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新宿御苑で寒椿を見る、『Shoegaze Point』

1月22日
『Shoegaze Point』@渋谷wwwX

 RAYとTokyo Shoegazer(東京酒吐座)のツーマンを見るため今日は1日有休を取得。    
 せっかくなら「毎月は無理でも2ヶ月にいっぺんくらいは休みを取ってお花を見にいこう」を今年もやろうと新宿御苑に寒椿を見にいくことにした。
 
 その前に千駄ヶ谷のカレー屋さん・Luna Pienaでお昼ご飯。オフィス街とも住宅街とも言えない街・千駄ヶ谷のこぢんまりとしたお店で、客層はいずれも妙齢の女性ばかり。カレーとチーズケーキが売りのお店で、自分も含めてほぼ全員、カレーとチーズケーキのセットを注文していた。

 チキンカレーとココナツ野菜カレーの2種盛りで、ココナツ野菜カレーには海老が入っていた。食べやすいやさしいお味で、後からじんわり汗をかいてくるくらいのスパイス加減。いちばん好きなタイプのお店だ。
 副菜のアチャールも、スパイスがけヨーグルトも、もちろん食後のバスク風チーズケーキも美味しい。添えられた岩塩をちょっとつけるとさらに美味しさが際立つ。
 食べ終えて店を出た後、しばらく幸福感に包まれていた。


 新宿御苑は数年前、千駄ヶ谷門から徒歩2分くらいのところに住んでいたのだけど、いつでも行けるだろうと思いながら一度も訪れないまま引っ越してしまった。
 冬なのに穏やかによく晴れた天候に恵まれていたこと、人が少なくてゆったり過ごせたこともあったのだろうけど、何時間でもいられる場所だった。折々にまた来たい。


  この時期に咲いているお花は決して多くはなかったけど、満開で咲き誇る盛りの花とは一味違う、冬の花ならではの健気さを感じた。


千駄ヶ谷に住んでた頃、生まれて初めてノロウィルスに感染して、胃の中のものをすべて吐いて下して焼けるような胃の痛みで一晩中眠れずにふらふらになって翌朝駆け込んだ病院。待合室でぐったりしていたら診療室のベッドに寝かせてくれて、ノロの苦痛は思い出したくないけど、あの時の親切は忘れずにいたい。


 新宿御苑から渋谷に移動して、モスバーガーで腹ごなし休憩してから会場のwwwXへ。
 整理番号は10番台後半だったけど、自分より前の番号で開場時に入場した人が5人くらいしかいなくて、最前列の良い場所に入れた。よく考えたら、平日18時15分の開場に間に合う人のほうが少数派なのか。

 
Tokyo Shoegazer
 開演前から目の前のステージに並んだエフェクターの数がえぐい。どんな音が聴けるのかワクワク。

 開演とともに轟音ノイズのSEが流れ、照明が激しく明滅する。初めは青系の照明に赤が混じり、やがて赤一色に染まっていく。音だけでなく、光でも脳を揺さぶってくる。

 やがてメンバーが登場し、演奏が始まった途端、爆風みたいな音が襲ってきてちょっと前髪が揺れた。思わず笑ってしまうくらいの轟音。といっても、耳をつんざくような感じではなく、音に包まれ内側から満たされていくような感覚。
 あとベーシストのストラップに「ベースが弾けます」と書いてあった。そうなんだー。

 はじめはドラムとベースのリズム隊が引っ張っているように見えて、ちょっと意外だった。うねるようなギターノイズと、跳ね回るリズムの躍動感の対比が心地よい。
 3曲目だったか、左右のギターがそれぞれ独立した浮遊感のある音を奏でていて、頭の中を掻き回された。トリップ。

 そして最後の曲ではアウトロで延々と轟音ノイズ祭りが開催され、しもて側のギタリストは楽器を放置して、しゃがみこんで手でエフェクターをいじり回していた。あれは何なんだ。何だかわからないけど、とにかくすごかった。ずっと鳴り止まずに続いていてほしいノイズだった。感服。


 いったんバンドセットを後ろに下げてから、Tokyo Shogazer と RAY のクロスコラボで、生演奏の『逆光』を披露。歌割りとかも本来とは異なるアレンジだったらしい。もともと原曲にあまり慣れ親しんでいないことを差し引いたとしても、全く違和感がなかった。これだけ技術もキャリアもあるバンドの演奏で臆さずパフォーマンスできるだけで凄い。
 『Destroy the wall』のモーサムといい、なかなか普通のアイドルではありえない貴重な体験を重ねているし、それが着実にRAYのステージングの向上につながっている。

RAY
 『しづかの海』からスタート。つい先日、ライブ映像が公開された『全部、花。花と歌い、死ぬ』を思い出さずにいられない。この曲を聴くたびに2024年12月30日を思い出して、そのたびに死んで、また生まれるんだろう。


 シューゲイズに振った重厚な曲が中心のセトリで、パフォーマンス中の表情も抑制されていたけど、『わたし夜に泳ぐの』の輪になる場面で、初めて笑顔が見えてなんだか泣きそうになった。ライブ中に愛海さんの笑顔が見られるのが何よりのしあわせ。
 舞い踊る5人が天女。このまま店へ登っていってしまうんじゃないかと思った。『百年の孤独』のレメディオスのように。

 真ん中へんで来た『Fading Lights』も素晴らしかった。なんて良い曲なんだ。ただただ聴き惚れるしかなかった。

 こういうバンドとの対バンでは、『バタフライエフェクト』という切り札の存在がとても心強い。上質なシューゲイズサウンドはそのままに、一気に客席の空気を「アイドルのライブ」に塗り替える力がある。
 さらに続けて披露された『starburst』もイントロのダンスを含めて、アイドル的なキラキラした輝きに満ちていて、RAYだからこそできる、RAYにしかできないアイドル像を示していた。それでこそ、アイドルとバンドが対バンする意味があるというもの。
 「starburst」の終わり頃に客席から「かわいー!」って女性の声が聞こえてきてとてもよかった。あと終演後の特典会で、自分の後にあみみ列に並んだ女性が初めてのお客っぽかったのもすごくよかった。

 最後の曲は『おとぎ』。おとぎで終わるライブ大好きなんだけど、毎回記憶が全部おとぎ最高……で上書きされてしまうので、記憶を掘り起こすのが大変。日記書くのもえらい時間かかってしまった。
 おとぎは各メンバーの地声が聴けるのが好きなのかもしれない。みこちの振り絞るような気持ちの乗った歌はいつにも増して胸に響いたし、あみみの深く沁み入るような歌声も素晴らしかった。

 
 そうえいば新宿御苑で見た椿の英名はcamelliaで、camelliaといえばRAYのアルバムだった。昼も夜も綺麗なcamelliaを見られて嬉しい。良い一日。


「冬の花が好きな人は、冬に死ぬんだって。」

 

  


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