日記:20230520〜クロスノエシス「plant」〜
クロスノエシス4周年、かつ、活動停止によるラストライブ。
活動停止というのは、おそらく曲を残すための名目で、実質解散ライブなのだろう。
クロスノエシスは曲数やバリエーションは決して多くなかったけれど、独自の世界観が通徹した楽曲をひたすら磨き上げ、パフォーマンスを進化させてきたグループ。それは活動の最後となるライブでも変わっていなかった。最後にして最高のライブだった。
前回のリキッドルームでのワンマンは大掛かりな舞台装置がとにかく印象的だったけれど、今回はシンプルなステージ。それでもレーザーを多用した照明は過去最強にバキバキだった。
でも、照明などの演出が過剰になることはなく、あくまでクロノスのメンバーたちが主役の舞台だった。激しい照明に一歩も引けを取らないどころか、ステージ上の5人が照明をオーラのように纏って操っているかのように感じた。
前回は紗幕に覆われた中でライブが始まったけれど、今回は暗幕に覆われていたステージ後方のビジョンが2曲目の「翼より」から露わになった。
「翼より」の歌詞で歌われる「誰よりも強く壊れそうな君」はクロスノエシスのことかもしれない、と思った。
中盤に「awake」が来て、ここでいったん水入りかな、と思ったらやはりで、舞台から去った後、SEとVJが時間をつなぐ。途中から曼荼羅のような映像になり、それが後半のセトリへの予告だったのかもしれない。
転換の映像が結構長かったので、衣装遅延時ありそうと思ったら、これも予想が当たりモノトーンの新衣装で再登場。そして、唯一ライブで未発表だった「gone」を披露!
LAKEさんの衣装のふわっと広がった白い袖が布衣っぽく見えて、より一層 goneの世界観と合っていた。というか、AMEBAさんが身を横たえるところからスタートしたり、完全に死生にまつわる儀式をイメージした振り付けだった。いどみん先生……。
気のせいか重めで、よりダークな曲が目立つ後半セトリの中で、クロノスの中でもひときわポップな「full moon」が異色。かぐや姫をモチーフにしたというこの曲、ラストライブでは歌詞がまた違った意味を持ってくる。
本当に人間に擬態した天使だったよな、クロスノエシスさんたちは。最後に名残惜しそうな表情を見せてくれただけでも、つまらない地上に生きる人間としてはもったいないくらい嬉しかった。
始まる前はボロボロ泣いてしまうんじゃないかと思っていたけど、ここまではひたすらパフォーマンスと楽曲に酔いしれ、楽しむことしかできなかった。
でも、「リンカーネイション」の後、5人が内向きの輪を描くフォーメーションになり、「seed」のイントロが鳴った瞬間、終わりを実感して涙が溢れてしまった。
ここから芽生えて行くのはどうか希望であれ。
seedの後、この日最初で最後のMC。
RISAさんが泣きそうになるのを無理やり堪えた結果、泣いてるのか笑ってるのか分からない妙なテンションになっていた。クールそうなのに、激情型で愛おしい人。
そのRISAさんの涙を止めるために「真実はいつも、ひとつ!」とコナンのセリフを振っていたMAIさん。MAIさんのスピーチ、ちょっと凄かった。
みんなを縛り付けたくはないけど、望んでくれたらいつでもそこにいる存在でありたい、という言葉。
私はみんなのことが好きだし、ここにいる人たちは私のことが好きな人だと思うから、好きな人が好きなものは大事にしたいでしょ?だからみんなは自分のことを大切にして、という言葉。
もう舞台に立つことはないけど、みんなが好きな私でいられるようにがんばる、という言葉。
どれもアイドルからのお別れの言葉として完璧すぎた。
MAIさんはクロスノエシスの後もアイドルを続けるのかと思っていたな。ちょっと意外だし寂しい。
他のメンバーがアイドルや芸能活動からの引退を公言する中、ひとり去就未定のLAKEさん。できればLAKEさんにはアイドルであってもなくても、歌や表現活動を続けてほしいな、と思っています。その時は今まで通り全力で応援する所存。
FLAMEさんは初めから涙が止まらず、タオルで顔を覆いながらのスピーチで、最後も言葉がまとまらないまま締めていたのがかえって偽らない気持ちが伝わってきた。何よりかわいい。あとタオルがふかふかで手触り良さそうだった。
スピーチのトリを務めるAMEBAさんがこういう場面で涙を見せない人なのも、クロスノエシスらしくて良い。ライブ中は個人の内面性はほとんど見せないけど、みんなおもしれー人たちなんだよな。
MCの後、本当に最後という曲振りから「lost moment」。曲の途中から、後ろのビジョンに過去のMVなどの映像が流され、胸が締め付けられそうになった。
特に終盤、lost moment のMVの燃えるような夕陽の逆光に照らされながら踊る彼女たちの映像は、身を焦がし燃え尽きるように舞う姿に見えた。
この歌詞は明日からの自分のことなのかもしれない。戻ることはなく。消えることもなく。
クロスノエシスが毎回のライブに全力で注ぎ込んでくれた思いは自分なりに受け止め、積み重ねてきた鍛錬の結晶のようなパフォーマンスも記憶に焼き付けた。
関係者席にたくさんのアイドルや元アイドルが見にきていたり、Twitter上でいろんなアイドルがクロスノエシスの曲を聴いたり、思いを馳せたりしていたことが、たまらなく嬉しかった。
ファンの記憶だけでなく、共に歩んできたアイドルたちにも、唯一無二の存在だったクロスノエシスは残り続けていてほしい。
人間てここまで美しくなれるんだな、と思うくらい美しいステージを見せてくれて本当にありがとう。
この先もし舞台に立つ機会があるなら応援しに行くし、そうでなくても健やかに幸せに暮らしてくれることを願っています。
帰り道。今日はなかよしの定食ではなく、なかじまで坦々麺と半チャーハン。坦々麺(辛め)を食べながら、そういえばMy Last Danceやらなかったことに気づいて愕然とした。