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突然決まったシンガポール出向

会社の出向で、シンガポール支社での勤務が始まりました。
アートディレクターやデザイナーで、海外で働くことを希望している人は多いと思いますので、海外で働くことになった経緯や、働き始めると何が起きるかを、忘れないうちに記したいと思います。

1 . シンガポール出向になった経緯


私はずっと海外で働きたいな〜と言う憧れを漠然と抱いており、実際に海外留学している友人、海外で働いてる友人に会いに行って色々と情報を集めたりしていました。
実現するための方法をあれこれ考え、まず海外の人と一緒に働ける外資系なら、色々道が開けるのではないかと思い、今の会社に入りました。
実際に広告賞や撮影で海外に行けたり、実際の仕事でも、色んな国の人と一緒に仕事ができる機会も得られましたし、英語勉強の補助も受けられました。

しかしながら、出向や転勤となると、役員クラスならよくあるのですが、平社員だとあまり行くことはない、という状況でした。居たとしても、10年前とか、もしくは今の会社を辞めて、海外に渡ってローカルで採用とか。

今の会社だと厳しいのかな〜とか思っていたら、
ある日突然思わぬ形で、扉が開きました。

2. ある日、突然外国人エクスパッドから声がかかる

ある日、いつも通り夜に仕事をしていたら、一度一緒に仕事をしたことがあったアメリカ人の上司がフラッとやってきて、いきなり私に声をかけてきました。

「ハ〜イ!ハブユー○△□×ビューティープロダクツ?」

ビューティープロダクツだけ聞き取れたので、「ああ、何かビューティー案件をやったことがあるか聞いているのか?」と思い、
ビューティー系でやったことがある案件を伝えたら、

「オウ ! ナイス ! ○△□×○△□×○△□×〜〜!!」

ペラペラぺラ〜と英語を話され、後半、何を言っているのか聞き取れず、何だろうか?と思っていたら近くにいた先輩が訳してくれて、

「彼がタイに転勤になるから、一緒に移動してくれる社員を探している。彼はおそらくビューティー案件をやることになるだろうから、ビューティー案件ができる社員が良いらしい、行けば?笑」

と言われました。

「お、おお!行けるなら行きたいです!(タイ、なんか縁があるな〜!と思いながら笑)」と私は答え、

目の前にクリエイティブのトップのブラジル人の上司もいたので、「どう?」と先輩が聞いてくれて、上司が「ああ、聞いてみるよ」と応じてくれました。

3. エキサイティングだから行ってよし


しばらくすると、ブラジル人の上司に呼ばれ、

「タイ支社はエクスパッド(うちの会社での意味合いでざっくり言うと、海外から来たおエライさん)以外の外国人社員には、VISAを出すことができないそうだ、シンガポールなら僕が以前に働いていたから交渉できる、

シンガポールでいいかい?」

と聞かれました。

「お、おお!?シンガポールめっちゃいいじゃないですか!行きたいです!ありがとうございます!」

と即答すると、「じゃぁシンガポール支社に聞いてみるね」となり、しばらく経ったら、

「シンガポールのクリエイティブの人と話したよ。エキサイティングでいいね!!ってなったので、手続き始めましょう」

となったのだ。

これは日本人には全くない感覚です。
かれこれ10年近く、あれこれ考えたり調べてたり、計画してましたけど、
最終的にまさか、
エキサイティングなだけで、シンガポールに行っていいことになるとは。

こんなことってあるのか、と今でも思ってますが、マジでこんな感じで決まりました。

その後、コロナでしばらくこの話は中断になってしまいましたが、
シンガポールのコロナ規制が撤廃された後、再開しました。

今思えば、コロナの後に来て本当に良かったなと思います。
その間に英語の勉強の時間ができましたし、Teamsという画期的なアプリができたので、より海外で働くための条件が整いました。

なので、このように、全く予想だにしていなかった形で、
私の出向は決まりました。


余談
シンガポール渡航前、渡航後に周囲の人と会話した所、気になるいくつかの回答が得られました。

・外国人上司に、「世界の色んな国で働いて、一番辛かったことは何ですか?」と聞いたら「JAPAN。」と回答。

・シンガポールに来てから、色んな国で働いた美容師に同じ質問したら
「日本かな。スレーヴィー(奴隷)だったね〜!」と回答。

・シンガポールの社員と広告業界の話をしてたら「JAPAN、KAROUSHI(過労死)」と話をされ、他の社員は「働きすぎて死ぬってどうやったらそうなるんですか?」って聞かれました。

大丈夫なのかJAPAN…!?

4. シンガポール出向までの準備

コロナ中、何を準備していたか、また事前にグローバルチームとの仕事の機会も与えられましたので、その際に気づいたことや感じたことも記しておきます。

1 : 探しまわった英会話教室

私は留学経験もなく、英語が完全にカタコトだったため、
英会話は、日本人のマンツーマンの英会話教室と、ネイティブのオンラインレッスンの2つ掛け持ちでやっていました。

私は、今まで英会話教室が一年以上マトモに続いた試しなかったんですが、コロナの影響もあり(遊びに行けなくなった)、この教室は2年以上続いてます。

散々大手の英会話教室を探し回り、やれ学費が高い、スケジュールの融通が利かない、授業が宗教っぽすぎる、など、一体どこにしようと難民状態だったところ、会社近くの交差点で、この英会話教室のローカル感あふれる看板を見つけました。

その名も"目黒の英会話"

マンツーマンレッスンが他の英会話教室よりリーズナブルです。
チェーン店ではないローカル感と、フレンドリーな先生のおかげでこんな私でも続けられてますよ。

 
オンラインレッスンはこちら↓のEFEnglishを利用しており、会社から補助が出るため、利用してました。
教師は全員ネイティブです。色んな国の人がいるから、逆に色んなアクセント聞けていい気がしますよ。
いつでも入れるグループレッスンもあり、時間の融通が利いてめっちゃいいです。マンツーマンは事前予約制。マンツーマンで、日本好きな講師に当たると、ただのフリートークになって、ずっとNARUTOの話をして終わったことがあります。それくらい自由です。

英語ペラの人はいきなりベルリッツとかネイティブ系行ってもいいんでしょうが、そうじゃないなら日本人講師とネイティブ講師、両方から習った方が良いかと思います。

2: グローバルチームとのワークショップで見えた、海外勤務における課題と、なんとかなるな、と思った部分

会社で、グローバルのチームの案件に参加させてもらいました。
日本人が私を含めて2人しかおらず、現地の環境に近い形です。
このワークショップで色々と海外で働いた時に起こるであろう問題と、そうでないことが予想することができました。

・チャット上のやりとり、事前に頼まれて作業時間が充分にある仕事はさほど問題がない。
いずれも、翻訳する時間があるからです。Teamsも自動翻訳機能がついてますし、事前にテキストでやるべきことを知らされていれば、内容を正しく理解し、こちらのアイデアも翻訳して、そこそこプレゼンすることができます。

・比較的、英語力が十分でなくても働きやすいのは、デザイナーかアートディレクター、映像ディレクターなど視覚や手作業を主にする職業
語学が十分でなくても、互いに絵や図を描いて、仕事のやりとりができます。海外では結構ラフが重要なので、絵が書けないアートディレクターは、ラフのカンプをスピーディーに作れないと苦戦するかもしれません。ペンタブは必須です。あと、シンガポールの場合においては、ADは皆自分でカンプを作ることまでできるので、カンプが作れないとなると働けないと思った方が良いです。日本ほど分業されてない案件がほとんどのようです。

・コピーライターは、流石にネイティブレベルでないと無理だと思います。

・プランナーも会議が問題なくできるレベルでないと厳しい気がします。
自分のプランを英語に翻訳するのと、そのプランに対するFBを英語で理解する時間を考えると結構しんどそうです。

・営業とプロデューサーも結構大変です。そこそこ英語を話せたとしても、クライアントの内容を咀嚼して、クリエイティブに伝える語彙力やニュアンスまで掴まないといけないので、ネイティブレベルでなかったら、努力は必要です。


・ミーティング、ジャストアイデアを出すワークショップは、語学力に左右される。
即興の会話が多い場面は、事前に翻訳してる暇がないので、語学力がないと、ほぼ参加できないという形になります。私は、このグローバルチームワークショップで、このような場面において、ほぼ地蔵のように固まってしまいました。わからない部分は後で、日本人の社員か、日本語を話せる外国人社員からキャッチアップするしかありません。

・みんな優しいし、フレンドリー
全体の雰囲気は、みんな優しく、とてもフレンドリーで、なんならたまに日本語で話してくれました。こちらがカタコトで話しても、理解をしてくれようとしますし、嫌な顔一つしません。むしろ会話に参加することを歓迎してくれます。これは、アジア圏だからという理由もあります。欧州などいくと、英語が流暢でないと相手にされないとよく聞きます。


・優しい人を見つける
みんな優しいから基本的に問題がなかったのですが、優しい人を見つける、自分に理解を示してくれる人を見つけるのは、結構重要なことです。
一人でできることには限界があるので、多少甘えたり、助けを求めることができる人を見つけておくと、気持ちも楽になるし、結果的に早く仕事もできるようになります。「自分も海外で働いて苦労をした。」という経験を持つ人は、こちらの状況にかなり理解を示してくれましたし、手助けをしてくれました。

日本人は「迷惑をかけて申し訳ない」という感情を持ちやすいです。
しかし、この感情はほとんど意味をなさず、ただ疲れる要因にしかならないので、とにかく「助けてくれ!そして助けてくれてありがとう!」という前向きな人たらしになることをお勧めします。

・趣味があった方がいい
ワークショップの時、海外の人と音楽の話で盛り上がりました。フェスやアーティストの話でコミュニケーションを取ることができ、英語がカタコトでも、趣味のことであれば、分かる単語が多いので、会話がしやすいのです。同じ趣味の人を見つけると、会話のきっかけが増えるでしょう。

・毎日慣れない言語に晒されるのは、想定より体力が削られる
これは、結構その場にいないと実感できないことです。大した仕事をしてなくても、知らない言語で会話され続けることは、結構ストレスがかかることです。なので、慣れるまでは、普段よりキャパが減ってしまうと考えた方が良いです。その分、余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。

・楽しむ心が一番大事
グローバルチーム、あるいはシンガポールのオフィスもそうなのですが、みんな「楽しむ気持ち」を何よりも大事にしています。
シリアスに黙々と仕事している人より、明るく軽やかに振る舞っている方が多いように思えます。
仕事終わりも、お酒や食事が振る舞われることも多くあり、コミュニケーションを非常に大事にします。このワークショップでも、プレゼンが終わった直後に、クライアントとビールを飲んでワイワイ話している光景がとても印象的でした。


ここまでが、出向までの経緯と、準備やトレーニングできたことの内容になります。次回は、出向が決まった後の具体的な準備や渡航手続きについて記します。

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