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しゅうかつロック、ボクにも言わせて 「第99回 ロック対談_だぶる模話模話模話〈サケトレインロック㉟〉~〈衝撃を受けたフレーズ・ギターソロ・楽曲など編2〈地下鉄にのって〉〈ケンとメリー 愛と風のように〉〈翳りゆく部屋〉〈シーラブズユー〉〈タイユアーマザーダウン〉〈アルバム:こわれもの〉ほか〉~」

模話1「99回だね」

模話2「渋松対談に憧れて始めた対談形式のコラムもよく続いたね」

模話1「衝撃を受けた編だけどさ…順不同にってことだったけど、やっぱりしゅうかつロックだからさ、順序だてて簡単に振り返ろうと思います」

模話2「死ぬ前に、整理しておくってことかな」

模話1「まあね。死ぬときにはさ…走馬灯のように自分の過去の映像が一気にかけめぐるらしいよね」

模話2「そんな話もきくよね。死のバルドとかでも、そんなこと書いてあったかな?」

模話1「最近読んでないから忘れたけど…いろんな階層の迎えがやってきて…結局は自分のレベルの死後の世界へ行くという話だよね」

模話2「自分の人生を死後振り返るとき、ロックについてはどんな回想になるのかね? 死後のガイドがいると仮定して、その人からどんな風にいわれるんだろうか?」

模話1「閻魔大王がもしいる場合〈あなたは生前ディストーション中毒により宇宙をノイズで満たした罪で懲役1000年です〉とかいわれるのかな?」

模話2「くだらないよ。ロックを聴くことがどういう評価なのかはわからないよねえ。そもそも娯楽でどういうことをすると裁かれるとか…あるわけ?」

模話1「脱線がすぎましたので…本題に入りましょうね」

模話2「お願いいたします」

模話1「衝撃を受けた音楽、フレーズ、楽曲なんかの履歴を簡単に時系列で書いてみよう」

模話2「これまで出てきたものの簡単なまとめだね」

模話1「うん。では、簡単に。

◇〈地下鉄にのって〉猫 作曲:吉田拓郎=小3くらい、歌謡曲とは違うメロディーにくらくらする。学芸会でそろばんを弾いてバンドの真似をして同曲を歌うが、まったくうけない。落ち込む。

◇〈ケンとメリー 愛と風のように〉BUZZ=小学校時代、コマーシャル見るたびにとぶ。20代になって初めてレコードを買う。いまだにときどき聴いている。

◇〈翳りゆく部屋〉荒井由実=小6くらい。〈あの日に帰りたい〉を父の運転するラジオからきいてヒロトさんのドゥ・ワー・ディディ・ディディ状態になりショックを受ける。兄の知人のLPを兄がテープに落としてもらったものとか、ラジオからエアチェックしたものを聴く。特に同曲は、とぶ感覚に意識的にめざめはじめるきっかけとなる。こんな気持ちになる音楽があったとはと、切ないような不思議な気分のショックを受ける

◇〈シーラブズユー〉アンドレ・カンドレ時代の井上陽水 with モップス=小6。ラジカセを買ってもらったころにエアチェックしたもの。井上陽水は大ファンだったが、ここまで衝撃を受けたことがなかった。調べるとビートルズということがわかり、ビートルズを追求する端緒になる。洋楽というメロディーの複雑でたのしい旋律、スリリングで切ない曲調が心に影響を与えることに目覚める一曲。

◇〈タイユアーマザーダウン〉クイーン=中2くらい。フォークギターを買ってもらい弾いている頃だったが、せんだみつおがDJをしているオールジャパンポップ20というラジオ番組で今週の注目曲でかかった同曲。いったいどうやったらこんなギターの音になるのかショックを受ける。聴き終わるまで体が硬直して汗が出るような致命的なロック原体験となる。この頃から、フォークギターにマイクを突っ込んで、ラジカセで鳴らすという作戦を始める。

◇〈アルバム:こわれもの〉イエス=高1。プログレッシブロックは飛べるのではないか…そう考えて意識的に買った初のプログレッシブロックのアルバム。プログレッシブロックといいながら、ふつうにかっこいい曲にしびれる。クリスククワイアの曲とベースに惹かれる。南の空がいちばん飛ぶ感じがして〈危機〉をすぐ買いに行く。この後、とぶ方向にいきつつ、にぎやかなディストーション中毒的ヘビメタに走ることで脇道へ。

◇〈アルバム:ギター殺人事件〉AC/DC=高3。脇道から、いったん正統派のロックへ引き戻されるきっかけの事件とよべる衝撃の出会い。リフラフを繰り返し聴くことでディストーション中毒から解放(リフラフセラピー参照)。ギターの本来の音に回帰し、飛ぶという方向へあらためて探究がはじまるきっかけにもなる。

◇〈アルバム:フィジカルグラフフィティ〉レッドツェッペリン=大学1年。あらためてレッドツェッペリンを深く聴くきっかけになる名作。ストーンズでいう〈メインストリートのならず者〉のようなアルバムで、一度レッドツェッペリンを卒業したと思い込んでいたところ、よく聴いてみると「自分が聴いていたのはまだ表面的なものであった」ことに気づかされる。広大な音楽情報が仕込まれていて…聴くにつけ、関連の音楽に興味をもつにいたる。改めて飛ぶしかけをジミーペイジがわかっていることを悟る。

◇〈アルバム:焔〉U2=大学1年。前回述べた通り、飛ぶというテーマにぴったりのアルバムで…どのくらい聴き続けたかわからないほど、当時はどっぷり。ブライアンイーノのおかげで環境音楽のように長時間聴くことが可能で、浮遊感もある。新しいサイケデリックロックのようであった。

◇〈アルバム:Tommy〉Who。買ったのはLPは大学1年くらい。本格的に聴きだしたのは24歳くらいから。新宿西口でWhoの輸入盤を買ったりして聴いていたが、Tommyの良さは初めはよくわからなかった。しかし、精神的に病んだ頃に、Tommyを聴くと…飛ぶ感じに加えて、ピートタウンゼントの苦悩のさらに奥にある、なにか光を求めてもがいている姿を感じ取って共感した。その頃から、Tommyは特別なものにかわり、オーバーチュア、アメイジングジャーニー/スパークス、アシッドクイーン、ゴートゥーザミラー、ネイキドアイ、ピュアアンドイージー、グロウガール、リトルビリー、ババオライリー、無法の世界、バーゲンなどのサイケデリックロック的なWhoの魅力にどっぷり。バンドでもオーバーチュア、アメイジングジャーニー/スパークス、俺達はしないよは必ずやっていた。ポップな曲でとべるってのは、Whoならではだと思う。

◇〈アルバム:メインストリートのならず者〉ザ・ローリングストーンズ=20代後半くらい、バンドを初めてやった頃。来日公演も体験し、ベガーズバンケット、レットイットブリード、ゲットヤーヤーズアウト、スティッキーフィンガーズというWhoでいうところのTommy、フーズネクスト、ライブアットリーズ、四重人格という必須4アルバムをもういいやというところまで聴いた後に…やっぱりまたはまるという名盤。ロック界一のリフメイカーとはまさしくキースリチャーズのことである。スワンプロックになじんできたころに、やっとダイスをころがせの良さをやっと理解できた。そんな頃のことである。

まあ、もっとあるんだけどさあ…書いてるうちにこんな感じになったよ」

模話2「まあ、時系列的にはこんな感じなんだろうとは思う。都度、抜けとか、あるだろうけどね」

模話1「あたまの整理にはなったよ。結構正統派も聴きつつ、飛ぶ音楽を探究するっていうことは忘れてはなかったんだよね」

模話2「続く~」