「あのマンガ、もう一回だけ読ましてくれ…」3〈料理マンガ編 味平カレーだね。麻薬いりブラックカレーはその後、角○社長が…、永島慎二先生の書く食べ物って、子どもの頃すごく好きでさ。なんかおいしそうだったんだよ、『包丁人味平』『包丁無宿』『美味恋太郎』『かっこいいスキヤキ』 ほか〉
模話1「マンガだけどさ、料理マンガの話にしようか」
模話2「いいね。でも美味しんぼ以降は知らないしね。いまの人たちにはあまり参考にならないかもよ」
模話1「まあ、しゅうかつだしさ、その辺の古いってとこは許容していただくってことで、よろしくどうぞ」
模話2「ありがとどうも」
模話1「もわもわくんが料理マンガでまず思い浮かぶのはなによのさ?」
模話2「そのピノ〇風の言い方は、一応ボクの台詞で使われてる設定なんだからやめなさい(笑)。『包丁人味平』だね。カレーに醤油を隠し味で入れるようになったのは牛次郎先生のおかげだし(笑)」
模話1「味平カレーだね。麻薬いりブラックカレーはその後、角○社長がパーティでふるまって有名に…」
模話2「違うっつうの(笑)。あれはカレーに麻薬入れただけなの!」
模話1「キッチン南海のカレーはブラックカレーを思わせるよな」
模話2「それは同意する。習慣性あるし(笑)」
模話1「料理マンガはやはり『美味しんぼ』が金字塔だよな。雁屋哲先生は歴史に残る偉大な作家だよ。北大路魯山人、色川武大、邱永漢各大先生がたとともに」
模話2「あとの二人は多分にあなたの〈個人の感想ね〉(笑)」
模話1「そんなことないよ。色川先生のあの芸術的ぶざまともいえる素晴らしい味の世界(名著『喰いたい放題』)に共感できないのは気の毒だね、もわもわくん」
模話2「喜国先生より先に、炒飯でご飯食べたいとか書いてなかった?(笑)」
模話1「関西はそばめしでご飯だって認められるぞ! 素晴らしいじやああーりませんか」
模話2「チャーリー浜さん? まあ、そばめしとライスは中華麺に米に米。中国の人は〈主食である餃子なのに餃子をおかずにする〉餃子定食を理解できないらしいよね?」
模話1「世界はそんな狭量じゃありませんわよ。他国の方は米と食べて〈あんびりーばぼ〉っておっしゃってましたよ。BS‐TBS動画で(笑)」
模話2「邱先生のエッセイの中華のコース料理みるとさあ、中華料理はあらゆる種類を食材に使わないとだめみたいだからね。野菜でも魚でも肉類でもコースの中で違う種類の食材を使うことが当然で…肉なら鶏アヒル牛豚羊をそれぞれ使うとか…なんとなく『食は広州に在り』だっけ? 先生の本見ると書いてあったな~。同じ食材が被らないことで栄養を補い合うってのは漢方的でもあるかもね~。でも邱永漢先生の別のエッセイに必ず〈味の〇を入れる〉ってのがなきゃ、名著と謂われたとおもうよ(笑)」
模話1「うむ。日本は松茸づくしとかもあるね。中国の考え方とは感覚がかなり違うのかな? でも、懐石料理では、かぶらないメニューって考え方はあるとは思うよ。しかし、この話はそうじゃなくて〈日本のお米はどんな食べ物と一緒に食べてもおいしい、それがたとえ炭水化物メニューであっても〉ってことなのだよ。中国の方も〈日本の美味しいお米と一緒に食べる〉なら納得するひとは出てくると思うよ。焼きそばライスもお好み焼きライスもラーメンライスもね」
模話2「確かにインディカ米はおいしいやつでも、日本の定食にはあわないかな?」
模話1「インディカ米はインディカ米でもちろんおいしいが、日本のおかずとの相性はまた別の話だよ。話を戻して、ほかに料理マンガを挙げよう。『包丁無宿』かな? たがわ先生」
模話2「『ザ・シェフ』に『味いちもんめ』かな」
模話1「『包丁無宿』は、〈日本料理職人による料理勝負〉というジャンルが他にはあんまりなくてさ…しかも、先生の世界観は他とはかなり違っておもしろくてさ。当時は全巻集めちゃってたよ」
模話2「『ザ・シェフ』はもちろんほぼ全巻買ってたけど…ブラッ〇・ジャックに設定が似ているってよく仲間内で言っていたよね(笑)」
模話1「剣〇先生と編集者時代にお会いしたことあるから私はノーコメントで(笑)」
模話2「今挙げたものは料理人の世界からの視点だよね、美味しんぼは山岡氏の設定が微妙だけど美食倶楽部とか出てくるしね。別格だよね、設定も美味しんぼについては」
模話1「『孤独のグルメ』ってのは、食べる側の視点で、また対極にあるわけだよな」
模話2「そうだね。久住さんの世界観強いけどね。泉晴紀さんだと、また違う感じになったろうね。谷口ジローさんだから、また違ったものになったよね」
模話1「『かっこいいスキヤキ』を大学一年生で経験しているからな、うちらの世代は…〈泉昌之〉は〈久住昌之〉とも〈泉晴紀〉とも別のものだし」
模話2「『かっこいいスキヤキ』は衝撃的だったね(笑)」
模話1「もわもわくん、もう一度死ぬ前に読みたいやつある?」
模話2「作:西塔紅一、絵:長尾ともひさ『美味恋太郎』かな?」
模話1「矢口高雄先生のアシスタント出の方だね。名作バチヘビによくかわいい顔ではっきり物を言うキャラクターで出てました。昨年?お亡くなりになったそうだぞ? 『美味恋太郎』ってまずいもの食べるとクシャミする主人公だろ?」
模話2「子どものころから読んできた漫画家さんがなくなり続けるのは、仕方ないね。ボクらがしゅうかつする年なんだから当然ではあるけど。『美味恋太郎』はね、読者にこびないマンガでさ…異彩をはなってたんだよね」
模話1「最後に京都によい湧き水の出る料亭というか、料理店をやるという、かなり強引な最終回だったけどね」
模話2「都市化で汚染が進み水の味がかわり、水がだめになって料理があきまへんっていう料理人の相談に乗って、会社やめて料理人になるという…魯山人的な世界の硬派なマンガで、よく連載続いたなと思うくらい。でも、全2巻をずっと読んでたかな。味があった。もわくんはなに読みたい?」
模話1「ちょっと脱線するけどさ…永島慎二先生の書く食べ物って、子どもの頃すごく好きでさ。なんかおいしそうだったんだよ」
模話2「わかる気がするよ。少年期たちとか、他の作品でもちょっとでてくるおにぎりとか、石神井駅前の立ち食いそばの話をするシーンとかね。野球の試合にもってく麦茶とかがおいしそうだったり…食べ物がリアルにかいてあるわけじゃないんだけど、それを食べる登場人物が、なんだかおいしそうに食べてるって感じさせる画力っつうのかな~」
模話1「むかしマンガ編集者時代に、当時編集長の〇岡さんが石神井に住んでて、駅の立ち食いソバ屋に入ったら永島先生がいらっしゃったらしいよ。びっくりして『永島先生ですか?』って話しかけたら無言でうなずいたんだって」
模話2「ほんとにマンガに出てくる立ち食いソバ屋の天ぷらそばを食べてたんだね(笑)」
【続く】
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