GC用の社外品のコンポーネントケーブルを買うのはおすすめしないという話
2025/1/20
※あくまでも個人的な意見です。
前提情報
初期型ゲームキューブはDIGITAL AV OUT端子を備えており、純正のコンポーネントケーブルかD端子ケーブルを使用することで480p出力に対応している。
これらはあまり生産されなかったようで、中古市場だと数万円とかなり高値で取引されており今から新たに入手するのは難易度が高い。
また、純正のケーブルは端子内に独自のDACが内蔵されており単純なケーブルではなかった為、社外品のケーブルも発売されなかった。
先に言っておくと、純正のコンポーネントケーブルやD端子ケーブルは問題を抱えていないので、既に持っている人やこれから入手しようと考えている人は以下の話は影響しない。
GCVideo
海外の有志によってGCのDIGITAL AV OUTの仕様が解析され、デジタル信号をそのままHDMIなどに変換することが出来るようになった。
それがGCVideoプロジェクトである。
この記事を書いている時点では、市販されているGC用のHDMIアダプターは全てこのプロジェクトを元にして製造されている。
なので製品の見た目が違ったとしても、得られる映像は基本的には全て同じクオリティだと思ってよい。
製造クオリティや一部機能を削っているなど映像出力以外の部分で差はあるので、確かなものが欲しい。という人は以下の物を買うとよい。(自分はアリエクで別のものを買った)
GCVideo Lite
上記GCVideoプロジェクトではGCから直接コンポーネントやVGAに変換する想定のGCVideo Liteというプロジェクトも進められていて、回路図なども公開されている。
現在販売されている社外品のGC用コンポーネントケーブルはこのプロジェクトを元に製造されている。
見た目は、GC接続端子部分が基盤が入っている為少し大きく、そこから直接映像と音声で合わせて5本のRCA端子付きのケーブルが伸びているものが該当。YPbPrケーブルなどと表記されている場合もある。(具体的な製品名を出すのは控える)
GCVideo Liteが抱える問題
ここで本題に戻ってくる。
GCVideo Liteはかなり初期段階で開発がストップしており、いくつかの問題を抱えている。
詳細は以下のスレッドに。
スレッドから一部抜粋したもの。
The video output is 15% darker than normal. This is because the original GCVideo Lite design only output the proper range in RGB mode.
Chroma is output as if the sample location was on the right. (delayed by one pixel)
When the picture is transmitted as Cr-first, Cb is shifted right and Cr is shifted left.
The audio output has a bug where half the samples are dropped and the channels are swapped. (24kHz effective sample rate)
翻訳するとこうなる。
ビデオ出力は通常より 15% 暗くなります。これは、オリジナルの GCVideo Lite 設計では RGB モードで適切な範囲のみを出力するためです。
クロマは、サンプル位置が右側にあるかのように出力されます。(1 ピクセル遅延)
画像が Cr ファーストで送信されると、Cb は右にシフトされ、Cr は左にシフトされます。
オーディオ出力には、サンプルの半分がドロップされ、チャンネルが入れ替わるバグがあります。(24kHz の有効サンプル レート)
映像は明るさの問題と色ずれが発生する問題、音声は音質低下の問題を抱えている。
音声の問題はANALOG AV OUTを使用すれば回避可能だが、映像の問題は回避ができない。
ブラウン管に接続する場合はあまり目立たないかもしれないが、アップスケーラーを使用するとより目立つ可能性がある。
大元のGCVideo Liteは10年以上更新がされておらず、これらの問題が解消される可能性は限りなく低い。
以上のことから、GC用の社外品のコンポーネントケーブルの購入はおすすめできない。
GCからコンポーネントケーブルで接続する必要がある場合
GCVideoのアダプター+HDMIからコンポーネントへのコンバーター
GCVideoのアダプターでまずHDMIで出力し、その信号をコンポーネントに変換するやり方。
この方法が一番おすすめ。
一昔前は以下のPorttaのコンバーターがおすすめされていたが、長いこと在庫切れの状態が続いていておそらくもう製造していないと思われる。
また、もし今後在庫が復活したとしても内部が変わっている可能性がありこの用途に向かないかもしれない。
自分は1台確保できたが追加で欲しかったので、博打になるがアリエクで同等品を探した。
LT8612EXというチップを搭載したコンバーターであれば使える可能性が高い。(上記のPorttaのコンバーターでも使用されている)
2023年2月頃に以下のものを送料込みで1,500円ほどで購入。
今見るとかなり値上がりしている様子。
自分が買ったものはLT8612EX搭載品だったし実際問題なく使えた。
(240p,480i,480p,GBIの360p全て出力可、ラグテスターで遅延が1ms未満であることも確認)
デメリットはコンバータ用に別途電源が必要なことと品質の確かなコンポーネントケーブルを用意する必要があることか。
GCVideoベースのアナログ出力を持つ製品
上記のEON GAMINGから発売されているGCHD MK-IIはWii用のコンポーネントケーブルを使用することでコンポーネント接続が可能。
これはGCVideo LiteではなくGCVideoベースで生成されている信号なのでGCVideo Lite起因の問題は起こらない。
…が、GCHD MK-IIのアナログ出力は別の問題があるらしいのでおすすめはし辛い。値段も高い。
GCDualというものもあるが、本体に改造が必要で導入難易度が高いので深くは触れない。
これもGC VideoベースなのでGCVideo Lite起因の問題は起こらない。
この件海外のコミュニティだと周知されてきているようだが日本語情報が見当たらなかったので作成。
自分も素人なので何か間違いがあるかも。