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『太陽と桃の歌』を見たよ……

本記事はネタバレを含みます。

『太陽と桃の歌』公式サイトより引用。
なお、ヘッダーも同じく公式サイトから引用した。
https://taiyou-momo.com/

 
 まずこれだけは言わせてほしい。

家族の変わらない絆の物語って言ってたじゃ~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!!!!!!!!!!!!!

 
 桃農園への立ち退き命令に、みんなで団結して立ち向かう絆の物語だと思ったよ!!!!!タイトルロゴもめちゃめちゃかわいい感じで明るそうだし!!!そしたらめちゃめちゃ重い話だったんだけど!!!!!!!!!!

 ふう。一番言いたいことは言えたので、あらすじと具体的な感想を書いていきます。

『太陽と桃の歌』のあらすじ

 本映画はスペインのカタルーニャ地方で、桃農園を営む大家族の物語である。今年も桃の収穫時期が近づき、着々と家族が準備を進めていたさなか、桃農園の土地はその家族のものではなく、別の地主が所有していることが発覚する。さらにはその地主は、今年の収穫が終われば家族の桃農園を取り壊し、ソーラーパネルを設置するというのだ。あまりに急な要求に、家族は戸惑い、意見が分裂し、そしてその絆にほころびが産まれ始める…。

具体的な感想

 一番の感想は最初に述べた通りで、騙されたな~~~~という印象だった。ロゴもポスターも内容に反してあまりに可愛すぎる。私は映画や小説を見る前にあんまりレビューは見ない主義なので、結構びっくりした。あれ?なんかずっと暗いな?普通に家族の絆崩れてるけど…などと考えていたら、普通に全然暗いまま終わっていった。かなりショックだった。
 とはいえ、傑作と言われるのも分かる完成度だった。この映画はベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)を取ったのだが、これは確かに賞を取るべき映画だと思う。
 最も印象的だったのは、家族の中で孤立を深めていく父親だ。桃農園の経営者で、一家の大黒柱でもある彼には様々な責任や焦りがあった。そしてその責任や焦りが彼を追い込み、彼を中心に家族の不和が産まれていく。終盤の彼はもう本当に見ていてつらかった。怒りや焦りがすべての言動からあふれ出ていて、どうしようもないほど壊れてしまったのだと感じた。
 このまま父親がどんどん絶望していって終わるのかな…と思っていたら、まさかの奥さんからのビンタ。このシーンが本当に素晴らしかった。間違いなくこの映画のベストシーンはここだと思う。「しっかりしろ」と言っているのが、何もセリフがなくても伝わってきた。
 そしてその後、場面が切り替わった後での男泣きもめちゃくちゃ良かった。自分の惨めさを改めて認識し、でも認識したところでもうこの状況はどうしようもなくて。あまりに辛くて、声を上げながら涙を流す男の姿には心を打たれた。
 この一連のシーンが、『太陽と桃の歌』が傑作と呼ばれる所以だろう。それほどに素晴らしい展開だった。

 ほかにも、家族の各世代から見た世界がぎゅっと濃縮されているのもよかったと思う。無邪気に遊ぶ小さな子供たちの世界、思春期の子供たちの世界、中年の男と女の世界、老人たちの世界…。それぞれの世界が丁寧に描写されていた。

まとめ

 決して面白い作品ではないが、見る価値は大いにある映画だと思う。公式サイトのレビューで『リアリティに徹し、見る者の心を鷲掴みにして離さない』とあったが、まさにその通りで、もう一回見たいぐらい好きな作品だった。私は農学部の学生で、少なからず農業と環境破壊には関わりがあるので、そういうことからも見てよかった作品だったと思う。

 そういえば、前回の記事で『正体』を見に行くと書いたのに別の作品見に行っちゃってすみませんでした。上映時間がだいぶ朝早くて、早起きするの辛かったんです!!!すみません…。

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