とーます模話のこざこざシリーズ 14「レッドツェッペリンとディープパープルのはざま…高校時代のロック免疫抗体のこと①」
ロック免疫抗体…
いまの日本人にはずいぶん広がったとみえる…
昔はみんなロック免疫抗体は少ない人は多かったから、
ロックを知ってしまい…
欠乏症を発症してしまった中高生には、
なかなか簡単には情報を得られなかった時代だ。
いまの若い世代にはわかりようもないだろうけど…
中学時代はまだ「ロッキングオンジャパン」すらなかった。
「ロッキングオン」のレイアウトも同人誌みたいな時代…
動画があふれている時代に…
あの当時、ロックの映像はどこにも見当たらない。
まだビデオさえ普及していない。
テレビだって、生演奏でエレキギターをまともに
弾いている映像に遭遇することも難しかった。
友人にtちゃんというロック通がいて、
ボクは彼のおかげで…カセットテープだったけど…
レッドツェッペリンのアルバムを…
ぜんぶ聴く機会に恵まれた。
渋谷陽一さんの存在は大きかった。
数少ないロックの情報ソースに
サウンドストリートとヤングミュージックショーがあって…
その両方にかかわっていた渋谷さんは、
ロックの先生ともいえた。
好みが一致するわけもないし…
渋谷さんの言っていることは、
ロック初心者には、難しすぎた。
ただ、その渋谷さんが
レッドツェッペリンの支持者だということは…
ロックを聴こうとする人間には、
避けては通れないように感じていた。
ボクの好きなミュージシャンをことごとく、
産業ロックだとか、
さまざまな難しい話で…
例えば「趣味が悪い」などという。
心にさざなみが立つ。
放置してもいいのに、
放置できない何かを感じたから、
自分は渋谷さんのいいという、
音楽を聴いてみようじゃないか…
そう感じるようになっていった。
いや、理屈より、サウンドストリートが
面白かったのだ…自分には。
全部テープに入れて、
曲を聴き返したりしていた。
ディープパープルという、
ヘビメタ中毒者も一目置くバンドがある。
ボクもハイウェイスターにはまり、
スモークオンザウォーターをフォークギターで
教本をみてコピーし、
スピードキングにしびれ、
チャイルドインタイムは退屈したが、
ウーマンフロムトーキョーを繰り返しきいて、
紫の炎のソロをハードロックで
いちばんかっこいいソロだと思ったりした。
しかし、アルバムで聴くことは結局なかったのだ。
かたや、レッドツェッペリンはどうだったか?
これは、最初はまったくよくわからないといってよかった。
ただ、グッドタイムズバッドタイムズ、
コミュニケーションブレイクダウン、
天国への階段、
ロックンロールが好きになった。
他の曲は…なんだか、難しい。
ディープパープルはもっとわかりやすかった。
しかし、何度も聴いているうちに、
変な曲としか思えなかった曲が、
耳に残ってしまっていた…
移民の歌、
永遠の詩、
ノークオーター、
ブラックドッグ、
ブラックマウンテンサイド、
時が来りて、
ハウメニーモアタイムズ、
アキレス最後の戦い、
ロイヤルオルレアン…
よくわからないなりに、
レッドツェッペリンは、
後ろに広大な音楽情報を隠していると…
直観的におもったんだとおもう。
限りなき戦い…
慣れてくると、
自分が好きな神話の世界だとか、
神秘的な世界もある。
それだけではない。
この乾いた感じ…
これは、英国だけでなく…
遠くへ広がっていくイメージ。
米国のカントリー音楽
しかし、このブルースっぽいものには、
なにか抵抗がある。
難しいものを感じていたと思う。
予想は当たっていた…
その後、レッドツェッペリンは
聖なる館、フィジカルグラフフィティを中心に、
愛聴盤となった。
アメリカのヒッピーの音楽にはまったときに、
レッドツェッペリンへの理解は深まった。
ブルーズを好きになってからも、
レッドツェッペリンへの理解は深まった。
神秘的なコードや音楽を探そうとしていたときも、
レッドツェッペリンの、
丘の向こうへや夜間飛行やプアトムは、
時々聴くことがあった。
広範な音楽の旅の、
てがかりにレッドツェッペリンはなったのだった。
バートヤンシュもデイビーグレアムも、
CSN&Yも、オーティスラッシュも、
モビーグレープも、バッファロースプリングフィールドも、
ジャニス・ジョプリンも、
カントリーブルーズも、
ソニーボーイウイリアムソンⅡも、
ハウリングウルフも、
ジェイムスブラウンも、
スコッティムーアやエルビスや
ヤードバーズ時代も、
ブリティッシュビートも、
ケルト風ポップスも、
レッドツェッペリンテキストのおかげかもしれない。
ディープパープルとレッドツェッペリンの存在は、
ロック体験者としては、
大きな存在であったと思う。
ディープパープルはハードロックの名曲のバンドとして、
レッドツェッペリンは自分の広範なロック体験のテキスト、
ガイド本としてと、
よく比較されたハードロックバンドではあるが、
ボクにとってはまったく異なった存在であった…
そう思えるのである。