弟の生誕祭ライブに行った話
というわけでね。行ってきた。
私の弟が地下アイドルやっており、生誕祭とやらがあったので親と見に行ってきた話。
それはそうだろ。顔ってそんな変わらんだろ。
このイベントが私の行くべきイベントではないのは百も承知である。文化祭のクラス発表会に親と見に行くのとは訳が違う。
弟が数十人の女性陣に愛を叫び、踊る催しに親子で参戦する。余裕でパターン青である。
まあでも仕事で正月帰ってなかったし、これも親孝行なのかな、ついでに未体験のジャンルを一回見とくのもいいかと思い行く事にした。
私が素直で明るい姉なら多分成立しているだろう。
しかし私は違う。ゲームの順位にキレてマウスで台パンして壊しちゃうヤバいタイプのオタクである。
無論”アイドル”などというキラキラ人種とは1億年と2000年経っても分かり合えない。月とアニサキスくらい違う。私はアニサキス。は?
でもありがとう。君がファンを笑顔にするように私もオタク達から一笑い取るからね。お兄ちゃん頑張るね!!
母は追っかけやってる。まあ子供がアイドルやってたら追っかける気持ちはわからないでもない。
この前父から、母が酔った勢いで何故弟のライブに来ないのかガン詰めされて困っていると相談され、息子愛で溢れた良い母だなぁと思った。実家に帰る予定は半年先になった。
親族は普通に招待されるのかと思いきや普通の客カウントでチケット買ってるみたい。さすが地下。貨幣通貨はペリカじゃなくて円だった。
当日。
まずは日課である体調チェックから。
私は意識が高いタイプのヤバいオタクである。
うむ、今日もヤニがうまい。体調は万全だ。
駅で母と合流し、開演30分前に会場in
想定してたキャパ
実際のキャパ
潜ってまんなぁ~~~~
モザイク越しでも伝わるスカスカ感。ちょっと期待しすぎた。彼らはまだ活動1年弱のフレッシュアイドルなのだ。今後のご活躍に期待したい。
見渡す限り(見渡せる程の広さはない)明日カノのキャラクターしかいない。(私の明日カノの知識は高須幹也先生のyoutubeチャンネルにて、整形してもゆあてゃにはなれないよという内容の動画のみである)
マネージャーにご挨拶。若い女性の方だった。
あ、やっぱりお兄さんもかっこいいですね!!とよいしょしてくれる。
普通に嬉しかったのは私の胸の内にだけ留めておく。私はちょろいタイプのヤバいオタクである。
母と一緒に後ろの端の方に着座。
いわゆる”こういった”現場には暗黙の掟的なサムシングがあるらしく、生誕祭ライブのような、今日はこのメンバーが主役!!的な場ではその推しの客が最前列を優先してもらえるみたい。
さすがに母もそれは気が引けるらしく、基本後ろに陣取るそう。
あとはファンの中にも、BOSS的な奴がいてそいつにハブられると現場にこれなくなるだの、カギ閉め出来なくて泣いていた子がいただのという事を聞いていた。
ちなみに私は悪名高い欅坂46のオタク経験があり、その辺の専門用語は一通り理解している。
ただ、オカンからカギ閉めという単語が出てくるこの異質感が伝わるだろうか。
マイナカードの存在すら知らなかった母がこういう事に精通している事に対する息子の気持ちを400字以内で考えて欲しい所だが、それは置いておこう。
開演10分前。
問題発生。"ガチ"で男の客は私だけ。
そりゃ1:9くらいの比率かなとは思っていたが、まさかここまで誰もいないとは。まあキャパ40-50くらいだったのでそんなもんか。
ゆあてゃがちらちらと私の方を見て、隣のゆあてゃに何やら話しかけてた。
非常に居心地が悪い。もう少し気づかれない程度にチラ見してくれないか。
おっと。それはチラ見とは言わないよ。結構目合ってるよ。これが本当のお見合いってか!ガハハ!はあ…
とりあえず落ち着こうと思い、600円で購入した水を一口。
富士山の8合~山頂では水が500円で売られているらしい。経済学的に言うと今この空間は標高約3776mと同等かそれ以上である。
心なしか酸素が薄く感じるのが不思議である。
そんなこんなで開演。
と同時にペンライトが光る。それぞれ推しのカラーでお出迎え。
メンバーが一人ずつ出てくる。
ここで黄色い歓声が聞こえるのかなと思っていたら誰も何も言わない。
欅のオタクは開演前から「ネルチャンドッコー⤴※1」や「ユリナー⤴※2」などという独特の鳴き声でやかましかったが、案外冷めてるな。
しかも座ったまま。コロナ前と後の文化の違いか。ウイルスが産んだ異文化交流に驚きながら、最初の曲が始まる。
事前に曲を予習するように言われていた。
初めの曲の1分半程で力尽きていたため曲は全くわからないが、よくあるキラキラアイドル系の曲。
ステージと私の席は3mないくらい。すごい。
確かにこの距離で久保田利伸がメリーゴーランドで回ってたら毎回行く。これが売れてないアーティストを好きになる大きなメリットなのだろう。
2曲くらい終わりMC。弟くんが何やら言っているみたいだが、どうやらめちゃくちゃアガッているご様子。
そらそうだ。彼はまだ活動歴が1年程であり初めての生誕祭。おまけに目線の先にはマイナカードを知らない初老とアニサキスがいる。
他メンバーがうまく回してくれ、なんとかMCを終えていた。
ここから、弟とメンバー1人ずつで計4曲披露してくれた。
それぞれ思い入れの曲らしく、何故この曲を選んだのかをメンバーとの思い出と共に喋っていた。
他メンバーが掃け、改めて1人で感謝のMC。
ちらほらすすり泣く声が聞こえてきて、おおすげえ、俺の弟女泣かしてるわ!!!と感動。
沁々と、弟すげえなぁ。夢かなえてるもんなぁと思いながら観ていた。
ここで、突然ベッドがステージに運ばれてきた。
はて???となっていたら、「次はソロ曲です!」
と。ああ演出に使うのか。
「僕の憧れで、アイドルを目指したきっかけでもある手越祐也さんの曲です。聴いてください、I'm coming」
以下、一部歌詞引用
ド下ネタである。
洋モノに多少造詣のある紳士諸君なら「I'm coming」が「私は来ています」ではない事くらいわかるだろう。
しかも彼は事前に母と私が来る事を知っている。とんでもないプロ根性だ。なぜこの選曲なのかは全くもって謎。いわゆるファンサなのだろうか。
ちなみに母はベッドでのパフォーマンスに爆笑していた。
そんなこんなで最後に2曲ほどありライブ終了。非常に有意義な時間だった。ありがとう。次行くかは未定だけども。ありがとう。
この後はグッズ販売やチェキ撮影などがある。
彼らの稼ぎ時だ。この稼ぎでおまんまのレベルが決まる。
我々は特に興味がない為ここで退散…しようとしていた所にマネージャーが近づいてきた。
「弟くんが会いたがっているので楽屋まで案内しますね~」
わお、VIP対応。メンバー全員がいる所に案内してくれた。親族パワー恐るべし。
メンバーにご挨拶した後、少し家族で近況報告など。
しばらく談笑しているとマネージャー登場。
「せっかくなので、お写真とりますか!花束のとこで!」
そう。なんとこの日の為に、ファンから有志で花束が贈呈されていた。客席の端の方にデカデカと飾ってあった。
おわかりいただけただろうか。マズい。
花束があるのは客席。グッズ販売・チェキ撮影も客席。
当然ゆあてゃ達は客席でグッズ販売を今か今かと待っている。
そこにメンバーに引き連れられ突撃する。
なんだこの状況。目立つのはメンバーだけにしてくれ。私はしれっと見てしれっと帰る予定だった。
いやお前は見られてねえよ。見られてるのは弟だよ。自意識過剰なんだよと思ったそこのお前、そういう問題ではない。あとちょっと言いすぎだろ。オタクでも人の心はあるんだぞ。
でもここで「いいえ、撮りません」という選択肢は現実には用意されていない。いや、用意されてはいるがカーソルは合わない。
そんな事を考えながら花束前に座り、全ゆあてゃの視線を受けながらパシャリ。
という事で、母とそそくさと会場を後にした。
結構楽しかった。地下アイドルの雰囲気も味わえた。
ただ、私のライフはとっくにゼロなので次の生誕祭までに回復していたら行こうかな。多分。行けたら行く。知らんけど。
MAH