日記:20230523〜「ひだりききクラブの自由律俳句交換日記・傑作選 3」〜

 寒い。

 ひだりききクラブの「自由律俳句交換日記・傑作選 3」を読む。
 見開きに同じモチーフや共通点のある言葉を用いた作品がレイアウトされたり、過去の傑作選と比べて、よりお二人の作品を対比させた構成が目立つ。何度も読む手を止めてじっくり見返した。
 
 書き下ろしの新作もそれぞれの持ち味や魅力が存分に発揮されていた。

ただいまが靴底に溶けて暗い部屋 (出雲にっき)

 にっきさんのルーツである東北地方の雰囲気が伝わってくる。寒くて暗い景色だけど、真逆のあたたかさを感じる。


制服の子とすれ違って地続きの四月 (すずめ園)

 新入生とすれ違った一瞬に浮かぶ思い出が、イメージ上の郷愁だけでなく、自分の体験に根ざした記憶として鮮やかに逞しく表現されている。
 この季節の記憶は、自分にとってはあまり良い思い出はないのだけど、過去の自分をしっかり受け止めるような句で、とても素敵。

 おふたりのエッセイつきの句もどちらも素晴らしかった。特にすずめさんの「生活だけをして何もできない自分に疲れていた」という一節は胸に刺さるものがある。「主人公」とあわせて読み返したい。


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