。山、川多くといったイメージは少しだけ正反対というのが私の印象である。ただ豊平川が大きく札幌市内 11 区をすべて渡っていることがわかる。河川を示す面積としては、豊平川の次に国内3位の長さとして流れている石狩川があるという特徴が伺える。気候は日本海型気候で、夏は爽やか、冬は積雪寒冷を特徴としており四季が分かりやすく移り変わるほど、鮮明であることが特徴であり、年を通しての平均気温はおよそ8.9 度である。(札幌市 a、2020)
川崎市のある神奈川県での気候を見てみると、本県の気候は、北西部に丹沢や箱根の山地をひかえ、東と南が平野と海に面し、また、太平洋の黒潮の影響を受けているため、温暖で雨量の多い太平洋側気候となっている。年を通しての平均気温はおよそ 16.9 度である。(神奈川県、2020)
神奈川県川崎市と札幌市の「猛暑」というのは表現が違うというのが私の思うイメージであったが、最近は札幌市でも 33.1 度の最高記録(北海道新聞、2020)を出すなど暑くなっている印象があり、温暖化の影響なのかというのも注意していきたいところである。
4、まとめ
このように神奈川県川崎市と比較してみたが、他に人口密度でいうと北海道は 47 位と都道府県では最下位であるがこれは面積が広いため(都道府県で1位)にそうなるのは当然である。この流れは今後も続くが、札幌市がよければそれで良い、という視野では多くの問題が解決できない課題もある。
例えば生産年齢人口の4割以上が札幌市に集中すると、北海道全体の市政の役割に偏りが起こりうるのだ。北海道=札幌市という在り方を考えたとき、教育・医療全体などの検討事項が山積みであるために主体的に議論をしていかなければ連携口集中が目立っていることが最近わかる。その人口増減の傾向は、街づくりの特徴や変化から読み取れるということもあるが、札幌市には毎年、道内各地から多数が編入している。
この流れは今後も続くが、札幌市がよければそれで良い、という視野では多くの問題が解決できない課題もある。例えば生産年齢人口の4割以上が札幌市に集中すると、北海道全体の市政の役割に偏りが起こりうるのだ。北海道=札幌市という在り方を考えたとき、教育・医療全体などの検討事項が山積みであるために主体的に議論をしていかなければ連携の重要性を指摘することも私たちの社会科授業において学ぶべき問題点である。
【引用文献】
神奈川県 HP『神奈川県の位置・地勢・人口・気象』
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ie2/cnt/f530001/p780101.html、
川崎市 HP『川崎市の世帯数・人口(令和 2 年 9 月 1 日現在)』
https://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000120800.html
「川崎市の世帯数・人口令和2(2020)年度」
札幌市 a『札幌市のあらまし』https://www.city.sapporo.jp/city/aramashi/index.html
「札幌市 HP―市の概要―」
札幌市 b『札幌市の人口・世帯数(推計人口)令和 2(2020)年度各月 1 日現在』
https://www.city.sapporo.jp/toukei/jinko/suikei-jinko/documents/jinko202009.pdf
「札幌市 HP―推計人口―」、2020 年 10 月 8 日閲覧
北海道新聞「道内 2 カ所で猛暑日 26 人が熱中症の疑いで搬送」、2020 年8月 23 日付記事
【参考文献】
全国地理研究会「今がわかる 時代がわかる日本地図 2020 年版」、成美堂出版
統計省統計局 HP「人口推計の結果の概要」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#monthly、
日本政策投資銀行北海道支店
『190 万都市、札幌市の人口構造にみる課題』、大橋裕二「北海道支店経済ミニレポート」、
https://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/hokkaido/pdf_all/hokkaido0909_01.pdf、