見出し画像

還暦過ぎても大盛り――たべもの記2024④「60過ぎてからの大食い スーパーマーケット半額争奪戦編1」

あるスーパーに夫婦で買い物に行ったときだった。
店内が妙にざわついていて…なんだろうと、人だかりの方に行ってみた。


惣菜コーナーで店員が半額のシールをつけていたのだった…
その店員を取り囲むように人だかりができている。

お総菜コーナーで半額がつくことも、もちろん知ってはいるが…ここの惣菜コーナーの熱気というか…
殺気だった雰囲気はあまりみたことがなかった。

その日は有名な神社のお祭の土曜日。
いつもより閉店が早く、21時閉店で…
いつもは21時半につく半額シールが、
19時半前くらいだったか…通常より早めの時間に貼られていた。

わが家庭にも半額を。
そういうわけで、お祭の夜でもあり、
何かたのしいお惣菜なりお寿司なりを見ようと思った。

しかし、関西とは雰囲気が多少違っている…
有名な惣菜店、〇ぜんでは、20時半だったか?
閉店の30分前に半額になるが…常連はすでに買うものをかごの中に
入れていたように思う。
確か…自分も何回かそうした記憶がある。

東京のこのスーパーでは…どうやら暗黙のルールのようなものがあるように感じた。

ここでは半額シールを貼る前にかごに入れるのは原則いけないということのように感じた。

この戦場に参加する前に、オジサンの怒声をきいた。
何かルール違反をした客に対してのクレームのように感じたのだった…
まあ、ただいらいらしてたのかもしれないけどね…それにしても、
緊張感が自分が前いた神戸とは違うな~…そう感じた。


よく見ると、店員さんがシールを貼った後に手をのばしてとっている。
まるで、百人一首のようではないか…

妻にあとで聞いたことは…
「店員さんが、お客さんに『おいてください』って言ってたわよ。
どうやら、持ったままだとシールを貼らないってことみたいね」

そうだとすれば…シールがいま「貼られた!」という瞬間に複数の手がのびないのだろうか? けんかにならないのか?

ボクは参加しつつも、ある意味新参者として傍観しつつ、
おこぼれをもっていくことにしていた。
無駄なあらそいを、こんな場所でお祭のめでたい夜に起こしたくはない。

とはいえ、一種の秩序めいた雰囲気もあった。
半額シールが貼られても、あまり、見向きされないものもある。

例えば弁当のたぐいは…意外と残っていた。
家族のお祭の夜ということもあるのか…
人気は寿司。
あっという間になくなっていた。

一度、2割引きで買って食べたことがあったが…
ネタは結構新鮮だし、ロボット回転ずしよりはおいしい気がした。
ロボットが握ってるかもだけどね…

いつもより早い半額シール貼りで、いつもより、
エキサイトしやすかったのかもしれないね。

でも、ある弁当を欲しがっていたおじさんが手をのばして取ろうとしていたところ…あるお客さんが、おじさんの近くに手で押してアシストしていたシーンもあった。

おじさんは「ありがとうございます」と丁寧にまるでその場の全員に伝えるようににっこりほほえんでいた。なかなかいい光景であった。

とはいえ、そんな助け合いは執着のうすいお惣菜に限られるのであろう。
人気の肉もの総菜などはあっという間になくなっていった。

残りの惣菜の数も減った頃、われわれ二人はやっと、ひとつふたつとかごに入れだす。

妻と合流して、どの惣菜を買うか相談をする。
普段はあまり、買わないのだが…引っ越しで、忙しくできるだけ調理の負担を減らしたいので、妻にしてはめずらしくたくさん買うことになった。

ハンバーグ、1個300円くらいするのか? 半額で148円。
4つ買う。意外にハンバーグは売れてないのかな?
そして、和牛のメンチカツ。2個入っていて半額シールでは200円くらい…元値400円、1個200円くらい? たけえ~、絶対割引きなしでは買えないな…1つ買い、さらに餃子にシュウマイを買った。冷凍してもあまり味が変わらないものだけを買ったという次第。

あとは、グラタンにおはぎを買った。
妻が、巻きずしが食べたいというので…だめもとで売り場にいく。
あ、もしかしたら、一度買おうとして戻したものだろうか?

助六が奇跡的に2種で2つあったので、夜のごはんにすることにした。
お祭の夜だから、ちょうどいいね。

会計でレジの前のおばさんが…
「初めてこんなにかっちゃった~」
お祭の夜だから、ぜいたくしたということらしく、
ごきげんでこちらに話しかけてきた。
軽く酔っているのか…お祭モードのようだった。

三元豚とんかつやお寿司なんかがあり、
豪華な惣菜盛り合わせもあった。
神輿かつぎも終わり、
これから、家族でたのしむのかもしれない。

わが家の合計金額は1700円くらい。
ほとんどが冷凍されることを考えると、
かなりいい買い物。
夜の食事は助六におはぎ、
冷凍を免れるいくつかのお惣菜を食べることになるだろうか…

会計を終わってスーパーを出るころにはすでにショーケース全からの状態。

手慣れた白人のお客さんが自転車の前かごに大量のお惣菜を積んで出ていく(この方は住んでいるのか滞在しているのかわからないが…買うものが通っぽいのが面白い)。

気になったのは、買うのをやめた惣菜を、
ぜんぜん違う場所に置いている人がいることだ。
おせっかいだが、もどしておいた。
長い時間かかって、やっと半額シールがついたのに、
客に気づかれず「売れ残り」になるのはかわいそうだし、
この半額シールがついた鶏の唐揚げをみて幸せな夜になる方もいるかもしれないしね。

しかし、こんなカオスな状態で、もめごとも起きず、
それなりに静かに半額シールの時間帯が終わるとは…
日本って平和な国だね。

けっこうスリルあるけどイベント感ありで、
楽しい時間でした。

半額買い物争奪戦…
無事帰還。