RAY『王道』『オルタナティブ』
6月23日
RAY presents 『王道』『オルタナティブ』@下北沢CLUB 251
RAYの単独主催イベントで、1部は「王道」、2部は「オルタナティブ」と銘打った楽曲を披露するライブ。シューゲイザーを中心に多様な音楽ジャンルを積極的に取り込み、異端的ですらある楽曲を発表し続ける一方、あくまでも「アイドル」であることを大事にするRAYの活動指針がわかりやすく提示された企画。
『王道』編
CLUB251はステージが低く縦に長いので、整理番号が1桁だったこともあり、絶対に最前列で見ようと思っていたら、入った時点で目の前に椅子が置いてある場所しか空いていなかった。足を痛めている愛海さんがここに座るんだろうな、ライブ中、ずっとすぐ前にあみみがいるの緊張するなと思いつつ、最前列の誘惑に負けてその場で見ることに。
『Overture』に乗ってメンバーが登場したら、本当にすぐそこに愛海さんがいてどうなることかと思ったけど、ライブが始まれば関係なかった。見どころ、聴きどころが多すぎて、ちゃんとステージ上の全員に目が奪われた。
1曲目は『世界の終わりは君とふたりで』。自分が「RAYの王道」と聞いて最初に思い浮かべた曲から始まって嬉しい。
続いての曲は『春なんてずっと来なけりゃいいのに』で、これはどっちかっていうとオルタナティブなイメージだから意外だった。とはいえ、激し目のイントロや間奏を除けば、歌詞もメロディーも王道的ではあるのか。セトリの意図や背景を解説する配信とかやってくれないかな。
『Fading Lights』久しぶりに聴けた気がする。やっぱり大好きだ。手を差し伸べるサビの振り付けで、目の前のあみみの指先を凝視してしまった。祈りや願いを描いた歌詞が表現されていた。
繊細な曲が続いた後、アップテンポめの『レジグナチオン』で椅子に座るあみみにメンバーが寄り添ったりちょっかいかけたりし始めて、ここからステージ上の光が輝きを増した。先陣を切ったのはやっぱり紬実詩さんで、みこちのそういう人柄が本当に救済。あみみこちはマブダチ(2日連続)。
『moment』のラストで、みんながあみみのもとに駆け寄ってポーズ取ってたのも泣けた。見逃してはいけない瞬間だった。
『ATMOSPHERE』『フロンティア』のよくばりセットで最高の締めくくり、と思ったら、さらに『ナイトバード』で追い討ち。フロア全体でこぶしを突き上げシンガロングして大団円、かと思ったらさらに『星座の夜空』!もう何も思い残すことはない、と思ったら『バタフライエフェクト』で本当のおしまい。カラカラになった。デザートまで食べ終わってからメインディッシュが4品くらい出てきた満腹感。ごちそうさまでした。
第2部までの時間調整で、たまたま発見した『KISSA RAY』というカフェに行く。あいにく満席で20分ほど順番待ち。並んででもこのお店に入るという強い意志があった。
お店のオーナーの出身地である宮崎県産の卵を使ったプリンと、メロンクリームソーダをいただく。甘いもの同士でもたれるかなと思ったけど、どちらも甘さ控えめでさっぱりいただけた。
KISSA RAYを堪能して、CLUB 251のすぐ近くにあるカレー屋さん・旧ヤム邸へ。下北沢はおいしいお店が多くて、まだ行ったことのないお店も多いのだけど、旧ヤム邸に行けるチャンスがあったら行かざるを得ない。有名な人気店すぎて今さら言うのも気恥ずかしいけど、毎回食べるたびに感動する。
今回は昼に見たライブの感動も相まって、3種全がけカレーに期間限定のカレーも追加する大盤振る舞い。本当はホタテのアチャールも食べたかった。国民全員に毎月30万円を非課税で給付する党が政権を握ったら食べよう。ぜんぶ美味しかった。
『オルタナティブ』編
今度は中央付近があいていたので、そちらで見ることに。とても良いポジションで見られたのだけど、終わりの方で後ろから突っ込んできたやつがそのまま割り込んで隣に居座ってイラッとした。センター付近はこれがあるんだよな。怒りを原動力に、気にせずぶんぶんに踊ってやった。
それはさておき、『Overture』なしで登場して、『津軽よされ節』からスタート。二夜連続!告知なし!最初の組体操のところで、小走りで自分のポジションにつくところを、あみみが椅子に座ったままマイムでやっててかわいかった。
『火曜日の雨』『KAMONE』とオルタナティブの代名詞のような曲を序盤から続けて、第1部とは対極的な空気に会場を染め上げる。
攻撃的で暴力的な序盤から、『ネモフィラ』『Meteor』と静謐な闇で包み込み、『読書日記』。あみみが着座でのパフォーマンスになった分、「遠く」のハイトーンな歌声がいつにも増して響き渡っていた。
予告されていた『しづかの海』は、5人の歌声を堪能できる曲。ハモリやコーラスが胸に沁みる。
『See ya!』のイントロが流れ、『Show Me the Season』やってないんですけど!と叫びそうになった。いつになったら聴けるんだ、SMtS。1部とは逆で、もう終わっちゃうのかという寂しさを感じるラストの曲。ではあったのだけど、そんな寂しさや満たされない気持ちを音と声とダンスと情熱で満ち満ちに満たしてくれるSee ya!だった。最強のカードなのでは。
1部2部どちらも全然ちがった良さがあり、どちらも良いライブだったことを前提として、ライブを見るまではオルタナティブ編のほうが自分の好みには合ってるのかなと思っていたけど、むしろ1部の王道編のほうが多幸感・充足感に溢れていた。激しめだったり、複雑なフォーメーションやダンスがある曲の多い2部では、愛海さんの脚の不調や、琴山しずくさんの肋骨も万全とはいえない状況も影響していたのかも。
パフォーマンスの仕上がりがライブの出来栄えに直結するオルタナティブ楽曲と、足りない部分や欠けている部分があっても、時にそれを超えた輝きを放つ場合もある王道楽曲の違いが、「アイドル」の奥深さを表しているのかもしれない。
おいしいごはんとグッドな音楽とかわいいアイドルのおかげで今日も生き永らえた。