真実の愛

真実の愛がこぼれていく
信念が水に溶け込んで
みるみるうちに雫になる
全部、すり抜ける
白い網目の隙間を
底知れぬ暗闇へと
誰も後ろを着いてはこない
恐ろしい沈黙
冷え切った世界

若者の不敵な笑み
期待と自意識が入り混じった騒音が
扇情的に季節を笑っている
彼らのドラマが
彼らなりの主張が
いずれも、やがても
存在しない世界で
うごめいている
少なくとも僕は、そこではもう生きていけない


一人の人間を信じられなかったことが
どうしてこんなにも苦しいのだろう
一人の人間を愛することができなかった事実が
どうしてこんなにも悲しいのだろう
こぼれていく
僕はもう生きているのではなく
ただ時間を潰しているだけだ


真実の愛が
一つの雫になって
白い網目を越えて
無意識の世界に全て
消えていく
忘れてしまう悲しみを
信じることの悲しみを
僕はもう生きているのではなく
ただ時間を潰しているだけだ

白い網目の隙間を雫がこぼれていく
音も立てず
人知れず
あなたが愛してくれたところまで
あなたのことを愛する事ができた世界まで

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