RAY・二丁目の魁カミングアウト『脱却』

4月24日
『脱却』@下北沢・Flowers Loft

 しぬほど楽しみにしていたRAYと二丁魁のツーマン。楽しみにしすぎてぜんぜん噛み合わない感じになったらどうしようとか勝手に心配してお腹痛くなりかけたりしたけど、始まってみたら完全に杞憂。本当に本当に良いツーマンだった。
 
 Flowers Loftは横に広くて縦が狭いので、後ろを気にせず見るために前方に余裕があったけど壁沿いの最後列を確保。
 最前にいたおなカマの女性がRAYの時に最前を代わりましょうかと声をかけていたけど、みんな「ここでいいです」「前で見てください」と断っていて、誰も最前に行こうとしなくて「ぜんぜん予習してないのに!」とかパニックになっていたのが面白かった。ふだんそんなに接点のないグループ同士で、異文化交流っぽくて良い。

RAY
 Overtureに乗って登場し、1曲目は『レジグナチオン』。好きな曲だけどちょっと珍しい入り方かも。キャッチーなクラップやサビの振り付けに前方のおなカマたちも真似してくれてて嬉しい。

 続いて『わたし夜に泳ぐの』。やっぱりこの曲を4人体制で聴くと、一瞬ウッ!と胸につかえるものがあるのだけど、この日は5月3日のワンマンで愛海さんの復帰が発表されていたこともあってか、前回ほど痛みをおぼえずに見ることができた。

 『バタフライエフェクト』冒頭のまおまおの煽りが「ハッピーとラッキーを届けにきたアイドル・RAYです!」みたいな感じで、あまりにも眩しくて涙出るかと思った。なんかこの煽りの時点で、今日のツーマン絶対成功すると確信した。

 MC前に『フロンティア』を持ってくる構成で、代表曲をあえて中盤に持ってこられるのがRAYの強さ。紬実詩さんのロングトーンを受けて、ラストサビで「生きることそれこそが愛(LOVE)」と歌いながら指ハートを掲げる琴山しずくさんから、1日に必要なハッピーとラッキーをすべて摂取した。

 MCで「ミキティーさんは占い師らしくて、占ってもらったら言い当てられてびっくり」みたいな話をしていて、ミキティーが占いできるとか初耳すぎて戸惑った。

 MC明けでガラッと曲調を変えてくるパターンかなと思ったけど、後半もこれまでの流れに沿った『moment』から。今日も内山さんとまおまおがいちゃついていて良かった。
 人差し指と中指でファインダーを作るポーズが、二丁魁の三原色やあの青春のファインダーポーズに通じるような気がして、心と記憶に刻み込んだ。見逃さないでね。

 前から言ってる通り『サテライト』はミキティーが振付した曲以外でいちばん好きな振り付けの曲。サビを振りコピしている時、ネガティブなことを全部忘れて幸せに満たされている。おなカマたちが振りコピしている姿が目に入ってとても嬉しかったし、やっぱり後方で見て正解だった。

 定番の名曲『世界の終わりは君とふたりで』、王道のRAYらしい曲ばかりのセトリだったけど、基本的に明るく楽しい雰囲気でありながら、曲の中に切なさや儚さが顔を覗かせる瞬間があって、RAYという光の持つグラデーションの多彩さを感じた。多面体の放つ光。

 で、終盤に披露された『ナイトバード』がなんかもうものすごく良かった。この曲、これまでそんなに思い入れはなかったのだけど、この日はいちばん胸に響いてびっくりした。RAYと二丁魁のツーマンで右手を掲げてシンガロンする一体感が生まれたことに感動したのかもしれない。

 そしてトリに持ってきたのは『火曜日の雨』。ちょうど火曜日だし雨降ってたし、絶対に来ると思っていた。というかここ最近、毎週火曜日に雨降ってるよね。
 いきなり血のように赤い照明に包まれ、さっきまであんなに笑顔で軽やかに歌って踊っていたかわいいアイドルが、目を据えて重心を落として咆哮するような曲を叩きつけてきて、初見の人たちは度肝を抜かれたろうな。羨ましいんだけど。自分も一回記憶なくして『火曜日の雨』でびっくりしたい。いや、毎回驚かされてはいるけど。

 自分にとって誰よりも『アイドル』なアイドルは二丁目の魁カミングアウトなので、RAYが全振りでアイドルな曲を持ってきたことがとても嬉しかったし、最後に『火曜日の雨』で血の雨を降らせたのも最高だった。


二丁目の魁カミングアウト

 二丁魁もいわゆる対バン用セトリではないだろうと思っていたけど、1曲目から『マイノリティーサイレン』(ハーフ)! RAYを見終えた時点で汗だくだったから隣の女性と肩組むの申し訳なかったけど、離れぎわに背中ぱんぱん叩いてくれて部活みたいだった。

 続いて『BUG IS LIFE』。バグズはマイサイから派生して生まれた曲らしいので、続けて披露されるのはかなりレア。というかバグズ自体、ひさびさに聴いた気がする。

 アグレッシブな曲から始まり、『ウサギと賽子さん』『◻︎私はロボットではありません』に急転。楽曲の世界に入り込んだシアトリカルなパフォーマンスは、明らかにRAYの得意なフィールド、特に『火曜日の雨』的な世界観を感じさせる。というか、『火曜日の雨』の後に二丁魁が『ゼロ』やったら心臓止まっていたかもしれない。

 ミキティーはRAYをちゃんと見るの初めてと言ってたけど、本当に? 相手のことをかなり調べて研究した上でぶつけてきたセトリにしか思えないのだけど。占いでセトリ決めたのかな。
 これ書きながら気づいたけど、『ナイトバード』の手を掲げてシンガロンするのが、マイサイ、バグズと完全に呼応してるし。
 偶然かもしれないけど、RAYも二丁魁もあえて相手のリングに上がって戦うような、リスペクトの感じられる異種格闘技だった。

 なんとなくFlowers Loftではこの曲のイメージが強い『リバ』。ぺいちゃんリフトは放り投げられるような下ろし方。支えきれずにそうなってしまったのではなく、意図的に投げ出すような離し方に見えた。
 ステージの前っつらギリギリに立って最前の観客に覆い被さるように歌うぺいちゃんはまさしく鬼気迫っていたし、落ちサビ終わりに殴り飛ばす直前、栄心くんがぺいちゃんの髪を掴んだことに驚愕した。こんなにバイオレントな二丁魁、あんまり記憶にない。

 ここでいったんMC。もうMCの間ずっとミキティーがRAYを絶賛していた。リハーサルで聴こえてきた音が好みすぎて、リハもライブも見に行ったとか。
 ミキ「ふだんいちばん良いソファーに座ってメイクしてる私が重い腰を上げて。この重い腰を」
 ぺい「本当に重いんだから」
 周りのRAYファンが笑っていいのか困ってた。RAYのファンは優しくて上品だな……。 

 曲を褒めるだけじゃなくて、ライブ中のメンバーの表情が良かったとか、涙が出そうになったとか、わかりすぎて100回くらい頷いたし、MC中に「ほらねー!」ってツイートしたりした。ミキティーと好きなアイドル、嫌いなアイドルの趣味合いすぎでは。
 ミキティーは対バン相手の良いところをしっかり褒めることはあっても、「好き」と明言することは滅多になくて、それこそ横浜ベイホールでまなみのりさと邂逅した時以来じゃないかな。

 ミキティーがRAYを好きと言った事実に興奮しすぎて、この後しばらくライブの記憶があんまりない。『ノスタルジスター』の途中でハッと気づいてステージに集中するまでずっと上の空だった気がする。
 どこかのタイミングで紅さんがヘアバンドをむしり取って、そういう動作って紅さんの場合はここでやろう!って決めていたパターンが多いと思うのだけど、今回はアドリブで咄嗟に出たものっぽくてとても良かった記憶がある。けど、それがどの曲のどの場面だったか記憶が定かではない。反省。

 反省ついでに言うと、特典会でミキティーとRAYが良かった話で盛り上がりすぎて、帰り側にぺいちゃんが「うちらも良かったでしょ!」って拗ね気味に言ってたのがかわいかった。 
 
 当日夜のミキティー感想戦ツイキャス(感想は割と短めだったけど)によると、終演後にRAYのプロデューサーの大黒メロンちゃんが楽屋に来て、とても感銘を受けた旨を話してくれたそう。うれしいなあ。うれしいねえ。
 RAYも二丁魁も結成日が5月1日なことに触れて、MCでミキティーが「これからお互いに売れたらいっしょに武道館でやりたい。それか昼夜で別々にやろう。わたしたち夜とった(笑)。でも日曜だったらわたしたちが昼」ってジャイアンすぎること言ってたけど、本当に2組とも武道館でワンマンやるくらい売れてほしいし、共同主催でイベントやるくらい仲良くなってほしい。心の底から願っています。

 終わった後に話しかけてくれた二丁魁好きのおともだちもみんなRAYよかったと言ってくれたし、「ほんとは5人なんだよね」「次は5人のRAY見るのが楽しみ」と言ってたのが泣けるほど嬉しかった。

 年に数回どころか、数年に一回レベルで余韻が冷めないライブだった。間違いなくこの日世界でいちばんよろこんでいたのは俺だ。


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