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京都を訪れたくなった本3選

京都を舞台にした本はたくさんあるけれど、近年読みながら「京都へ行ってこの場所を見たい!」と思えた本を3冊選んでみました。


人混み嫌いなのに祭り(祇園祭)に興味を持つ

京都を舞台に書いた本の多さといえばこの人か川端康成さんか、というくらい出版されている森見登美彦さんの『聖なる怠け者の冒険』

森見登美彦さんの本はほぼ全作品読んでいるので、今度”森見登美彦作品3選”も書いてみたいと思います。

この方の本は、最初は煙に巻かれたように何がなんやら分からないことが多く、正直この作品も登場人物は多いし、何が起こっているのか途中まではさっぱり分からなかったです。

中盤くらいから、登場人物たちが祇園祭の宵山を駆け巡るシーンがあり、通りの名前や鉾の名前が出てきたり、宵山の雰囲気が描写された箇所を読んだ瞬間から、「京都の夏がどんなに暑かろうと、どんなに人混みに気持ち悪くなろうとも、ひとりででも来年の祇園祭は行く!」と思えました。
(読んだのは2023年7月末)

そうしたら、翌年7月に京都に引越すことになり、1ヶ月も及ぶ祇園祭を堪能できることになりました。

残酷でドロドロの京都の歴史を知る

全く何の前知識もなく、立ち寄った図書館で目に留まった『駒姫:三条河原異聞』(竹内涼著)を読んでものすごい衝撃を受けました。

特に歴史が好きな訳ではないので、史実を元にされた内容とは知らず、表紙と最初の下りを読んで借りました。
最初の美しい話のすぐあとから、豊臣秀吉が自分と淀君のこどもが産まれた後で、関白を譲った甥の秀次に謀反の疑いから死刑にする、そして当時15歳の駒姫が比叡山まで追いやられた会ったこともない秀次の側室に嫁ぐために山形から上京する、という話が続き、「えっ?何これ?本当?」という感じでした。

秀次が処刑されたあと、正室・側室とこどもたち全て33名も公開処刑されるのですが、その場所が三条河原。
この場所はあの頃死刑場だったようで、かの有名な石川五右衛門もこちらで釜茹で処刑され、六条河原では石田三成も処刑されたそうです。

京都は神社仏閣が多く、古い街並みの中に現代的なお店があったり、河川敷も遠くに見える山々の景色も美しく、たくさんの人を魅了する町ではあるけれど、そういった暗い歴史もたくさんあるんですね。

まだ行ってないけれど、33名を弔うために作られた三条大橋たもとにある浄土宗の瑞泉寺も訪れたいと思っている場所のひとつです。
(山形にも記念館があるらしく、そちらも訪問してみたい)

ちなみに、こちらの作品は2023年12月中旬に読みました。

絵画と文学の巨匠のコラボ

こちらもたまたま人を待つ間に入った図書館で見つけた本。
『今、ふたたびの京都:東山魁夷を訪ね、川端康成に触れる旅』(平山三男著)

余談だけど、平山三男さんは平山郁夫さんの息子さんかと思ったけど、全く関係ないみたいで、川端康成氏を研究されてる方なのですね。

「もし自分にたくさんお金があったら、東山魁夷の作品を買って家に飾りたい。」とあるフランス人が言うまで知らなかった名前だけど、作品はもちろん存じておりました!湖と森の景色の中に1頭の白い馬がいる幻想的な作品はとても有名です。

以前広島から瀬戸大橋を渡って淡路島へ行った際に、その道中にある東山魁夷せとうち美術館と大塚美術館を訪れたのですが、その時に”ホンモノ”の威力を感じ、それから長野県立美術館まで行って作品を観るくらいのファンになりました。

川端康成さんの作品は10代の時に『雪国』を読んだだけ。それも全く記憶にないのが悲しい。

『今、ふたたびの京都・・・』を読んでから、登場する本は全て読んで、京都の町を散策したいと思ったのは2024年5月。
この本を読んだ時は単に「今度行こう」と思っただけで、まさか京都に住むことになるとは思っていなかったな。

待ちに待った祇園祭りの宵山も来週になり、再度『聖なる怠け者・・・』を読み返しているところ。あの頃よりも場所や通りの名称を見ただけで景色が想像しやすく、本を更に楽しめるようになりました。


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