いつでも心にミキティを
尊敬する人は藤本美貴さんです。もし今聞かれたらそう答えようと思っている。
ハロヲタになって約10年。いわゆる黄金期と呼ばれた時代など、過去も遡りひと通りの歴史は履修してきた。もちろんミキティこと藤本美貴様も、名実ともにレジェンドのひとりであるという認識はあったつもりだ。しかし、ここにきて、現役ハロメン以上に自分の心の支えとなるとは自分でも驚きだ。
きっかけはミキティのyoutubeチャンネル「ハロー!ミキティ」チャンネルだ。チャンネルのメインコンテンツは子育てのこと、夫婦のこと、家族のこと…。おそらく自分のような独身20代男性はターゲット層ではないだろう。最初はハロプロOGがyoutubeをやるとなれば、現役時代の面白話を軽く聞けるだろうくらいの気持ちで見ていた。もちろん、全盛期のあの時代をサバイブしたミキティの伝説エピソードを本人から聞けるのは非常に面白かった。でも、昔話だけではなく、ミキティの生き方というか、美学みたいなものに、「かっけぇ〜!」と魅了されてしまったのだ。
なんとなくでも、ミキティの現役時代を知っている人なら、その勝気そうな性格はご想像通りだろう代表曲「ロマンティック浮かれモード」ではヲタクが土下座をし、「美貴様美貴様お仕置きキボンヌ」とのたまうのだから、いろんな狂犬エピソードがネットの海でも出回っている。そんな虚実入り混じるエピソードに対しても本人は、「私は自分に素直に思ったことを言っているだけで間違ったことはしてない」と言いガハハと笑い飛ばすその豪快さが本当に大好きだ。
チャンネル内では子育てだけに限らず、視聴者からのお悩み相談なんかに答えたりしてるのだけど、その様子もミキティそのものだ。思ったことははっきり言う。起きてしまったことは振り返ってもしょうがない。その代わり自分で責任を取る。好きなもんは好き、嫌なもんは嫌。これが大体のミキティイズムだ。
ミキティは自他ともに認める鋼のメンタルの持ち主なので、これをじゃあ明日から実践しようと思ったところでなかなかそうはいかないものだ。しかし、いつでも心の中にミキティを思い描くだけで、強く気高く、凛々しくいられる気がするのだ。これはあくまで新参者の想像だが、ミキティのヲタクたちはそういった人間性を含め心の底から惚れている人が多いんじゃないだろうか。
芸能人として持つべき圧倒的な鋼のメンタルとあれだけのビジュアル、そして唯一無二の歌声を持ちながら、ミキティのアイドル人生は意外と不遇だったと思う。ソロデビューをするもあややほどの大ブレイクを果たすこともなく、一度は落ちたモーニング娘に加入させられ、もちろん歌唱力においては主力メンバーだったものの、決してセンターやエース扱いというよりは、頼れるサブポジションというイメージが強かった。そして最後は「好きにさせといて急にいなくならないで」という特大ブーメランな歌詞を残してグループを脱退。なかなか波乱万丈なアイドル人生である。
ただ、今思うと、一般的なアイドルの枠にはめておけない器の人材だったのではないだろうか。歌声はピカイチだし、その強強のボーカルとビジュアルとは裏腹な可愛らしい乙女心を歌ったミキティのソロ曲は名曲揃いだ。しかし、ミキティが男の行動や言動ひとつひとつにヤキモキしたり、はしゃいだり、涙したりする歌詞がどうも似合わないのだ(いい意味で)。そう思うと、ミキティほどの大器がある意味アイドルという虚像の女の子像を商売にする仕事を、全力でこなしてくれていた事実に、より感謝が芽生える。
先日ミキティはデビュー20周年ライブを行った。ダイジェスト映像を見る限り、相変わらずの美貴様健在といったステージ内容だったみたいだが、意外にも本人は楽しかったのは前提に「今回が最後になるかも」という意識が毎回あるみたいだ。「原曲キーで歌えなくなったらもう歌わない」とも言ってるくらいだから、もう歌いませんといったらスッパリ歌ってくれなくなりそうなミキティ。それもそれでカッコいいのだけれど、とにかくミキティがミキティでいてくれるだけで、ファンは生きる活力をいただけるのだから、いつまでも健在でいてほしい、と願う若輩者のファンであった。