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ヌュアンス『スタイル』

7月27日
ヌュアンス『スタイル』@恵比寿ガーデンルーム

 ヌュアンスのワンマンライブの前に、新宿二丁目のアイソープラウンジで、二丁目の魁カミングアウトのリリースパーティー。ベストアルバム『Best As Yesterday』とシングル『キラキライクストーリー』にそれぞれサインしていただく。
 サイン会後のライブは時間の都合上、参加できないのだけど、受付のスタッフさんがライブの整理券を渡そうとしてくれたり、紅さんが「今日は1日楽しもうね」と声をかけてくれたりして、ちょっと申し訳ない気持ちに。


 サイン会の後、以前から行ってみたかったアイソの近くにある間借りカレーのお店『チキュウマサラ』でお昼ご飯。カレーは2種類で、あいがけの『スペシャルコンボカレー』は2000円となかなかのお値段ではある。でも価格に見合った、もしくはそれ以上の満足感があるめっちゃくちゃ美味しい、ここでしか食べられないユニークなカレーだった。お冷が炭酸水なのもラグジュアリー感ある。
 店名に込められたコンセプトの通り、カレー皿の上が地球になっているような多国籍な味わいを楽しめるカレー。ちょっと贅沢したい時とかにまた来よう。


 その後、カフェでダラダラと時間を潰してから恵比寿に移動。新体制ヌュアンスとして初のワンマンライブを見る。残念ながら目標のソールドアウトは達成できなかったけど、会場は後ろまでぎっしり埋まっているように見えた。

 開演の5分前くらいに私服姿のヌュメンバーが舞台に現れ、なにやら小芝居が始まる。早瀬るりねさんが、顔面の前で手をつまんで引っ張る志村けんの往年のギャグ「だう〜ん」みたいなことをやってて、何やってるのかと思ったらK-Popの人たちがライブ前によくやる精神集中の儀式だったらしい。おっさん丸出しの反応してしまった。

 程なくして、あぬゅない人のぎょねこ・ヲジマアローさんが現れ、メンバー紹介を兼ねたコントを展開。体制が変わっても、こういう瑣末なところに力を注ぐヌュアンスらしさが失われていなくて素晴らしい。

 1曲目の『cosmo』では、膝を痛めていた蓮水恭美さんも椅子の上に立ってパフォーマンスしていて一安心。最近まで入院していた城戸海月さんも無事に回復したようで、とにかく5人の元気な姿が見られるだけでありがたい。
 新メンバー2人をケアしながら、膝体制・腹体制を支えた汐崎初音さんも大変だったろうし、先輩メンバーたちの頑張りには頭が下がる。

 一方、新メンバーふたりも目を見張るほどの成長ぶりだった。
 早瀬るりねさんは初めて見た時からしっかり声を張って歌えていたし、情感を込めたパフォーマンスをしていたけど、大舞台でさらに持ち味が発揮されていた。るりねさんの物怖じのなさが、いまのヌュアンスをムードメーカーとして引っ張っていってる気がする。
 そして椰子桃子さんも、お披露目の時とは見違えるように歌もダンスも着実にスキルアップしていた。それに要所要所でかわいらしい声がフックになっていて、今後のヌュアンスに欠かせない存在になっていくことを予感させられた。

 特に本編最後の『wish』「君しかいないとふと思った」で、るりねさんが泣いていたのはこちらも涙を堪えきれなかった。
 後日譚として定期公演の振り返りトークで語られた話だと、川井わかさんもこの箇所を泣きながら歌っていたのだとか。入れ替わりで加入し、わかちゃんから指導を受けてきたるりねさんが同じパートで泣いたのは、技術だけでなく大事なものを継承したことの証のようにも思える。

 この場面だけでなく、『雨粒』で城戸さんがかつてなく気迫のこもった歌と表情を見せていたのも忘れられない。これまで『雨粒』は繊細なパフォーマンスの初音さんが独壇場だと思っていたけど、城戸さんがこんなにむき出しで生々しい感情表現をするのは初めて見たかも。

 オリジナルメンバーの時代からどの体制もずっと好きだし、優劣をつけるつもりはないけど、現体制は過去にないくらいいちばん情熱的なヌュアンスだと思う。そして、今のヌュアンスのカラーは新メンバー(特にるりねさん)から強く放たれている気がする。

 大人っぽい雰囲気の新曲『mellow dancer』では恭美さんの歌唱力を大きくフィーチャーしていて、グループとしてのまとまりだけでなく、個の魅力も際立たせていく方向なのだとしたら大歓迎。
 かと思えば、アンコールで披露されたもう一つの新曲『calender boy』はちょっと抜けた感じのあるポップな曲で、振り幅の広さは相変わらず。

 そもそも新メンバーが、feeteríaのコント公演を見てヌュアンスに入りたいと思ったるりねさんと、『猫じゃらし乙女じゃらし』をオーディションで歌った桃子さんというふたり揃って奇人だし、面白がって採用しちゃう運営は言うまでもないし、これからも予想を裏切り続けるグループでいてくれるんだろうな。

 ヌュアンスの未来に確かな希望が灯ったワンマンだったな、と思いながら会場の外に出たら、空の色があまりにもヌュアンスだった。


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