オンライン授業の“必要なこと”を考える#4
教える側と受ける側の立場になって書いてみた中で、一番押さえておきたいのが伝達方法である。伝達というのはお互いの意思疎通が一致して学び合いが成立することの環境が出来ることである。オンラインだけではない、対面授業でも同じことであり、対面とオンラインのメリットとデメリットをうまく活かして子どもたちの学びを充実していくかどうかというのか。コロナ禍における現状の中で大きな課題にぶつかっていることが全国各地の教育現場でも切実な悩みであろう。
まず世間でよく見る情報として私は、教育新聞を毎日取っているので時間のある限り目を通すようにしている。溜まってしまうことはあるが、その情報をしっかり目を通すことで、政府の考えだったり各地の教育者の実践などの情報がよく理解でき、かつ現場でどれだけ本気度で向き合えているかどうかの違いを肌で感じることがとても面白い発見である。その教育新聞から2点挙げて、自分の持論を合わせて書いてみるとする。(あくまで自分の考えなので、現場での経験も含めている。切実な事実であると受け止めてくれば幸いであるが、受け止めは多様であり、批判だと受ける方もいるかもと察する。)
1、「【消滅する教科】教科書をなぞるだけの授業から抜け出す」(教育新聞:2021年5月12日付より一部引用)
ここでは「音楽科」という実技教科を取り扱って述べているわけだか、音楽科というのはきこえない子どもたちにとって難しい教科である。音代わりに有効な手立てとしてタブレット端末を活用した授業の工夫があると面白いかもしれない。また得意、不得意の個人差による違いがある実技教科(体育、美術、家庭科など)においてもタブレット端末を活用することでお互いに学び合うというような授業を展開することは、今後の課題かもしれないと痛感する。いわば従来型のはめ込み授業の在り方に考える力、調べる力という要素をどのようにして盛り込んでいくのかが、教師の新しい専門性の一つであり子どもたちが身につけるべき、発表を伸ばす機会でもある。
この記事を読むと、以下の文がある。
考える活動は、黒板やプリントでも可能です。しかし、シンキングツールがICT化されたことで、児童の意見を吸い上げるスピードが格段に上がりました。ロイロノートを使えば、児童一人一人の感想をリアルタイムで全員と共有することもできます。学年が上がるにつれて、授業中に挙手する児童は偏ってきます。でも、発表が苦手な子の中にも、良い意見を持っている子はたくさんいます。そんな児童の考えにスポットを当てながら授業を進めていける点も、ICTの良いところでしょう。実際に私自身も、「この子が、こんな深いことを考えていたんだ」などと、児童の新たな一面を発見できる場面が増えました。(塚本教諭のお話より)
ここに記述しているロイロノートの活用の良いところは、私も共感であると考える。一人一人の発想を表現することが一つの場所で共有され、お互いに気付く新しい発見を楽しむことも良い機会だと思う。特にコロナ禍において対面授業が出来ない今だからこそ、遠距離でもリアルタイムに共有できるようなやりとりは欠かせないものとなっている。これは学校の授業だけではなく会議でも企画をするにしても有効な手立ての一つと考えている。(実際に大学や専門学校でもゼミナールの討論やプレゼンなどにも使っている実践がある。)
私自身も心の中で温めていながらも学校現場では蓄積されずに終わっていたので、最近日々、奮闘しながら指導経験を蓄積しようと自己研究のテーマとしてオンライン授業の中でロイロノートを活用している。少しずつではあるが、担当する生徒の学びが良い効果を表していることが見られている。メリットもあればデメリットもあるが、今後も少しずつ紹介していきたい。(#6以降になるだろう。)
2、「子供の視力守るために 専門家が学校現場に求める対応」(教育新聞:2021年5月11日付より一部引用)
ここに挙げている「色のバリアフリー」について、私の授業経験から思うことがある。聴覚障がい者は音声より目で見ることばで得ることを大事にするので、集中力が高く求められている。そのため不安とされるのが、目の疲れによる過度の視覚過敏によって、視力低下が起こってしまうことだ。小さな子どもたちにはその自覚が難しいので周りの大人たちがきちんと目を配るように配慮しなければならないし、教えることも大事である。
特に聴覚障がいを持つ子どもは、それぞれ求めるニーズが違うので適応した配慮をしなければならないが、どちらにしても画面に集中することはきこえる児童生徒と同じなのだ。そのため、以下の点について意識してもらうことを文科省や教育委員会から各学校に注意喚起した研修の在り方の取り組みも必要な時ではないだろうか。
日本眼科医会など6団体は共同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表した。ブルーライトカット眼鏡については、子供の眼球への障害を予防するなどとインターネットなどで㏚されているが、6団体は「一定の効果が見込まれる可能性はあるが、エビデンスに乏しい点があり、いくつかの問題がある」と指摘。この中で▽小児にとって太陽光は心身の発育に好影響を与えるが、十分な太陽光を浴びない場合、近視進行のリスクが高まる▽米国の科学誌に掲載された比較試験では、ブルーライト眼鏡による眼精疲労軽減の効果がないことが報告されている▽体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライト眼鏡をあえて装用する有用性は根拠にかける――など挙げ、「偏りのない情報と充分な科学的根拠に基づいて、小児の目の健康を守っていただきたい」としている。(日本眼科医会丸山理事の話より)
視力に関することは筆者自身、専門的ではないので先日の投稿(#3)で紹介した宮城教育大学松崎丈教授のnote投稿「「ろう・難聴学生が「目」の健康を保つための6つのポイント-オンライン授業の受講に向けて-」」にも参考として紹介する。このことを意識してオンライン授業への配慮も一つの専門性と理解しなければならない。結論をいうと聾学校にオンライン授業が良い手立てであるように整えていくと思うのは、100%やめていただきたい。状況に応じて施す中で半分、手話言語による対面授業も大事である。ということを理解することが私の考えである。