中世で関心あること
先日の投稿「古代で関心あること」を読んだ方は続く、中世分野に進んで読んで頂ければ幸いである。また読んでいない方もぜひ、先日の投稿に遡って最初に読んだ後に中世に進むと良いかもしれない。
このように歴史を改めて学びなおすということは、高校で学ぶ以上に知らなかった歴史的観点を知ることが出来て、面白いのではないでしょうか。苦手ということもあるかもしれないが、これを楽しく生徒に伝えることが求められるのが今後の課題であると痛感する私である。
1、中世分野から「貨幣経済の浸透」についてを挙げる
ここで指す内容としては、生徒の立場でも普段の生活する中で経験するのはお金の回し方によって生活が成り立っていることだろう。そのお金を貨幣と言い換え、いつから始まったのか。そしてどのようにして貨幣経済が浸透されただろうか。という疑問が生まれてくる。そこに触れる意味では、歴史的変遷を考えさせることでより興味・関心を引き出せる教材であると思った。
では、経済の中心となることは何かを振り返ってみたい。縄文時代は狩りと採取が中心とする「獲得経済」、弥生時代は稲作を中心とする「生産経済」でありこれらは物々の交換による交易であったということがわかる。そして奈良時代はついに和同開珎という銭があらわれるようになり、ここから本格的な貨幣が発行されたことがわかるが、ここでも物同士の交易が強く続いていたという。そして平安時代になると土地の管理上で税のしくみが変わるようになると銭の用途も考えにも変わるように貨幣を中心とした経済に発展するきっかけが生まれたという。(山崎、2019)このように私が当時、学習した時の教科書では、時代別に短く解説しているだけで流れを見ることの推察は、出来なかったが改めて一つの流れとして整理してみた。この何かをテーマとして時代別のポイントを抜き出して一つの流れとして見ることの観点を持たせることの授業づくりとしては、今後も求められるので生活場面から「貨幣経済」ということで生徒には、テーマをこのように考えさせたい。「貨幣経済の浸透について」である。
2、「貨幣経済の浸透」についてを考察する
平安時代である 12 世紀の日本では当時、荘園公領制といって朝廷、貴族や武家、寺社がそれぞれの土地に責任者を置いて税をとるという土地本位の統治が行われていた。ここでお米や麻布などを徴収しているということは、歴史の教科書からも一般的に学習していることである。では、どのようにして土地からお金というベースに移り変わったのだろうか。
平安時代中期から日本は、宋と活発な民間貿易を行っていた。そこで使われる宋銭が大量に流通し、高い信用を背景として東アジアで広く流通した貨幣であることはよく聞かれている解釈である。ちなみに民間貿易の中でも室町時代で代表的といわれるのが日宋貿易である。ここで後藤(2019)は実は、1368 年に成立した明(中国)が日本に対して倭寇の禁圧を要求した背景があり、この時の将軍足利義満も対明貿易の利益を得るために明の冊封をうけて、1402 年に「日本国王」の称号を得て約 500 年ぶりに正式な国交を結んだお陰で、のちに貨幣経済の発達になるこのような結果が生まれてきたのだ。と記述している。一方で出口(2019)は、鎌倉時代の 1297 年「永仁の徳政令」を出すことで、当時売ったり質に入れたりして土地を失った御家人のために借金棒引きを宣言して救おうとしたことの政令が強制的に土地を戻したとしても、一時しのぎに過ぎず大きな流れを食い止めることができな
いことの背景があった。この背景にもかかわらず、幕府は丸投げしており、お金の扱いはお金のプロに任せる、というような状況であった。荘園では現物から銭で年貢を領主へ納めるようになるということを奨励していた。と記述するようにこのお金によって上から下まで社会が動くようになってきたという一つの表れであることがわかるという。これが私の気付いた貨幣経済の浸透の一つである。
以上で、様々な参考文献には取り扱っていないことだか、今回のレポートを作成するにあたり室町時代、中国が明の時代になると、勘合貿易によって永楽通宝を中心とする明銭(明のお金)が日本に入ってくるとこれらも畿内を中心に流通され、戦国時代に制定されていく貨幣制度の基盤になってきたということも、今の私たちの生活の中で欠かせないものなんだということを生徒に気付かせて欲しいのである。
【引用文献】
出口治明「0から学ぶ日本史講義 中世篇」、2019 年、文慧春秋
山崎圭一「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」、2019 年、SB クリエイティブ株式会社
【参考文献】
飯沼賢司「知っておきたい歴史の新常識」、2017 年、勉誠出版
井上順孝「図解雑学 宗教」、2001 年、ナツメ社
社会認識教育学会編「地理歴史科教育」、学術図書出版社
後藤高志「歴史を学べばニュースのウラが見えてくる世界史×日本史」、2019 年、廣済堂出版