今日も変わらない日常
メールの着信音が鳴った。
私は開いてみる。
『I love you today, my precious wife.』
地球の裏側で仕事をしている彼からだ。
私は毎朝
日本の山間部を走る電車に揺られながら
彼からのメッセージを読む
『毎日同じメッセージだ』
一緒に生活をしている時は違和感を
感じなかったが、
離れて生活を数年続けると
毎朝同じメッセージが届く事に
違和感を持つ様になった。
この1年私の中で
『私は彼を愛しているのか⁉︎』と
毎日自問自答が始まった。
新型ウィルスの影響で
彼が戻れなくなりもう2年になる。
同時に娘も留学をし、
戻る事なく大学に進学した。
私たち家族は、それぞれ違う場所で
それぞれの時間で生活を送っている。
離れて生活をすると
家族は家族でなくなるのだろうか…
私はこのままの生活に不満はないのだが、
唯一、彼からの毎日同じメッセージに
少なくとも違和感を感じてしまう。
彼が変わったのではない
私が変化したのだと思う。
新しい仕事の在り方、生活様式
1人での過ごし方
全てが以前とは違う。
一緒に生活をしていたから
彼を愛していたと思っていたかもしない。
そんな事を山間を走る車窓から
毎朝考えているのだ。
『Thank you.Darling, I love you.
How are you?』
私も毎朝同じメッセージを彼に送る。
愛しているか?
わからない気持ちのまま。
私たちはお互いに変わらないメッセージを
毎朝の日課として送り合っている。
ドラマならここで新しい展開が起き
新しい人生が始まるのだろう。
しかし
片田舎で生活をしている私には
そんなドラマの様な出来事は起きないし
起きたとしても勇気は出ない。
自問自答しながら歳を重ねるのだろう。
『車窓から空を見上げ、自分の未来を考える』
それが私の今の日課となっている。