香時計
火時計の一種に香時計と言うものがありました。今回はその解説をします。
はじめに動画をご覧ください。
時計の歴史
本題に入る前に簡単に時計の歴史を話します。
時計の歴史すべてを書くのは無理なので簡単に紹介します。
人類が初めて時計を作ったのが、紀元前4千年以上前で、メソポタミア文明やエジプト文明での日時計です。
日時計は地面に棒を突き刺して、太陽の光が当たれば時間がわかるから今でも簡単につくれますね。
その後、様々な自然の力を利用した時計が考案され、機械式時計、クォーツ時計へと進化していきます。
そう考えると技術の進歩はすごいですね。
火時計とは
次は火時計です。
燃焼する火を使って時間を測る時計のことで、燃焼時計とも言います。西洋ではろうそくや油を使ったものが多いですが、中国や日本では、香や線香、火縄なども使いました。
西洋では代表的なものはろうそく時計です。中世のフランスで流行し、ルイ9世は十字軍の遠征にも持って行ったそうです。ろうそくの側面に、目盛りを記しておき、燃えずに残っている目盛りで経過時間を読み取ります。
もう一つランプによる火時計は、あらかじめ目盛りを記した容器に油を注いで着火し、残っている油の量から時間を読み取ります。
東洋では火縄時計が使われ、長さ50〜60センチの火縄の所々に印をつけて時刻がわかるようにしてありました。
燃焼は特有の薫香を漂わせるので、香木を粉末にして固めた線香を用いたものが次に説明する香時計です。
香時計とは
線香時計
お香が燃え尽きた長さを見て時間を表すもので、風流な香りが評価されて、粋な場で愛用されるようになりました。
江戸時代に花屋の置屋で遊女たちの持ち時間の管理に使われていました。店番の机には、線香を立てる複数の穴がある台座が用意され、客が付くと遊女ごとに定められた穴に線香を立て、時間の管理をしていました。一本の線香が燃え尽きるまでが客の持ち時間で、線香がなくなると、客は帰るか持ち時間の延長をしなければなりませんでした。店番は残っている線香の長さから遊女の残り時間を計って、次の客の予約を受け付けていました。今でもこの名残は芸者の置屋に引き継がれており、実際には線香は焚かないものの一本の線香燃焼時間40分程度を一単位として線香代を請求します。
花時計
最後に話すのは花時計です。
自然を活用した時計で、一般的に花時計というと花壇の上を大きな針が回る時計を指しますが、これは花壇時計であって本物の花時計は植えられている花の開花で時刻がわかる時計です。
本物の花時計は、植えられている花の開花で時刻が分かる時計です。
植物が開花するのは光を感じるからではなく体内時計のコントロールによることが実験で確かめられています。生物が生存していくためには、日照や気温など環境の変化に対応しなければなりませんが、生物の体内時計は外部環境のリズムに自分のリズムを合わせる役目を持っています。
この植物が持つリズムを利用して開花時間の違う植物を円形に配置することで時計とします。
まだ売っているのか?
現代でも香時計が売っているのかネットで探してみました。
残念ながら現在は販売されていませんでした。しかしたまに現代のデザインにして復刻して売っていたこともあるようです。