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普通の人の意図しない佇まい 関係性をうつす鏡 Jerome Bell 「GALA」at clubhouse 20220209

※このnoteは2022年2月9日(水)21:10からのclubhouseでの発表用メモに加筆修正したものです。clubehouseリンクも貼っておきますので、ご興味を持たれましたらご参加頂ければ嬉しいです。

【日時】2018年1月20日(土)、21日(日)
【会場】彩の国埼玉芸術劇場 大ホール
【構想・演出】ジェローム・ベル
【主催】公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
【後援】アンスティチュ・フランセ日本、フランス大使館
【出演】埼玉版キャスト
相澤陽太、新井悠汰、入手杏奈、梅村千春、Elhadji Ba、大北 岬、オクダサトシ、金子紗采、川口隆夫、木下 栞、佐々木あゆみ、竹田仁美、BIBIY GERODELLE、百元夏繪、星 遙輝、堀口旬一朗、矢崎与志子、吉田駿太朗、吉村 計、李 昊

今回は、2018年の1月に上演されたコンテンポラリーダンス公演「GALA」を題材にいたします。とはいえGALAはとても変わったユニークな作品です。ダンサーがダンスをみせる公演ではないのです。

■公演トレイラー

■公演概要

構想・演出のジェローム・ベルはパリ在住の国際的に活躍する振付家です。この作品は上演される各地で調達された老若男女20名が登場します。トレイラーの動画を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、この20名は必ずしもダンサーではありません。照明も舞台装置もなく、ただ3方を黒幕で覆い、ベタなライトを平らに黒のリノリウムの舞台にあて、下手にめくりが置いてあります。ペラリとお題をめくっては、演者が一人づつ登場して、お題に指定されたことをして退場していく、という事が延々と続きます。

演者は必ずしも人前で何かパフォーマンスをすることを生業としている訳ではありませんし、仮にそうであったとしても、指示されたお題が自分のできる動きとは限りません。一体何が面白いの?ともなってしまいかねない舞台です。

が、これがまぁ興味深かった。

例えば、お題のひとつにお辞儀、があったように思います。
20人の出演者が1人づつ舞台中央付近まで下手から歩いて登場して、お辞儀をして上手にはける。ただこれだけなのですが、この歩く姿が様々です。きまり悪そうにそそくさと歩く人。演技の一部として歩く人。様式として歩いてくる人。きちんと行儀正しく歩いてくる人。審査員の前に歩み出る時のように歩いてくる人。そしてそれぞれのお辞儀。

何をしている人なのか、具体的な職業は難しかったとしても、なんとなく、どういう人なのか、分かってしまいませんか?

■関係性をうつす鏡

人の前に立つとき、自分は何者としてそこにいるのか。どういう関係性の中でそこに居るのか。

それがあると、その役割や関係性をまとっていますね。朝礼に登壇する校長先生は、校長先生のように現れます。恋人同士は恋人としてそこに居るでしょう。一方で役割や関係性を明確に見いだせていない場合もあります。すると居方が無防備です。無防備なときどうなるかは、人によってまた違います。照れたり、カチコチになっていたり、落ち着こう、と自分に言い聞かせていたり、場合によっては愛嬌を振りまいたり。何にも考えてなかったり。

どちらも社会や他者、そして自分との関係をどう捉えているかがにじみ出ています。

役割や関係性の中にあれば、そのまま社会が見えますが、まとっていないとき、どういうスタンスなのかも、その人、更には時代と社会を表していると思います。

そういう意味で、とても興味深かったのとあわせて、うわっと思いました。もしも、自分があそこに立っていたら。
丸裸ですね。
こんな目でみてしまうと。

でも、それはあの舞台でなくても、日常のどんな時であっても実は同じことなのです。

ちょっと考えてみましょう。
大勢が視線を注ぐ舞台に進み出るあなたは、どのように居りますか?

次に、
誰かと一緒にいる時のあなたは、どのように居たいですか?

そして、
実際はどのような居方をしていますか?

などということを考えてみる、その上で誰かと相対する時に自分がどんな居方をするのか、やってみたら、どうなるでしょうね?

何だか関係性が一つ、発展するんじゃないかな、そんな可能性があるんじゃないかなと思ってしまうんですよね。

■発表後記

clubhouseの本編発表後のコメントタイムで出た話題など、トピックスになるものがあれば、後程追記いたします。

■clubhouse情報

2022年2月9日(水)21:10~21:45(予定)
前説5分+本編(このnote部分)5分+フリートーク30分 

この社会の中で、人がどうやってつながっていけるのか、その可能性を身体、風土、歴史、文化から探っています。無意識の内に人の中に沁み込んでいる世界の見方に出会い、同じく無意識ににじみ出ている何かで人とつながることを体験していきたい。
そういうミュニケーションがこれからはより一層大事と思っています。それは社会のセーフティーネットであり未来を作ります。人間を強く元気にします。
clubhouseでは、ダンス作品や映画などのレビューを通して、それに取り組んでいます。

■関連情報リンク

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