06.02
あたまのなかにいる東野圭吾さん
6月にはいってからぼくのあたまの中に東野圭吾さんがずっといる。
厳密にいうとぼくが好きな"新参者"シリーズのいよいよ読破に挑戦してみようとふと思い立ち、本屋さんで東野圭吾さんコーナーに立ち寄ったときがはじまりなのだけれど、(しっかり第一作目"卒業"は購入した)その帰りの道中のバスの中で、そもそも東野圭吾さんのことなにも知らないよなと思い、スマホで顔写真を検索してしっかり東野圭吾さんをぼくの中で認識してしまってから、ぼくのあたまの中にやってきて、すっかりくつろがれてしまっている。
初めてご尊顔を拝見したときは、
「おもっていたより長髪だな」
という印象。
また出立ちはジーパンに白シャツといういたってシンプル。
それを遠巻きに見つめているぼく。
そろそろ流石になにかお茶でもだしたほうがいいよなと思いはじめるけれど、珈琲が好きなのか、はたまた紅茶が好きなのか、お茶かもしれない。さっぱりわからないからどうにも動けない。
ただ、くつろいでにっこり笑顔でこちらをずっと見つめてくる東野圭吾さん。
それは「さぁ!本をどんどん買ってくれたまえ!」という隠された意味を含んだ笑顔なのかはさっぱりわからないのだけれど、数々の推理小説を世に出してきた東野圭吾さんのことだからなにか意味があるにちがいないと心のどこかで確信しているぼくがいた。
このままいてもらうのもどうかと思ったけれど、この際好きなだけあたまの中でゆっくりしてもらうのもいいかもしれないなともついに思いはじめる。
ゆっくりくつろいでもらっている間は確実に東野圭吾作品のことについて考えることができるし、なにより"卒業"を読み進めるための原動力にもなってくれるはず。
だから、東野圭吾さんを感じられるこの状況がいままで手を出すことができなかった"新参者"シリーズに手を出してみるのにベストな状況なのかもしれないな。
そんなことを思いはじめた矢先、突然、あたまの中にもう1人の来訪者がやってきた。
それは新参者の主人公である加賀恭一郎を演じている"阿部寛"だった。
阿部寛さんは東野圭吾さんによっと手を振り、隣に腰掛けるとふたり談笑をはじめる。
これは大変困ったことになった。
ぼくのあたまの中に勝手にやってきておいて!
そのあたまの所有者であるぼくを蚊帳の外にすごく楽しそうにお話しされているもんだから、すこし嫉妬心が湧いてきてしまった。
「いいよ、もう新参者全シリーズ買ってやるよ!
読み切ってひとりで勝手に感動してやるから!
なんなら、いろんな人に新参者シリーズ最高でしたよって伝えまくってやるから!」
もう投げやり。
ただ、一つだけ言えるのはおそらく本当に全シリーズを買ってしまう行動力がぼくにはあるということ。
好きなものにはついつい衝動的になってしまう。
「ドラマが面白かったのだから、原作小説も絶対面白いにちがいない。」
とりあえず今読み進めている本が終わってからどっぷり東野圭吾さんにお世話になれるかな、そんなことを思っていたとき、ふと東野圭吾さんの別作品を考え始める。
たしか東野圭吾さんってガリレオシリーズもやってたよな、"容疑者Xの献身"もたしか東野圭吾作品だったっけ、と思いはじめたとき、
あたまの中のドアがガチャっと開き、また1人新たな来訪者がやってきた。
福山雅治だった。