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「K2の薬について語る本」編集後記

・はじめに

まずはC105お疲れ様でした。執筆者はコミケ終わったあと焼肉屋で打ち上げをし、実家帰って今まで行ったことがない山を7km散歩して謎の神社を参拝して、実家でダラダラ過ごし、高校の部活の同窓会行って、帰宅途中に本の感想を聞きに昼飲みしてました。コミケに参加できたのもあいまってだいぶ充実した年末年始を過ごせました。

そして新刊を手に取っていただきありがとうございました。おかげさまで現地も通販も好調でして、印刷費で足が出ないのを目標にしていたのが再販の印刷費もペイ出来たので万々歳です。

これだけの数を刷るのも頒布するのも初めての経験だったので、その経験を次に活かすために、また漫画アニメの解説、考察本をこれから作る人への助けになればと思いこのnoteを書いてます。
(本音:文章書きたい欲を発散させてる)

・なぜ書こうと思ったか

一番のきっかけは124話のプロトピック回でした。自分が皮膚科門前の薬局に勤務していた時間が長いため、ステロイドを含め外用剤は人よりちょっと詳しいのですが、「この軟膏は明らかにプロトピックのことだろう」と思いながら読み進めてたらプロトピックの注意にない菌状息肉症が出てきてビックリしたのが印象強かったです。あとその後読み進めてても普通の薬は薬の名前や系統が出るのに対しプロトピックはマジでプロトピックの名前が出ない。一般名すら出ない。まぁ出ない理由はすぐ察せられたのですがそれをTwitterに書くには長過ぎるな、って自分の頭の中に文章を燻らせてました。

その後も読んでたらまー色々出てくる出てくる。漢方回も当帰四逆加呉茱萸生姜湯は皮膚科でよく使うし色々喋れそうだなとか、逆食のPPI服用中の患者にヘルニアが見つかるのもマジであるあるだなとか、書きたいものが溜まっていったわけで。

じゃあそれをどこかに残そう、としたときに一番はやっぱコミケに本として出すことだろうな、となりました。これはまぁnoteの方が色々な人に読んでもらえるのは確実なのですが、それはそれとして紙で読みたいじゃないですか、こういうの。
あと後述しますがちゃんと資料集めないといけないと思って、そのコストを無料記事という滅私奉公に当てたくないし、有料記事はまー読まれないし、それなら俺の本を目当てに会場に来るであろう人に頒布出来る即売会が正解かな、と思った次第です。

・困難を極める資料探し

そして資料を集め始めたがまーこれがキツかった。あの資料の大半はgoogleの検索で出てきた信頼あるサイトの情報です。本来はそれらも二次ソース、三次ソースに当たるため資料のエビデンスレベルは低いのですが、まぁこれ以上を求めると一次ソースの論文を読むために使用料を払わなければいけないのでさすがにとんでもねー額になります。却下。

問題は「この薬は『これだけしかない』」という内容です。薬が「ある」事自体はweb検索で簡単に出てくるのですが、これ以外に存在しない、はwebで調べるのはマジでムズいです。自分の本だとメチコバールやノルアド、アンピシリン注がそれに当たります。流石に会社に置いてあった今日の治療薬を頼りました。まぁ仕事みたいなもんだしええやろ……。

その他漢方関係は今後自分の仕事に役に立つと思って買いました。無事ペイ出来てホッとしてます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を調べるついでに買った漢方本。ほぼ仕事用
このページでこのお値段。

腎臓疾患の診断学の本は10冊ほど調べましたが最低価格が7000円からなので流石に買えず全部立ち読みで済ませました。各書店様申し訳ございません。今後余裕が出たら買います…。
そもそも自分の住んでる市の書店にはそんな本は存在しないわけで、資料集めのために名古屋に行く回数(とその交通費)が増えました。決して友人と飲むために名古屋行ったついでじゃありません。信じてください。

結果として「信頼の置ける資料をもとに記事を書けた」という目的は達成できているので満足感が高いです。

・伸びる締切、詰まる中身

執筆しよう、と決めたのは2023年の大晦日でした。その時はC104を目標にして、3-4ヶ月くらいかけて執筆すればいいかな、と考えていて、1-2月は無為に過ごしつつ草案を出すに留めていました。が、それを阻む出来事が3月に発表されました。

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マズい。これはマズい。MMOの大型パッチが出たら向こう1-2月はそれしかやりません。原稿なんぞ書いてる場合じゃないです。実質的な締切がこれで6月末までに設定されました。
それからの勢いはまー凄まじかったです。1日に6時間かけて7000字書いた日もありました。別にこれは全然苦ではなくて、自分が過集中に入りやすい性質なのがデカいかなと今更思ってます。ただ7000字書いた日は家事全然やんなくて家族に怒られました。過集中も一長一短(個人的に短の方がデカいと思ってる)です。

んで確かC104当落日前までに40000字程度書いてあったはずなんですが、夏コミは落選。結果的には中途半端なまま製本しなくて良かったのでC105が最適のタイミングだったんだと思います。
んでその間何をやってたかというとFF14の零式とレベリングやって原稿はちょびっとずつしか進んでませんでした。そりゃ零式はそうでしょう。
さすがにまずいと思って零式の消化が落ち着いてきたころから原稿再開。ここもめちゃめちゃ集中して週1回4時間原稿やる、ってのを徹底してました。今思い返すと集中もだけどこのルーチン化が原稿やるのに最適だったんだなぁ、と。

そしてC105当選。と同時に絶もう1つの未来の日程公開。短期勝負の零式と違って絶は1-2ヶ月の長丁場です。11/26までに原稿を仕上げないといけない、ということで当選からはさらに原稿書くスピードが上がって、確か校正含めて11/24に終わらせた、はず。結果的に66000字書いた気がする。これでもまだ書き足りない項目があって、特にジェネリック周りをきっちり書ききったあと「これ◯◯省への悪口にしかなってねえな?」と気付いてその章5000字を丸々カットしてます。

1年かけて作った本なので100P書くのにさほど苦労しなかったし、何なら時間を置いておいたら誤植や表記揺れが浮き出てきたのでやっぱり原稿は寝かせるに限りますね。

・表紙と校正

これだけ気合を入れた本なのでどうしても皆様に手に取ってもらいたかった。そのために重要なのはなにか?内容の宣伝?分かりやすい要約?色々なSNSで宣伝?いえ、違います。

そうだね。かわいい女の子かかっこいい男の表紙だね。

表紙が可愛ければ皆手に取ってくれます。なのでとにかく表紙にはこだわりたかった。できれば可愛い宮坂さんが良かった(俺の超個人的願望)

というわけでだいぶ早い段階で表紙を依頼しました。アイマス勢の絵師に。
今思うと宮坂さん書いたことない人に何をリクエストしてるんだってなりますが、何故かスパドクK大好きだったため快く引き受けてくださいました。本当にすいませんでした。

表紙の構図はこちらからお願いしました。デレマス勢はお分かりかもしれませんが、今回の表紙はデレステの限定SSR「ご注文はひなですか?」の荒木比奈(特訓前)がモチーフです。検索してみたら分かると思いますが衣服と表情は違えどポーズはマジでそのまんまです。
メイド服はもっとクラシカルなので、と何故かお互いの意見が一致して普通のアキバ系メイド服になったのですが、表情に関しては本に書いた通り「宮坂さんは多分このシチュエーションで笑顔じゃないですよね?」と言われて「たーしかに!」と思ってあんな表情になりました。俺よりK2読み込んでる。天才か?

この表紙が本当にクリティカルだった。「可愛い宮坂さん」というだけで色々なクラスタに拡散されたし、表紙買いしてくれた方もいたし、結果的に拡散の糸口になりました。ありがとうございます。

校正に関してはEvoJapanで久しぶりに会ったヌールさん(編集職経験あり)から「K2本楽しみにしてますよ。校正しましょうか?」と提案を受けて2つ返事でお願いしました。校正してもらったら出るわ出るわ表記揺れ。そして文字の開きは高校時代散々やったはずなのに、それが抜けてしまってかなり修正箇所が増えました。申し訳ないです。奥様によろしくお伝え下さい。

そしてヌールさんから返ってきた原稿を見て修正してOK!となったあと色々加筆して、その加筆部分に1箇所誤植、1箇所誤記を見つけました。やっぱりちゃんと校正してもらわなきゃダメだな!

・最後の悩み「部数」

これは本当に悩んだ。一番最初の告知ツイートが300RTの100ブクマまで行ったけど、この2つの数字があてにならないことはツイッターの過去ログを遡れば誰でも分かります。
おまけにコミケのwebカタログのお気に入りは12-3人しか増えていなかったため、これはイキって部数を刷るのは爆死の元なのでは…?と色々悩みましたね。

最終的にはブクマの数字を見た上でそれなりにバズったならええやろ!の勢いで強気で100部以上200部未満で刷りました。そうしたら後述しますが現地では思いの外捌けなくて、ダンボール2箱のうち1箱を未開封のままメロンブックス様に委託することになりました。まぁ現地で捌けた分だけで印刷費がギリギリペイ出来たので、この時は「いやーやりすぎた。けどまぁメロンに預けてるし印刷費は取り戻せたしいいか!」くらいの気持ちでちょっと意気消沈しましたがすぐに思い直しました。結果的にこの部数が逆の意味で失敗だったとはこの時の自分は考えもつきませんでした。

・当日のお話

椅子が硬い。サークル参加者が本当に持ってくるべきものは座布団です。
と一番言いいたいことは言ったのであとは補足です。

過去4回参加していて何が必要かはある程度把握してました。札の入るコインホルダーとカッターとセロテープとマーカーペンはマストです。何に使うにしても便利。
あと冬コミだと足に貼るカイロ、特に動きを邪魔しない足の甲に貼るカイロはクリティカルでした。マジで足元が冷えるしマジでカイロは暖かい。オススメです。

新刊一本勝負

当日は色々な方に手に取っていただきました。来ていただいてありがとうございます。
自分が話下手のため中々気の利いた会話が出来なくて申し訳ありません。ニューウェーブの3人のピンズ付けて来てくれたりとか、放射線技師の方とか、友人に頼まれて1部買いに来たのにその場で試し読みして自分の分買ってくれた方とか、本当に様々な方に来てもらいました。
表紙買いの人もちらほらいて、やはり宮坂さんと絵師の力を感じずにはいられません。後日また別のお礼させてください。

・通販について

ただそれでも現地で捌けたのは印刷数の1/3程度で、残りは一部自宅、未開封の段ボールはメロンブックス様に預けることにしました。最初は利益率の関係でboothの倉庫に送って通販するか、と考えていたんですが、メロンブックスSNS担当からDMが来たので運命と思ってそれに従うことにしました。

結果だけ見れば無料回収やら通販のお手軽さやら増刷のお願いやらメロンブックス様じゃないと無理だったな、って思うことばかりでした。特に未開封のダンボール12kg超(ドラッグストアで仕事したことがあるから分かるけどあのときの新刊の重さは2Lペットボトル6本入のダンボールより重かったです)を自宅にクロネコヤマトするとかいう虚無行為をやらなくて済んだので大変助かりました。今後も利用させてもらいます。

そしてその未開封でギッチギチに新刊が詰まったダンボールがメロンブックス様に届き通販開始となりましたが、まさか通販開始30時間で在庫が切れました。通販ページで在庫が切れたのを見た時は流石に絶句しました。嘘でしょ!?

いやまぁ後は手元の在庫送ったりとか、店舗在庫かき集めてもらえれば、と思ったらメロンブックス様から追加納品の依頼が来ました。そこまでか?と思ったらデイリーで50位くらいにランクインしていたらしいです。嘘でしょ!?

俺が何度もシ…利用させてもらった作家様と並んで俺の本が並んでいる光景は夢かと思いました。その時新年会2件目でアードベッグ17年を舐めた後シーバスリーガル18年を舐めていたためマジで酔った幻覚を見たんじゃないかと思ってました。幻覚だったらまだ良かったかもしれない。

大幅刷った後に在庫が大量に残ることだけは避けたくて、酔った勢いで再販希望ボタン押してくれ!ってさんざん言ったんですが、相談したり自問自答した結果「連載中のコンテンツならいずれハマった人が買ってくれりゃいいだろ」と思い直してがっつり再販をかけました。通販分の利益が7割消し飛びましたが、まぁそれよりも自分の文章が色んな人に読まれることの快楽を買ったと思えば安いもんです。稼ぐのは仕事すればいいけど自分の同人誌が色んな人に読まれる経験なんてそう得られるもんじゃないですからね。

というわけで大量増刷をかけてメロンブックスに到着するのを待っている段階です。この本を持ってないでこれを読んでいる君、買ってくれよな!

・あとがき

激動の1週間だった。

特に通販とかの後始末してる間に富永研太被害者筆頭の回が更新されてとんでもねーことになった。そっちに時間持ってかれてしまった。全部お前が悪い?そうだよ。

まぁまとまらない文章で申し訳ないです。俺から言えることは2つ。新刊買ってください、出来たらK2を読んでください。宮坂の肩で羽を休めておくれ。

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