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【感想】日経ソーシャルビジネスコンテスト MeetUP東京

こちらは13日、日経ソーシャルビジネスコンテストと呼ばれるピッチイベントのmeet upイベントに参加してきましたので、その感想を。

【概要】

ソーシャルビジネスのターゲットとなるSGDsの説明に始まり、国や企業の動き、昨年度のイベントの発表内容などの講演がありました。
どれも秀逸で勉強になったため、各内容をざっとご紹介したいと思います。

【詳細:ソーシャルケーススピーチ】

大臣官房 サイバーセキュリティ・情報化審議官 信夫氏

農水省で行なっているピッチイベント「inacome(イナカム)」についてのご紹介でした。今、日本で従事している第1次産業の従事者の半数近くは70代を超えているというピンチの中で、ピンチをチャンスに変えるべく、地方での第1次産業を含む新規事業の募集をしているものです。地方の1次産業は既に困窮しており、地方で新しい事業を興すこと=SDGsに直結する、というお話でした。

inacomeの発端は信夫氏が「農水省は本気で地方の1次産業を考えているのか?」というコメントを受けたことがきっかけとのことで、発起人として非常に強い意志を感じました。

(株)T&Dホールディングス 取締役常務執行役員 田中氏

T&Dホールディングスの歴史や事業のご紹介と、保険事業を通じたSDGsへの関わり方をご紹介されていました。

保険=いざというときの備え、という保険の概念を覆し、利用者にとって健康に過ごすことがあるべき姿ではないかという原点に立ち返り、予防保険の販売を行いました。

サラヤ(株) 海外事業本部アフリカ開発室副室長 森氏

こちらもサラヤの歴史や事業のご紹介から、なぜサラヤがSDGsに着手しているのかのご紹介でした。

サラヤは液体せっけん等の衛生事業を中心に発展した一方、環境に良いとされたヤシノミ洗剤が、生産拠点であるボルネオにおいて環境破壊の原因になっており、その時から環境保全といった活動を積極的に行ってきたそうです。
現在もアフリカを中心にアルコール消毒等の普及を行っており、ウガンダではサラヤ=アルコール消毒という名詞にまでなっているそうです。
#どこかの国のマルちゃん=カップ麺、みたいな話ですね

(株)いろどり 営業企画部 水澤氏

昨年度の日経ソーシャルビジネスコンテストのファイナリストの1人で、不要となって捨てられる間伐材を用いた布=KINOF(木の布)の開発、販売のご紹介でした。

山は整備をしないと荒れていくものの、手入れをする必要性もなければコストも掛かるため疎かになるところを、手入れによって生じた間伐材を用いた商品を開発し、その売り上げを用いて山の整備を行う、というまさにSDGsなソーシャルビジネスです。

KINOF単価にして、間伐材1本から数千万円分のKINOFが作られるとのことで、荒れ果てた山がお宝に変わると言いたいところですが、商品として売れてはじめてその方程式は成り立つもので、ビジネスが広がらないとSDGs活動も広がらないというソーシャルビジネスの難しい部分を感じました。

一方で、水澤氏はSDGsのために事業を興したわけではなく興した事業がSDGsに繋がった、と話しており、信夫氏が話していたことを体現しているようでした。

(株)miup 代表取締役 酒匂氏

こちらが昨年度のコンテストの大賞で、AIを活用した自動診察サービスのご紹介でした。

医療が発達していない国では病気になっても医者に行くことがなく、重症化してから病院に行く習慣になってしまい最悪の結果を招く、といったようなことが日常になってしまっているそうです。そんな状況を解決すべく、携帯のアプリケーションを用いた簡易診察を開発したとのことです。

現在はウガンダで提供されており、さまざまな医療データの収集も行えているとのことでした。但し、この事業単体では採算ベースに合っておらず、やはりこちらもソーシャルビジネスの厳しさを感じるが発表でした。

【感想】

どの講演もさまざまな示唆や苦労を感じられ、とても勉強になりました。SDGsをビジネスにすることは多くの分野で検討されているものの、実事業への道は厳しく、またどんなに画期的にSDGsを達成するアイデアでもビジネスとして回り続けるかは別問題であり、大きな課題があることを感じました。

一方で、手をこまねいていてもなんの解決にもならないのは事実であり、このような活動を行うこと自体とても意義深いものだと思います。このような活動の事業サイクルを支援する、というのも一つのSDGsなのかもしれませんね。

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