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「あのマンガ、もう一回だけ読ましてくれ…」8〈諸星大二郎編① ~「名作として読むべき作品は?」「全部だね。特に、暗黒神話、孔子暗黒伝、先に挙げた無面目・太公望伝は先生の背骨にあたるので、ぜひ読むと理解が早いかもです。個人的に好きなものは五行先生阿鬼ちゃんのシリーズや宇宙旅行する話でカオカオさまとかね、シュールな風景が出てくるもの。いや、ほぼぜんぶが愛読書だしさ、ボクには。読むべきっていったら全部だよ…」~ほか〉

模話1「諸星大二郎先生を語ろう」

模話2「とうとうきたね」

模話1「偉大すぎて語りようがないな」

模話2「まあまあ、そう言わず楽に語ろう。まず最初の出会いは?」

模話1「ジャンプの生物都市だよ」

模話2「手塚賞受賞作品を少年ジャンプでってことだよね」

模話1「うん。だから、ロックではリアルタイムを取り逃がしてきたことが多かったのとは違って、マンガはまあまあリアルタイムによい作家をみたりできたんだよね」

模話2「どう思った?」

模話1「はっきり言ってまだよくわからなかったね。絵柄が少年マンガっぽくなかったし、先生の画力もまだよわかったしね。正直言って登場人物の顔が同一人物なのかよくわかんないときがあった、これだれだっけ?的な(笑)。それに落ちが難しくてよくわかんなかった。小さなコマで終わるって、えっ?終わり?って感じだったよ」

模話2「次はいよいよ暗黒神話だよね」

模話1「これはやられました。我が家はコミックス集めてることもあり、マガジンをとってたこともあって、ジャンプでは読まないようにしてコミックスで読んだわけね」

模話2「もわくんの兄さんがマンガ通だったしね」

模話1「もろ兄貴の影響受けてたね。デビルマンも明日のジョーもリアルタイムだったしさ。兄貴はSFに精通していてセンスがよかった。火の鳥は学校の先生から借りたのも、火の鳥が名作だと兄貴が言ってたからだもんね」

模話2「暗黒神話は先生本人もおっしゃってたけど、パズルを作るようにあらゆる史実だとか神話を組み合わせて作ったそうだから…小学生にはやや難解だったよね」

模話1「確かに、ストーリーを把握できるまでは何回か読破しなければならなかったね」

模話2「もわくんは魂レベルで外的にショック受けると高熱出すんだよね(笑)」

模話1「うん。忘れもしないわ、火の鳥鳳凰編にデビルマン、暗黒神話だよ」

模話2「揺さぶられたんだね~(笑)。確かにスケールが大きな作品で人間とは何かを考えさせられる大作だね、どれもが」

模話1「ショックとはちがうけど…くれともふさ先生の言葉を借りれば異形の世界で…火の鳥やデビルマンとはまったく違う何かだったんだよ。悪夢に近いかな?いや心地よい悪夢であり、どこかで行ったことあるような、知っていたような奇妙な快楽だったんだよね」

模話2「お兄さんとは違う捉え方を既にしていた気がするよ」

模話1「確かにその後のつげ義春さんとか劇画とかガロとかにつながってくきっかけともいえるかもな。でもあまりにもいままでの作家とは違ってて、兄貴が買うより先にいろいろ買い出しただよ。中学3年で兄貴が大学に行ってから、アダムの肋骨とか買い漁ったかな」

模話2「かなりアダルトな作品じゃない?」

模話1「まあ、それもよかったんだね(笑)」

模話2「秘密のにおいがしたわけね(笑)」

模話1「悪魔的な話が当時は多かったでしょ? 怖かったけど、興味あったね。デビルマンもキリスト教的悪魔の話だったし…面白かった」

模話2「肉色の誕生とか、パラケルススの話でしょ? 錬金術のことなんか、中高生でだれもしらないよね? 静岡の田舎だったし(笑)」

模話1「真夜中のプシケーとか、怖かった」

模話2「先生は、黒魔術の話は初期によく書いてたよね」

模話1「ブラックマジックウーマンは面白かった」

模話2「ギャグとからめて、ある意味画期的な作品だね」

模話1「割と下世話というか…日常にふと異次元が顔を出すみたいな…たのしさがあるよね」

模話2「ほぼ全部読んできたろうけど、もし、皆さんにおすすめするなら、初めて読む方とかにもおすすめできるものがあれば紹介してください」

模話1「うーん。初めてってなあ、興味があるないってわかれる作家でもあるから、難しいけどね。初めての方には妖怪ハンターか、短編ならなんでもいいと思うよ。マンガ好きや小説が好きな人でも無面目・太公望伝は絶対におすすめ。同作はボクの座右の書のひとつです」

模話2「先生はジャンルが多岐にわたるよね」

模話1「そうだね。日本の神話系、ニューギニア高地人のマッドメンシリーズ、中国の神話系、ヨーロッパの神話系、アフリカ古代史系、宇宙のSF系、グノーシスやキリスト教的悪魔系、ギャグ、童話…考えてみると多彩だよね~、おそらくずっと残っていくかもしれないね…古典作品として」

模話2「名作として読むべき作品は?」

模話1「全部だね。特に、暗黒神話、孔子暗黒伝、先に挙げた無面目・太公望伝は先生の背骨にあたるので、ぜひ読むと理解が早いかもです。個人的に好きなものは五行先生阿鬼ちゃんのシリーズや宇宙旅行する話でカオカオさまとかね、シュールな風景が出てくるもの。いや、ほぼぜんぶが愛読書だしさ、ボクには。読むべきっていったら全部だよ…」

模話2「もろほしをもろぼしじゃないって知ったのはここ最近のもわくんでした~(笑)。続く~」