プロ犬。／第六話 ：テレワークとセキュリティ。
正社員になったプロ犬。今までは、中庭を偵察していただけでよかったけど、会社の全社掲示板やメールもチェックしないといけなくなった。
しかも、偵察しているときに、万が一、悪いやつがいたり、ルール違反を見つけたら、即座に証拠写真付きのレポートもアップするように上司にいわれた。
でも、プロ犬は生まれて間もない、純粋無垢なかわいい仔犬。急にルートセールスの営業日報のような定型業務は想像もできなかった。
自信なさげな顔をしているプロ犬に『テレワークのご意見番』といわれているスマイリーが、優しく声をかけた。
プロケンくん💖テレワークをすると、好きなときに仕事ができちゃうよ？ あたしは持ってないけど、新しいスマホ📱を使いこなせば、すごくかっこいいと思うよ？ プロケンくん、できるかなぁ？❣️
さすが、スマイリーは利口な女の子。どうやって話せば魅力的になるか全部知ってる。
プロ犬はもうぞっこんになった。
LINEスタンプのように目がハートになってしまったんだ。
ぼくはプロ犬。セキュリティの番犬だ。そのくらいのことはバッチリできるよ！
そういったかと思うと、プロ犬は、中庭の偵察をほっぽりだして、ドコモショップに駆け込んだ。
大好きなスマイリーにかっこいいと思われたい、承認欲求の塊になったプロ犬。一番最新のテレワークで使えそうなスマホを買っちゃった。
さっそく、おうちのでかい画面のテレビに接続してテレワーク開始！
さくさくテレワークで何でもできちゃうぞ！会社の持ち出しちゃいけないデータも見れちゃった。これがかっこいいってこと？
プロ犬は、スマイリーに褒められたい一心で、どうやらセキュリティの番犬としての役割を、少し忘れてしまったようだ。
あっ、、、アタマの基地局アンテナが赤色にピコピコ点滅してる。
周辺のすべての電波が、プロ犬の基地局アンテナ経由している。だから、通信している内容がセキュリティ違反していると、プロ犬の基地局アンテナは赤色になるってことだ。
それに気づいてないプロ犬。これでは、20世紀に流行った不良やヤンキーと同じレベルだ。
純粋無垢なプロ犬は、ルールをやぶる不良の番犬になりさがってしまうのだろうか。
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