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テレビでチンチンを出してしまった時の話し。

この出来事は我々『マッハスピード豪速球』がテレビに出た事が殆どない時期に
捻じれ起きてしまった出来事です。
 
今から何年も前『カンニング竹山さん』の【カンニング竹山の恋愛中毒】
というGYAOのテレビ番組の芸人面接と言うコーナーの出演が決まりました。
 
「番組側からのオファーです。」と当時所属していた『オフィス北野』のマネージャに聞いて驚きました。
 
チャンス
 
ハッキリと脳裏にこの文字が浮かび、ここで掴みとらないとダメだ!とテレビ出演の経験が少ないボクの肩には分かりやすく力が入りました・・。
 
どうすればこのチャンスを掴めるのか過去の放送を見て勉強する事にしました。
すると過去の放送回に浅草キッドの『水道橋博士』の出演の回があるのを見つけました。
 
ボクはオフィス北野時代、水道橋博士の運転手を1年務めた事が有って、ボクにとって
水道橋博士は師匠の様な存在なので迷わずこの動画を参考にする事にしました。
 
『カンニング竹山さん』と『ゴージャス村上さん』のトークから番組が始まります。
 
「それではお願いします!!」
村上さんの呼び込みで博士が扉を開けて入室。
「どうもどうも」
「博士ありがとうございます!」
「こういう番組に呼ばれるってのが嬉しくてね。」
「本当ですか?」
博士入室から挨拶トークが続いていますが映像が何か変です、水道橋博士の股間の所にずっとモザイクがかかっているのです。
「あれは・・あれは大丈夫なんですかね・・」
画面の中のゴージャス村上さんも博士の異変に気が付きした。
「ちょっと(笑)」
竹山さんが何かに気が付いたらしく笑い、スタッフの方たちも笑い始めています。
「博士!チャックから全部出てます!!」
 
博士はどうやらズボンのチャックからチンチンを出しているようです。ベテラン芸人のこの行動に竹山さんも驚いてます。
 
「この番組って物凄い下ネタ言う番組だよね!?」
「あー確かにそう言う回もありますね・・」
 
どうやらこの番組、若手が性事情を話す回が多いようでその内容がかなり過激なので、
存分に下ネタが出来る番組という事で博士は登場からチンチンを出す。と言うボケをかましているのです。
 
なんちゅう笑いのとり方をするんだ・・それにしてもこのくだりはかなりウケている。
竹山さんが凄い笑ってる・・勉強になるな・・。
 
ボクはメモ帳に“竹山さんチンコ見るとよく笑う”とメモを取りました。
 
【カンニング竹山の恋愛中毒】本番の日、ボクは相方のさかまき。にある提案をしました。
 
「坂ちゃん・・おれ今日チンコを出そうと思うんだけど・・。」
 
「ん?・・チンコ?ん?」
 
「そう、チンコ。」
 
「何でチンコ出すの?」
 
「博士が出た時の映像を見たんだ、そしたら博士がチンコ出してたんだ、スゲーウケてたんだ、竹山さんチンコ見たら絶対笑うよ!」
 
「・・そうなの?・・まあ、出したいなら出せば。」
 
「よし、出す。」
 
何とかチンチンを出す了解を得て本番の時間になりました。
 
本番5分くらい前に声がかかったので収録スタジオの前に移動をします。
 
部屋に入ってからの流れはまず1分くらい軽い自己紹介をしてその後3分くらいのコントを見せます。

ボクはコントの衣装のズボンのチャックを下ろし
チンチンを出しスタンバイ完了。準備は万端だ・・
これはウケるぞー!こんな若手初めてだ!!!と竹山さん腰を抜かして笑うはずだ。
 
「どうぞ。」
部屋の中から微かに声が聞こえました。扉が開きます。
 
「失礼します!・・オフィス北野のマッハスピード豪速球と申します・・よろしくお願いしますぅ。」
 
メチャクチャ緊張します。慣れないテレビ収録の緊張もありますが、これは明らかにチンチンを出していることから来ている緊張です。
 
「さかまき。と申します。」
 
さかまき。が自己紹介をし始めたくらいで、竹山さんの目線がボクの股間を捉えるのが分かりました。
 
あ、気が付いた!竹山さん見てる!オレの見てる!笑って下さい・・。
 
竹山さんが目を細めてこっちを見ています。永い沈黙の後に竹山さんが口を開きました。
 
「・・んーまだ早いよ!」
 
あれ、全然笑っていないぞ・・まだ早い?番組後半で出せば良かったのか?

「え?何の事ですかー?あはは」

一応気が付かないふりなんかしてみます。

「いや、しまえ!」
顔は笑顔ですが強い口調です。

「あ、あの先輩の水道橋博士が出してたのでボクも出さなきゃなと思って・・あはは。」

竹山さんが博士のチンチンのくだりを忘れているからウケてない可能性も有るので
一応説明をしてみます。が、相変わらず笑いは起きません。
 
ボクはしばらく顔面蒼白引きつりニヤけ顔でチンチンを出しながらどうしていいか分からなく固まっていました。
 
「あのね。キミのチンコにまだ価値は無いのよ!!!」
「!?。。」
「ベテランの博士が出すから面白いの!キミが出しても価値無いから!!」
 
・・確かに。世に名前の出ていない知らない奴のチンコを見て誰が笑うと言うのでしょうか?駅で知らないおっさんがチンコを出していても誰も笑いません。
 
“キミのチンコに価値は無い”この一言で全てを理解しました。

「すいませんでした・・」物凄く小さい声で謝り
泣きながら縮み上がったチンチンを仕舞っていると
 
「あのー」
 
冷めきった空気の中、相方さかまきが割って入ってきました。
「ボクも一応・・。」
皆がさかまき。に注目すると、コントの女装用に穿いているロングスカートを上までたくし上げ真っ黒なチンチンを出しています。
 
本番前に何かあったら、さかまき。もチンチン出してくれ!とだけ指示を出していたのを忘れていました。
 
ここからの収録は何をしてもうまく行きませんでした。

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