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教職員の勤務時間法制~1日8時間労働はどこへ行った?
けい先生です。教職員も、不当な労働条件を強いられることのないよう、労働基準法、労働安全衛生法などの法令によって、基本的な人間としての権利を守ることが定められています。なお、以下は、公立学校の教員を対象として説明していきます。
1.「給特法」とは?
ここがみなさん知りたいところかと思います。ポイントをしぼって、説明します。
1日8時間、週40時間という勤務時間法制は、法律と条令によって教職員にも確立されています。しかし、ここに出てくるのが「給特法」です。
「公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)という法律で、一方で「超過勤務は原則認めない」としておきながら、超過勤務をしても、超過勤務手当を出さない、というものです。
なぜ、超過した分に残業代が支払われないのか? それは、教員の仕事の「特殊性」によるとされています。つまり、自主的な裁量の部分が大きい仕事なので、超過勤務は職務命令によるものではなく、「自主的」に、いわば勝手に教員がやっていることである。だから、超過勤務手当(残業代)を出すことはできない、というロジックです。
超過勤務手当は、上限を超えて働かせたことに対する使用者へのペナルティーの側面があります。しかし、残業代を出さない給特法が放置されたことにより、残業代なしの超過勤務が学校現場にはびこる結果をもたらしました。
2.重要なのは労働基準監督の仕組み
公務員であることを理由に、いくつかの労働基準は適用除外になっています。それはともかく、最も重要なのは、基準を逸脱した勤務に労働基準監督署の監督が及ばない点にあります。外部からの監督がない(※教育委員会と都道府県人事委員会が担当してはいます。ただ、十分に機能しているか、はなはだ疑問です)ため、すべての学校で違法状態が野放しにされているのが現状です。
2024年(令和6年)5月、中教審による「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」が出されました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、教職調整額4%の10%以上への引き上げなどが、盛り込まれているものです。ここでまたしても、残業代を支払わないことや、労働基準監督の担い手を教育委員会と人事委員会とし、重要な所は今までと何ら変わりない体制とする方針が示されました。
余談ですが、教職調整額4%が10%になるとは、月平均80時間以上の超過勤務に対し、一律で月1万円支払われているのが、2万円になるイメージです。とても安上がりな方法で、しかも現場の超過勤務是正とは何の関係もありません。
3.教員が個人として、集団としてできること
あなたが教員であるならば、労基法や労働安全衛生法などの法規を使って、積極的に権利を行使することができます。問題があれば人事委員会の措置要求の活用など色々な工夫をすることができます。
しかし、ただでさえ忙しい中、個人で何とかしようとするのは「自殺行為」になりかねません。
そのためにあるのが教職員組合です。全国的な組織としては、日本教職員組合(日教組)、全日本教職員組合(全教)などがあります。そして、各地方自治体ごとに全国組織に所属する地方の教職員組合が存在します。具体的な労働相談に乗ってもらうこともできますし、個人では不可能な「交渉」によって、現状を変えていくこともできます。
希望を失いかけている先生方へ。一人にならないでください。あなたが間違っているのではありません。学校のおかしさに気付いた人からこの現場を去っていきます。しかし、ほんとうに子どもたちの成長を彼らとともに喜ぶことができる人ならば、去ってほしくはありません。教職をあきらめないためには、小さな力を合わせ、助け合って現状を変えていくしかありません。私が「教職公務員は組合に入るべきである」と考える理由です。
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