スクスタとアニガサキへのモヤモヤを語る
志半ばにして世界を閉じてしまったスクスタと、やたら持て囃されていた神アニメのアニガサキに対して筆者には未だに整理できていない気持ちがあった。なぜ今更こんな記事を書く気になったのかというと、完結編の第1章が公開され、エモエモファンタスティックでかわいくてかっこいい MV でインスピレーションが刺激されまくったことと、ランジュ回ということもあってようやく向き合う決心ができたからである。そして映画も一区切りが付き、整理も兼ねて筆者の感じているモヤモヤを洗いざらい吐き出そうと思ったわけだ。
というわけで、スクスタとアニガサキに関する各所所感を筆者の主観に基づいてまとめよう。
ちなみにスクスタやアニガサキや各方面に対するネガティブ発言や、一部の人に対するヘイトも多く含まれるので、不快に感じる方がいると思う点に注意してほしい。
また、各カテゴリである程度前提知識が必要なため付いてこられない可能性があるのもご了承願う。
スクスタ
スクスタは2019年9月26日から2023年6月30日までサービスしていたソーシャルゲーム。「ラブライブ!体感 育成アドベンチャーゲーム」という何ゲーなのかよくわからないジャンルで(当初はリズムアクションRPGだった気がするが)、虹ヶ咲のホームページでは「最強で最高のアイドルゲーム」と謳われている。ゲーム部分はライブという名目のリズムゲームとなっていて、後述するが筆者としてはかなり「うーん」という感想である。しかし、ラブライブのギャルゲーとしてなら随一であるし MV も最高だし神ゲーなのは間違いない。
アドベンチャー要素
ここではメインストーリーについて言及しよう(キズナエピソード、サイドエピソード、イベントストーリーについては触れない)。
・主人公はメンバーから「あなた」(一部を除く)と呼ばれるプレイヤー視点の、歩夢と幼馴染みの高校2年生。30股することになるハイパーたらし。作曲担当(その他の担当は存在せず、各自がいつの間にか準備を終えている)。
・時系列度外視で現役スクールアイドルの μ's と Aqours と同じ時空を生き、交流を深めることになる。
First Season
1章から、栞子がメンバーに加わる17章までのストーリー。
あなたちゃんが廃部寸前の同好会を復活させて、ついでに μ's と Aqours もたらし込んでなんやかんやあってスクールアイドルフェスティバルを成功させる話。
栞子がせつ菜から生徒会長の座を奪ったり、あなたちゃんと歩夢がケンカしたりとしばし界隈を湧かせていた。栞子が加入した時は若干炎上していたらしいが、筆者は気づかなかった。
個人的には、スクスタで一番よく出来たストーリーだと思っている。生徒会長選挙にしたって、ケンカにしたって、スクールアイドルフェスティバルの成功に無駄なく繋がっているし、堅物が初めてデレる瞬間がたまらない。そしてこのストーリーがあるからこそ後のしおぽむが映えるというもの。 でもやっぱり歩夢が栞子に無茶ぶりをする下りは、アニガサキ2期の栞子回を思い出す。あの強引さはスクスタ譲りだろう。
2nd Season
あなたちゃんが短期留学が帰ってきた問題の20章から、ランジュとミアが加入し、薫子によるスクールアイドルエキシビションのニジガク代表になぜか学園生徒全員が選抜されてしまう30章までの話。変な章構成である。
で、20章が燃えに燃えた。それはもう驚くほど。海は荒れ大地は割れ草花は灰となり空が焦げるくらいには燃えた。スクスタのサ終の原因とまでされている大炎上だった(20章公開は2020年10月31日のためサ終まで2年半以上は続いているが)。
燃えた主な理由と考えられるものは以下の3点だろう。
・ランジュのぶっ飛んだ身勝手さ
・同好会を抜けスクールアイドル部に流れたメンバー
・同好会の活動を制限する監視員の存在(23章序盤には解体される)
要するに、「こんなラブライブは見たくない」という感じだったように思える。ただ筆者としては、2nd Season がいただけなかった点は「尺不足」と「描写不足」、そして「月1更新」だったように感じる。「尺不足」と「描写不足」に関しては気になるなら Youtube で公式のストーリーアーカイブチャンネルを見てくださいと言いたいが、まあ「いつ部室や屋上使えるようになった?」とか「μ's と Aqours の実況解説は?」とか、トーナメントがいくらなんでも駆け足すぎるとか、そんなのがままあり正直アラはけっこうでかい。そして良くも悪くもテンポは早いためあっと言う間に話は進んでいく。そのせいでランジュの強烈な言動も相まって感情移入が難しくなっている。実際、筆者もスクスタのランジュは今でも少し苦手である。
月1更新というのも、プレイヤーに不穏な気分を滞留させてしまったということで、プレイヤーの繊細さを甘く見過ぎていたのか結果的に悪手となってしまったと見える。
しかしストーリーには致命的に破綻した部分はなく、面白いところもたくさんあるわけで、あんなに燃やされるくらい糾弾されるものでもないと思っている。そんな訳で、筆者としてはスクスタのメインストーリーは 2nd Season が一番好きである。なので放火犯について書くと、このストーリーを叩き放題していた人はもはやラブライバーではなくただ叩きたいだけのアンチで、自分の期待通りにならなかったものに対して癇癪を起こすしつけのなってない幼稚な子どもで、単に「嫌い」で済ませればいいものをプライドが許さないのか変な思想を押し付けてくる厄介である。あとこれだけは言っておくと、誰もキャラ崩壊はしていない。今でも、虹ライバーを名乗りながらスクスタを叩いていた奴や、スクスタをコケにしている奴がいると思うと反吐が出る。
とはいっても、寿命を大きく縮める原因になったと言われれば否定はできないし、もうスクスタは返ってこない。返ってこないと言えば、サ終決定の数か月前にせつ菜役の楠木ともりさんの降板も発表されていて、ショックは何重にもなったのだった。
2nd Season はまさにタイフーンだった。しかし、忌々しい厄災のように語られる空気が気に入らないのは筆者だけではないと思いたい。
ただ、30章はちょっとすっとばしすぎ。
※ 3rd Season 以降に関しては今回の趣旨においては話すことがないので省略
リズムゲーム要素(ライブ)
筆者個人の見解としては、2nd Season で風当りが強かった本質はこのリズムゲームの方じゃないかと思っている。
素直に言おう、だって面白くないもん!
純粋に楽しんでいた方々には大変申し訳ないが筆者はダメだった。
リズムゲームはもっと単純で爽快なものだと思っていたが、なんだあれは。低難度は適当でもSランクが取れるからまだいいが、高難度になるにつれ頭がおかしくなってくる。「でもそれってあなたがリズムゲーム苦手なだけなんじゃないの?」と思うことだろう。だがあれはそういう問題を逸脱している。
あれは、お勉強ゲームだ。
各楽曲の各区間で達成条件や効果が異なるアピールチャンス(AC)の特性を把握した上で、リアルタイムで逐一適切な作戦に切り替えて対応する必要がある。この AC 一つ一つの説明が某カードゲームの効果テキストのように異様に細かくなっていく。その上でノーツを処理していく必要がある。ボルテージが足りるならオートでもいいが、それでも開始前に仕様を把握して綿密な編成を組み、プレイ中には的確な判断力と精密動作が瞬時に問われ続ける。リズムゲームなのに、リズム感以外に求められる能力が多すぎたのだ。
特に酷いのが特大ダメージ。初めて特大ダメージがあったのは「決意の光」の8万ダメージだっただろうか、特大ダメージを受けるタイミングを把握してピンポイントで対策しなければほぼ確実にライブは終了してしまう。いつしか10万ダメージが当たり前のような地獄になってから高難度には手を出さなくなった。
おまけに一度Sランクを取ってしまえばスキップチケットというアイテムを使用してスキップが可能になるため、もはやゲームをする必要すらなくなる。なんならイベントはスキップチケットの叩きつけ合いであり、どれだけ課金してもスキップチケットが足りなければランキング上位に入るのはほぼ不可能な魔境となっており、ラブカスターを使ってライブをするための LP を回復してライブをスキップすることをひたすら繰り返すポチポチゲーに逆行していた。さらには(リリース当初はできなかったが)初プレイからオートモードにできたため、低難度は基本的に放置で見守り必要に応じてSP特技を押すだけの虚無ゲーと化していた。高スコアを狙うガチ勢以外であのゲームをまともにプレイしていた人はいたのだろうか。
言いたいことはまだ沢山あるが、つまり何が言いたいかと言うと「ゲームが面白ければストーリーが多少アレでもあまり気にならなかっただろう」ということである。スクスタでは「ストーリーは興味ないけどゲームは面白いからやる」の逆が発生していたと考えられる。
そもそも20章が公開されたのはリリースから1年と少し経った頃で、その頃には大抵のプレイヤーはライブとの向き合い方も確立していただろう。筆者のように「ゲームは正直微妙だけど、ストーリーは気になるから追おう」というプレイヤーは多かったのではないだろうか。そんな時に例の大嵐に見舞われて逃げ場が無くなった多くのプレイヤーが、当時の Twitter にて大量のお気持ち表明を投下することになったのだろうと考えている。
つまるところ、全て 2nd Season のせいにするのは違うんじゃないか? と言いたかった。(伝われ)
アニガサキ
2020年10月3日~12月26日に1期、2022年4月2日~6月25日に2期が放送されたTVアニメで、通称「アニガサキ」と呼ばれている。その後は続編の OVA を劇場公開したり、完結編 第1章も公開された。
スクスタとの大きな違いと言えば下記の2点。
・スクスタの「あなた」というポジションに「高咲侑」というガワを持った女が居座っている。途中から作曲に手を出す。まあまあたらし。
・μ'sやAqoursは一切登場せず名前すら出てこないため、そもそも同じ世界線かも不明。
1期
同好会復活からスクールアイドルフェスティバルまでの話。
スクスタでいうところの First Season。
月並みな感想だが、話がとてもきれいに作られていて MV も見応えがあってファンサービスに溢れていて大変眼福だった。
そして放送タイミング的にスクスタ20章の公開と被り、「スクスタはゴミ! アサガサキこそ正史!」というただのアンチが羽虫のように湧いた。ついでに考察厨も湧いた。
ただ筆者としては、とりわけ物凄く高く評価しているわけではない。というか物足りなかったというのが正直な感想。なんというか、事前の感情移入(スクスタ)がないと内容が薄くなってしまうように感じた。たしかに1クールで(侑を除けば)初期メンバー9人を掘り下げる時間があまりないのは仕方ないが――まあ、のほほんとあっさり楽しむ分には全く申し分ないだろう。
ただ結局のところ、スクスタがあってこそのキャラクターとストーリーであることには変わりなかったわけで、カルピスの原液とカルピスウォーターライトのどちらが美味しいかのような争いは実に不毛だし時間の無駄としか言えない。(筆者なら迷わず原液を選ぶが)
1期ED『NEO SKY, NEO MAP!』
神曲。イントロ聞いただけで涙が出そうになる。
この曲のおかげで普通に面白いアニメから神アニメになっていると言っても過言ではない。
イントロもメロディも歌詞も映像も全てがエモい。エモすぎて逆につらい。眩しすぎて心が抉られる。「どこに向かうかまだわからないけど面白そうな未来が待ってると~」とか未来が待ってなかった落伍者にはキツすぎる。
克服できる日は来るのだろうか。
2期
おそらくここから2学期。
第2回スクールアイドルフェスティバル開催が決定してから、同好会のファーストライブまでの話。年が明けて NEXT SKY へのパスもある。
スクスタの 2nd Season の件もあり、どうなってしまうのかと心配する声と、1期のスタッフなら大丈夫だろうという声が上がっていた(筆者はバトル漫画脳なのでどちらかというとバチバチしてほしかった)。
結論から言うと心配の声はまったくの杞憂だった。安定して面白く(というか可愛い)、ストーリーは相変わらずあっさり薄味ではあったが、個人回が多すぎた1期よりも自由な回が多いうえに、他校のスクールアイドルも多く登場するため見応えがある。
R3BIRTH組の3人の設定に関してはスクスタと大きな差はないものの、非常にマイルドになっていて各人はあまり拗らせていない。栞子は同好会を廃部にしようとするどころか最初から無条件でスクールアイドルフェスティバルに協力的なうえ、ランジュはスクールアイドル部を立ち上げすらせずものの数回話した侑にイケボで口説かれただけで陥落しかけてしまう。ミアは間違っても「shit.」なんて言わない。そしてスクスタの First Season で物議を醸した生徒会長交代もしれっと終わって交代している。
なんてこともあり「こういうのでいいんだよ!」とアニガサキの神格化は進み、スクスタを失敗作のように扱う風潮に追い風となった。あまつさえ黒歴史にして無かったことにしようとする新興宗教さえ現れる始末。あとやっぱり考察厨も湧いた。
筆者はこの項目を書くにあたって2期を復習したが、しおぽむもない、かすみんの勇姿もない、しずかすもない、りなミアも弱い、エマの拒絶もない、トーナメントもない、「ラブリー・ハルカ!」もない、ユニット結成に必死な歩夢もない、栞子の逆襲もない、マイちゃんも出ない、見なくても分かりきってはいたが 2nd Season と比較できるものではない全くの別物である。
ランジュたちが加入するまでの道筋は概ね同じであっても、ベースであるスクスタが根拠を補強している部分がかなり多い印象で、「アニガサキにはあってスクスタにないもの」は意外と少ない、スクスタという後ろ盾ありきなのは否定できないと言える。
ただ、R3BIRTH組が入ってきた直後のワンダーツアーでランジュがよそよそしくしている時間はすごくよかった。そこだけはスクスタは端折っていて残念だっただけに、遠慮がちなランジュが見られたのはとても嬉しかった。
NEXT SKY
歩夢がアイラを連れてロンドンから帰ってきてから、アイラがスクールアイドルを頑張ってみる決心をして帰るまでの話。
この話には特にモヤモヤはない。
栞子がとにかく愛おしい回で、Go Our Way! の後で「反省文は後日みんなで書きましょう」の笑顔に惚れた。それと、栞子ファンにいた茶髪のミディアムウェーブ(?)の子があまりにも可愛いかった。モブの中ではベストオブザベスト。
余談だが、この作品以降はせつ菜役が林鼓子さんとなっている。個人的にはともりるの時の可愛らしい抑揚がすごく好きだったのだが、殆ど消えてしまっていて少々寂しい。今はどちらかと言うと可愛いさよりも少年っぽさの主張が強い印象で、未だに「……あ、せつ菜か」となってしまうし、脳内再生はともりるでしかできない。
完結編(えいがさき) 第1章
2期の後の話で既に2月。スクールアイドル GPX(グランプリ)に参加することになり、第1章では開催場所の一つである沖縄に行った6人の話が描かれる。
キービジュ発表当時は作画についてとやかく言われていたが、蓋を開けてみればそんなことは全くの野暮であった(筆者はあまり気にしていなかったが)。また、MVはどれも圧巻で何度見てもテンションが上がって楽しい。筆者は特に Daydream Mermaid と Stellar Stream にシビれた。不意に宇宙スケールになると弱いらしい。
かすみんの「真打ちは最後に登場」がまさか尺外だとは誰も思わなかっただろう。最終章で回収されることを祈ろう。
天と小糸の復縁のシーンは7回目あたりから急に感動して泣けるようになってしまった。あのシーンで BGM の重要さを思い知った。
しかしながら、やはり6人しかいないと回数を重ねるごとに物足りなさが膨らんでくる感覚はあった。個人的には、かすみんとよく絡むせつ菜も果林も愛もミアもいないうえに、しずくは基本彼方と一緒で、ランジュも母親の件があり、かすみんが他メンバーと仲良くしているシーンがかなり少なかったのが気になった。とはいえ代わりに運営と仲良くするという、かすみんの新たな可能性が垣間見えたのはすごく嬉しかったしヘルメットが似合っててかわいかった。
つまるところ、なんだかんだ不満はない。ただ、ランジュママは「誤解されやすい性格」と自己評価していたが、あれで誤解せず伝わっていると思えてしまうのはコミュニケーション能力を疑ってしまう。一緒にいる時間が少なかったとかそういう問題ではない。あの件で先に謝るべきは圧倒的にママであろう。
そして初見で最もテンションがぶち上がったのはやはりラスト。某天才作曲家の親族と思しき後ろ姿からのカットインと「TO NEXT STAGE」は第2章を期待せざるを得なかった。そして、スクスタが続いていたらその内登場していたのかと思うと少し寂しくも感じた。
鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)
やはりランジュについては個別で語る必要があるだろう。
先ほど筆者もスクスタのランジュは少し苦手という話をしたが、これだけ 2nd Season を好きであってもまだ苦手なのだから、嫌いになる人が続出してしまうのはある程度自然な事だったのかもしれない。叩く連中は断固擁護できないが。
また、これは筆者の主観ではあるが、スクスタとアニメとでキャラデザが大きく異なっているのも好感度に差を開げている理由の一つだと思っている。スクスタで初めて見た時の印象は「とっつきずらい」であった。シャープな感じというか威圧的な雰囲気が、大胆な横暴以前に既に苦手だった。反面、アニメの方は全体的に丸みを帯びて表情も柔らかくなり、格段に愛嬌が増しているどころか別人かと錯覚するほど印象が違う。そして基本的に何をしていても可愛いし、何もしていなくても可愛い。スクスタでもそういった可愛い場面はあるにはあるが、アニメーションと比べてしまうとやはり分が悪すぎた。ただ、個人的にはキズナエピソードは推したい(特にピイピイの回)。
一番惹かれたのは2期7話の栞子のライブ後のワンシーンだろうか。思い詰めたような表情を初見で見た際、スクスタでランジュの望みと諦めを知っていたためグサグサと来て愛おしくなってしまった。筆者は弱みを見せられると弱いタイプなので、アニガサキの中でも特に好きなシーンの一つである。実はスクスタではランジュが目に見えて弱っているシーンは帰国の下りまで殆どない。終盤までほぼ平常運転で続くため、スクスタでは加入までに好感度を稼げる機会に恵まれなかったというのも不遇に思える。
ところで、「アニガサキのランジュは好きだけど、スクスタのランジュは嫌い」という意見がある。上述したこともあり気持ちは分かる。が、そこに安住しようとするのは些か不誠実ではないだろうか。しばしアニメとスクスタで「性格が違う」と捉えられることもあるが、正確には「設定が違う」である。栞子とミアにも言えることだが、スクスタではけっこう拗らせている。2期8話での自白を恐ろしく煮詰めて無邪気に体現した姿がスクスタのランジュである。アニガサキではミアに「癇に障る時がある」と言われたり、自分でも「人の気持ちが分からない」と言ってはいるが、アニメにそのような場面は、少なくとも描写があった範囲では加入以降も含めてほぼない。要するに、ランジュが抱えていた問題は説得力が皆無なわけだが、妙にしっくり来てしまうのはスクスタが一役買っていたおかげだろう。スクスタにはその辺の説明がしっかりあり(共感を得たかは別として)、所業の数々は説得力しかない。居場所になろうとしたか、居場所を求めたかの違いはあるが、仲間が欲しいという本質的な部分は同じであり、もし本気で仲間になる気で虹ヶ咲に来ていたらアニメでも同じことをしている可能性は充分あった。
どちらのランジュも等しくランジュであり、「アニガサキのランジュは好きだけど、スクスタのランジュは嫌い」というのは、自分に都合の良い部分だけを受け入れて他は排斥しようとするのと同じである。片方だけを認めるということは半分しか認めていないということで、スクスタのランジュを許せないなら、ランジュを完全には受け入れたことにはならない。本当の意味で受け入れられるまでは、ランジュの過去で離れていってしまった人たちと同じなのである。筆者はえいがさきでもっとランジュを好きになりたいと思ったが、それと同時にスクスタでちゃんと好きになってあげられなかった罪悪感を覚えてしまっている。筆者としても他人事ではないのだ。
最後に、アニガサキで当時「ランジュが救われてよかった」のような言葉が散見されていたことについて。それまで散々スクスタ下げ、ガサキ上げブームが巻き起こっていただけに、ポジティブな言葉でもその真意について邪推してしまうようになっていた。発した本人に悪気はないのだろうが、筆者は暗にスクスタが悪しきもののように言われてる気分になり、うすら寒く思っていたことを覚えている。
どういう状態からどうなったから救われたというのだろうか?
全てライターのせいにして楽しむ努力を怠ったクレクレ君に誰かを責める資格はなく、ランジュを勝手に加害者扱いしたり被害者扱いしたり、救われなければならない状況にしたのはそういった連中だろうと筆者は当時憤っていたし、未だにのうのうと蔓延っている残党に対して今もその思いは変わらない。あまりこのようなことは言いたくないが、ラブライブから何も学ばすして「大好き」などと口にしないでほしい。
○ランジュのキズナエピソードを読んだ感想
本記事を投稿後、やはりランジュのことを語るならキズナエピソードは読んでおいた方がいいだろうということで、復習がてら Youtube で拝見。
率直に言うと、記憶よりもずっとヤバい人だった。
序盤、学生寮に引っ越してくるランジュの荷物を部屋に運び入れるだけの話だけでおなか一杯になってしまった。アニガサキでランジュとミアが言っていたことがもろ当てはまる発言のオンパレード。そりゃ友達できねぇよ……と呆れてしまい、誰が言ったか「大きな赤ちゃん」であることが嫌でも理解できてしまった。これが20章よりも前の公開だったらまだマシだったかもしれない(ネタバレはあるが)。
とはいえ極端なのは寮への引越しが終わる序盤までの話で、栞子や寮メンバーのお友達パワーと熱心な指導の甲斐もあり、天性の要領の良さを存分に発揮したランジュは見事に常識と生活力を身に付けることになる。
それもこれもランジュが 2nd Season を通して人の言葉を聞き分けることができるようになったからであり、経験値が凄まじく偏っていただけで普通に可愛いくていい子になっている。ただ天真爛漫な部分はしっかり健在で、小鳥を拾って世話をするエピソードにはほっこりさせられる。最終話では自分だけでなくみんなが全員特別で個性があることを悟る成長っぷりに、保護者になった気分にさせられた。
このキズナエピソードでランジュに慣れてしまうと、アニガサキのランジュは大人しすぎるししっかりしすぎていて何とも物足りない。「大きな赤ちゃん」の片鱗がなく、そもそも基本の一人称からして違う。もっと言えば、天才設定すらミアが少し言及しただけである。既に上述してあるので被ってしまうが、ランジュが虹ヶ咲でやっと仲間を作ることができたカタルシスの根拠、つまり報われるべき苦悩のほぼ全てはスクスタが担保していると言っても過言ではない。大きな赤ちゃんが好みだった奇特な方はアニガサキで満足できたのだろうか。
今回、筆者は改めてキズナエピソードを読んだことで、ランジュのどこが苦手でどこが好きになれそうか、より詳しく知ることができた。にじちずが来た時は今度こそ、スクスタの分までちゃんとランジュと向き合ってあげようと、そう心に誓った。
高咲侑
彼女について、何一つとして良いことは書いていないので最推しの方は読まないでほしい。
実のところ筆者は侑にあまり魅力を感じていない。他メンバーと比べるとキャラクター性が格段に弱く見えてしまう。
なぜそう思うのか、端的に言えば「根拠もなく成熟しすぎている」からだろう。同好会の他メンバーの問題について直接関わることが殆どないせいで見せ場は少ないが、パッと思いつくのは1期11話の脚ギュ事件やら、2期でランジュから詰められた時やら、映画でのイケメンムーブやら、etc… 妙に言動がしっかりしすぎていて面白味がない。可愛いが、可愛げはない。あなたちゃんのように暴走することも喧嘩することも酷く落ち込むこともない。「私にはみんなみたいな個性はないし」と言われれば、他メンバーと比べたら「たしかに」としか言えない。笑いのレベルが赤ちゃんである以外に特に思いつかない。概ね、あなたちゃんがやっていたことをなぞっているだけとも言える。
が、筆者は侑アンチではない。こんなに言及しているのは例の20章の影響による私怨もあるかもしれないが、これでも筆者の中では彼女はオンリーワンである(いろんな意味で)。おそらくは、ランジュがあなたちゃんを邪見にしていた理由や、アニメで美里が愛に感じていたものと近い感情なのだろう。必ず捕まえてやるからな。
スクスタもアニガサキも大好き
ラブライブというコンテンツ自体は無印のアニメから知っていてシリーズ自体ももちろん好きなのだが、何よりもニジガク推しであることは一応明記しておこう(虹ヶ咲を知ったのはスクスタリリース直前のため PDP は全く追えていないにわか)。思い出補正が多分にあるスクスタも、複雑な思いを抱いているアニガサキもどちらも大好きで、今と昔で比較ができないように、甲乙なんて付けられるはずもない。
ここだけの話、筆者は9人の頃の同好会が一番好きなのだが、今の12+1人の同好会も同じくらい大切に思っている。栞子とは一緒に暮らしたいし、ミアもランジュももっと好きになりたいと思っている。声は変わってしまってもせつ菜はせつ菜だし、ここすも素敵な方だし、えいがさきの続きもすごく楽しみだし、にじちずも待ち遠しい。
変わっていくことは寂しく思うことも沢山あるが、それは一緒にすごした時間を大事に思っていた証拠であると思いたい。だからこそ、その一瞬の宝物を風化させないためにも、これからも進み続けなければならない。
私は虹ヶ咲に心から感謝している。
ありがとう、出逢ってくれて。
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